エックス線作業主任者試験


エックス線作業主任者は、鋳物などの非破壊検査などを行っている工場のなどの医療用以外の用途で、 エックス線を用いる場合に必要な作業資格者になります。 事業所がエックス線を用いる場合に、労働者の中からエックス線作業主任者を専任することが義務付けられています。 エックス線作業主任者の業務内容としては、放射線障害を防止するための立ち入り禁止区域の確認、装置の検査、 エックス線照射の調整、管理などを行うことになります。

エックス線作業主任者試験の概要

 エックス線作業主任者試験では、エックス線の管理に関する知識、関係法令、エックス線の測定に関する知識、エックス線の生体に与える影響に関する知識などについて出題されます。

 エックス線作業主任者試験の内容は、次の通りです。

学科試験(多肢選択式)
①エックス線管理知識、
②関係法令、
③エックス線測定知識、
④生体への影響知識

第2種放射線取扱主任者の免状を受けた者は、③、④が免除。

ガンマ線透過写真撮影作業主任者の免許試験に合格した者は、④が免除。

エックス線作業主任者試験の過去問と重要項目

エックス線の管理に関する知識

エックス線管の管電流又は管電圧の変化に対応したエックス線の発生
・管電流を一定にして管電圧を上げると、エックス線の全強度は管電圧の2乗に比例して増加する。
・管電圧を一定にして管電流を上げても、エックス線の最大エネルギーは変わらない。
・管電流を一定にして管電圧を上げると、エックス線の最大エネルギーは高くなる。
・管電流を一定にして管電圧を上げると、最高強度を示すエックス線の波長は短くなる。
・管電圧を一定にして管電流を上げると、エックス線の全強度は管電流に比例して増加する。

エックス線と物質の相互作用
・レイリー散乱は、エックス線が原子と弾性的に衝突して運動の向きを変える現象であり、散乱エックス線の波長は入射エックス線の波長と変わらない。
・光電効果により原子から放出される電子の運動エネルギーは、入射エックス線のエネルギーより小さい。
・光電効果により原子から放出される電子を光電子という。
・電子対生成は、入射エックス線のエネルギーが、電子2個の静止質量に相当するエネルギー以上でなければ起こらない。
・コンプトン効果により散乱するエックス線の波長は、入射エックス線の波長より長く、散乱角は、0~180°の間に分布する。

連続エックス線が物体を透過する場合の減弱
・連続エックス線が物体を透過すると、最高強度を示すエックス線エネルギーは、高い方へ移動する。
・連続エックス線の実効エネルギーが高くなると、平均減弱係数は小さくなる。
・連続エックス線が物体を透過すると、全強度は低下し、特に低エネルギー成分の減弱が大きい。
・連続エックス線が物体を透過するとき、透過エックス線の全強度が物体に入射する直前の全強度の1/2になる物体の厚さをHaとし、直前の全強度の1/4になる物体の厚さをHbとすれば、HbはHaの2倍よりも大きい。
次の記述は、適切でない。
・連続エックス線が物体を透過すると、実効エネルギーは物体の厚さの増加に伴い低くなる。

透過試験に用いる工業用の分離形エックス線装置
・工業用の分離形エックス線装置は、エックス線管、エックス線管冷却器、高電圧発生器、エックス線制御器、高電圧ケーブル 及び低電圧ケーブルで構成される装置である。