建築設備士とは?試験の難易度・合格率・勉強法・過去問・解答速報をご紹介!


建築設備士は、空調・換気・給排水衛生・電気などの建築設備が高度化・複雑化になってきて、建築設備に関する設計や工事監理に対し、建築士に助言を与え、より良い建築物とするために創設された資格です。建築設備士資格を得る試験が、建築設備士試験です。
建築設備士試験の受験資格は、建築・機械・電気を履修した大学や高校を卒業後、決められた実務経験を積めば受験することができます。または、1級建築士・1級電気工事管理技士・1級管工事施工管理技士などの国家資格や民間資格を持ち、2年以上の実務経験の後に、受験資格が得られます。
建築設備士試験は、一次試験と二次試験に分けて実施されますが、合格率はここ5年の平均で、一次試験では28%、二次試験では51%で、建築設備士試験の合格率は18%と、難易度が高くなっています。

建築設備士とは

建築設備士とは、建築設備全般に関する知識及び技能を有する人に与えられる国家資格です。建築士の求めに対し、建築設備の設計や工事監理に関するアドバイスを行います。建築設備士になるには、公益財団法人建築技術教育普及センターが実施している建築設備士試験に合格する必要があります。

建築設備士の資格を得ることで、木造建築士試験や二級建築士試験、一級建築士試験の受験資格が得られます。

建築士、建築士試験については、下記の記事で詳しく解説しています。

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建築士とは?試験の難易度・合格率・勉強法・過去問・解答速報をご紹介!
建築士は、建築物の設計や、実際の工事が設計通り工事されているか監理する国家資格です。建築士になるためには建築士試験に合格する必要があり、1級建築士試験の場合は合格率10%という超難関な資格試験です。建築士試験は、1級建築士、2級建築士、木造...

建築設備士試験

建築設備士試験は、公益財団法人建築技術教育普及センターが実施しています。第一次試験(学科)と第二次試験(設計製図)に分けて実施されます。第二次試験(設計製図)は、第一次試験(学科)の合格者のみ受験できます。

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建築設備士試験:建築技術教育普及センター

受験資格

(1)学歴を有する者[大学、短期大学、高等学校、専修学校等の正規の建築、機械又は電気に関する課程を修めて卒業した者]
(2)1級建築士等の資格取得者
(3)建築設備に関する実務経験を有する者
※(1)~(3)それぞれに応じて建築設備に関する実務経験年数が必要です。

受験資格として認められる課程

建築学科、建築科、建築工学科、建築設備工学科、設備工業科、機械学科、機械科、機械工学科、生産機械工学科、精密機械工学科、応用機械工学科、電気学科、電気科、電気工学科、電子科、電子工学科、電気電子工学科、電気通信工学科、通信工学科

(「建築第2学科」等の第2学科を含む)

実務経験として認められる業務

  • 設計事務所、設備工事会社、建設会社、維持管理会社などでの建築設備の設計・工事監理(その補助を含む)、施工管理、積算、維持管理(保全、改修を伴うものに限る)の業務
  • 官公庁での建築設備の行政、営繕業務
  • 大学、工業高校などでの建築設備の教育・研究
  • 大学院、研究所などでの建築設備の研究(研究テーマの明示が必要)
  • 設備機器製造会社などでの建築設備システムの設計業務

参考資料:令和3年建築設備士試験の案内 受験資格 

日程

建築設備士試験は、年に1回実施されています。

第一次試験(学科)が6月中旬、第二次試験(設計製図)が8月中旬です。

試験地

札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪府、広島市、福岡市及び沖縄県

受験料

36,300円とネット受付事務手数料

第一次試験(学科)

出題形式:多岐択一式

試験時間:建築一般知識・建築法規が3時間、建築設備が3時間の計6時間

試験内容:

・建築一般知識 30問
・建築法規 20問
・建築設備 50問

第二次試験(設計製図)

第二次試験(設計製図)は、第一次試験(学科)の合格者のみ受験できます。

出題形式: 記述式及び製図

試験時間:5時間半

試験内容:

・建築設備基本計画
・建築設備基本設計(空調・換気設備、給排水衛生設備、電気設備より1部門選択)

合格基準

第一次試験(学科)

各課目の得点及び合計点が、その年の合格基準点以上で合格となる。
・建築一般知識:例年40%程度
・建築法規:例年50%程度
・建築設備:例年50%程度
・総得点:例年60%程度

第二次試験(設計製図)

採点結果における「評価A」を合格とする

合格率・難易度

2017年から2021年に実施された建築設備士試験の平均合格率は、第一次試験(学科)が29.8%、第二次試験(設計製図)が50.8%です。

第一次試験(学科)

年度 受験者数 合格者数 合格率
2021年 2,900 950 32.8
2020年 2,256 650 25.7
2019年 2,800 749 26.8
2018年 2,983 930 31.2
2017年 2,907 841 28.9
13,846 4,120 29.8%

第二次試験(設計製図)

年度 受験者数 合格者数 合格率
2021年 1,158 606 52.3
2020年 916 379 41.4
2019年 1,123 610 54.3
2018年 1,242 646 52.0
2017年 1,112 580 52.2
5,551 2,821 50.8%

参考資料:建築設備士試験データ 公益財団法人建築技術教育普及センター

建築設備士試験の勉強方法

第一次試験(学科)では他の資格試験のように過去問と類似の傾向が見られるため、過去問やテキストで学習を行うことが有効です。過去問を解けるようになるだけでなく、発展出題にも対策ができるように出題内容を想定して対策を行いましょう。
第二次試験(設計製図)では建築設備に対する知識、さらに各問題に対して、整合性、妥当性、適合性、正確性を持って答えられているかがポイントとなります。製図の問題では配置設備の選定や容量算定の考え方、図面の構成力が問われます。

過去問を繰り返し解く

建築設備士試験の勉強方法は、過去問を中心に勉強することが効果的です。

例えば、建築一般知識の試験では、ほとんど毎年、商業建築等の計画に関する問題が出題されます。選択肢の内容や言葉や数値は皆違いますが、制約する数値についての問いの場合であれば、数字が正しいかどうかを問う文章は、同じものが何度か出ています。あるいは数字を変えたものもあります。受験勉強では、問題に出た数値を覚えるとともに、関連した事項の数値も、調べて覚えるような勉強法を行えば、別の問題で数字の真偽を問う問題が出ても、簡単に答えられる可能性が高いでしょう。
例では、数字に関してのことを紹介しましたが、言葉や文章、法規文章でも同じことが言えます。一を聞いて十を知る、ということわざがありますが、まさにこれを試験勉強に活かしてはどうでしょうか。

建築設備士試験の過去問は、公益財団法人建築技術教育普及センターに公開されています。

2013年から2021年の試験問題、正答肢、配点、合格基準点が入手可能です。

建築設備士試験 試験問題等 公益財団法人建築技術教育普及センター

市販されているテキスト・問題集については、下記ページで紹介しています。

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建築設備士試験
・資格試験: 建築設備士試験・解答速報&過去問: 過去問と解答速報『資格試験_合格支援隊』・試験日程: 6月 8月・ジャンル: 技術系・資格種類: 国家資格・難易度別: 難易度B(普通)建築設備士試験の解説鉄骨構造1. 鉄骨部材は、平板要素

第一次試験(学科)対策

建築設備士試験の第一次試験(学科)問題は、四肢一択式で、建築一般知識27問、建築法規18問、建築設備60問、合計105問で構成されています。解答時間は、建築一般知識と建築法規で2時間30分、建築設備で3時間30分です。

1問3分程度で解答するため、じっくり考える余裕はありません。問題と選択肢を見て、すぐに答えられる勉強の訓練が必要でしょう。なお、問題数や時間などは令和2年から従来の五肢一択から四肢一択に変更になっています。また、学科試験の合格ラインは60%以上と言われています。

学科試験の勉強方法は、過去問を10年分くらいの問題集を繰り返し勉強します。繰り返しの問題か類似した問題となるため、解説が充実した問題集を選び、分からない語句などを調べる参考書も欠かせません。

第二次試験(設計製図)対策

建築設備士試験の第二次試験(設計製図)問題は、ビルのような設計課題に対して建築仕様条件が述べられ、付帯する建築設備(空調や換気、給排水、電気など)の仕様が提示され、建築物の調整前図面が提示されます。

問題は、設備に関する11問の記述式問題と、建築設備を完成させるための計算問題が5問、最後に機器図や単線結線図、ダクト配管図などを図示化する問題5問が出されます。解答時間は、5時間30分です。ただし、第二次試験(設計製図)問題は3か月前にホームページ上に発表されます。慣れた人であれば、3ヶ月で解答がおおよそ、得られるかもしれません。

第二次試験(設計製図)問題の記述及び作図問題は、建設設備に限られるため、空調・換気・給排水・衛生・電気などに限定して勉強することで、問題への解答は絞られてきます。第二次試験(設計製図)対策も、過去問を繰り返し勉強することで、空調・給排水などの何が問題になりやすいか、傾向を想像できます。

過去問と重要事項の解説/建築設備士試験

建築一般知識

コンクリート工事

1. 柱・壁のコンクリートの打込みは、梁との境目にひび割れを発生させないよう、梁の下端でいったん打ち止め、1~2時間以上経ってから打込む。
コンクリートの打込みは、できる限り同じ高さの部材を打ち込む必要がある。部材の高さが異なると、生コンクリートの沈降程度が異なるため、ひび割れが発生しやすくなる。柱・壁の水平打継ぎは、沈降程度が同じとなるように床スラブ・梁の下端、または床スラブ・梁の上端で行う。

2. コンクリートの単位水量は、所要の品質が得られる範囲内で、できるだけ小さくする。
コンクリートの単位水量は、同じセメント量であれば小さいほどコンクリート強度が高くなる。コンクリートの単位水量と単位セメント量の比率は水セメント比=W/C(W:単位水量、C:単位セメント量)で表され、水セメント比が大きくなるほど(=単位水量が大きくなるほど)、コンクリート強度は小さくなるが、粘度が小さくなるため施工性は良くなる。水セメント比は、施工に支障のない範囲でできる限り小さくすることが望ましい。

3. コンクリートの沈み、ブリーディングによる不具合は、コンクリートの凝結終了前に処置する。
コンクリートの沈み、ブリーディングは、コンクリートの水和反応で使用されなかった剰余水(ブリーディング水)がコンクリート表面に上昇し、蒸発することで、ひび割れ等の不具合を発生させる。ブリーディングによる不具合を防ぐためには、コンクリートの凝結終了前に、コテなどでコンクリート表面を軽く叩くタンピングが有効である。

4. 打込み後のコンクリートには、硬化初期の期間中に湿潤養生を行う。
打込み後のコンクリートは、適切なセメントと水の水和反応を促すため、硬化初期にコンクリートの乾燥を防止する湿潤養生を行うことが重要である。湿潤養生の方法には水を散布する散水養生や、保水性のあるシートを使用するシート養生などがある。

建築法規

建築基準法

1. 構造耐力上主要な部分を耐火構造とする建築物は、「耐火建築物」に該当する。
耐火建築物は、主要構造部を耐火構造または耐火性能の技術的基準に適合させた建築物で、外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火設備を設けたものである。主要構造部とは柱・はり・壁・床・屋根・階段をいい、構造上重要でない間仕切壁・間柱・最下階の床・小ばり等を除いた部分である。

2. 建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離を、「外壁の後退距離」という。
外壁の後退距離は、建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離のことである。第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、田園住居地域において低層住宅の良好な住環境を守るために、都市計画において外壁の後退距離の限度を定める場合は、その限度は1.5mまたは1.0mに制限される。

3. 脱落により重大な危害を生ずるおそれがある国土交通大臣が定める天井を、「特定天井」という。
特定天井は、脱落によって重大な危害を生ずるおそれがある天井をいい、高さ6m、面積200m2、質量2kg/m2を超える天井のことである。特定天井に該当する場合は、仕様ルート、計算ルート、大臣認定ルートのいずれかのルートを適用し、地震時の安全性について確認を行う必要がある。

4. 飲食店は、「特殊建築物」に該当する。
特殊建築物は、劇場・映画館、病院・診療所、学校・体育館、百貨店・展示場、倉庫、自動車車庫等、その他これらに類するもので政令が定めるものをいう。飲食店は百貨店・展示場等に類するものであり特殊建築物に該当する。

建築設備

換気

1. 置換換気は、室温よりもやや低い温度で低速の新鮮空気を床面から供給し、天井近傍から排気する換気方式である。
置換換気は、床面から給気を行い、室に温度成層を形成して、汚染物質を上昇気流に乗せて搬送し天井面の排気口から排出する換気方式である。室の温度成層を乱さないために給気は低風速かつ室温より低い温度で行う必要がある。一般の混合換気方式と比較して換気効率が高く省エネルギーである。

2. 直だき冷温水機を設置した機械室において、換気方式は、第3種換気としてはならない。
直だき冷温水機やボイラーを設置した機械室は、原則、第1種換気とするが、第2種換気も可である。機械室内が負圧となると、熱源機械からの排気が再度機械室内に流入するおそれがあるため第3種換気としてはならない。また、換気量は機器等の放熱量と機器の燃焼空気量を考慮して決定する。

3. ホテルの客室において、換気量は、一般に、浴室部分の換気量により決まる。
ホテルの客室の換気量は、一般に浴室部分の換気量により決定する。ホテル客室の必要換気量は3m3/(m2・h)であり、一般的な客室面積は15m2程度であることから必要換気量Q=3×15=45m3/hとなり、天井高2.5mとすると必要換気回数n=45/(15×1.5)=1.2回/hとなる。一方、浴室の換気回数は5回/hが目安であることから、客室部分の換気量を上回る。

4. 建築物の居室においては、ホルムアルデヒドを発散する建築材料を使用しない場合であっても、シックハウス対策用の機械換気設備又は中央管理方式の空調設備を設ける必要がある。
建築物の居室においては、ホルムアルデヒドを発散する建築材料を使用しない場合であっても、家具等からの発散があるため、全ての建築物に換気設備を設置することが義務付けられている。なお、換気回数は住宅等の居室は0.5回/h以上、その他の居室は0.3回/h以上確保する。

空調設備のダクト工事

1. 空調系ダクトのチャンバーに設ける点検口は、サプライチャンバーに設けるものを内開き、レタンチャンバーに設けるものを外開きとする。
空調系ダクトのチャンバーに設置する点検口は、チャンバー内の圧力により開き方向を決定する。チャンバー内が正圧となるサプライチャンバーは内開き、負圧となるレタンチャンバーは外開きとすることで、点検口を開ける際に扉が圧力差で急に開くことを防ぎ、また気密性を高めることができる。

2. ダクト断面を変化させるときの角度は、拡大部では15度以下、縮小部では30度以下とする。
ダクト断面を変化させるときの角度は、できる限り緩やかに変化させる。ダクト断面の急激な変化は、圧力損失の原因となり、空気の抵抗が増加することによりダクトの振動の発生原因となることがあるため避けることが望ましい。変化させる場合は拡大部で15度以下、縮小部で30度以下とする。

3. 長方形ダクトの曲がりの内R(内側曲半径)は、ダクト幅(曲がりの軸に対して直角方向の寸法)の1/2以上とする。
ダクトの曲がりの内R(内側曲半径)は、小さくなるほど圧力損失が大きくなり、ダクトの振動の発生源となることから、できる限り緩やかに曲げることが望ましい。長方形ダクトの内曲半径はダクト幅の1/2以上確保するようにする。

4. 多翼送風機の吐出し口直後にダンパーを設けるに当たり、ダンパーの軸は、羽根車の軸に対して直角とする。
多翼送風機は、羽根車の軸方向から空気を吸込み、吹出し方向は、羽根車の軸方向に対して直交方向である。したがって、多翼送風機の吐出し口直後に設けるダンパーの軸は、羽根車の軸に対して直角とする。遠心式送風機の一種であり、シロッコファンとも呼ばれる。

●本解説に使用した参考文献

  国土交通省「建築士法、建築士法施行規則」
  国土交通省「建築基準法、建築基準法施行令、建築基準法施行規則」
  国土交通省「建築構造設計基準の資料」
  国土交通省「建築設備計画基準、建築設備設計基準」
  国土交通省「構内舗装・排水設計基準、構内舗装・排水設計基準の資料」
  公共建築協会「建築設備設計基準」

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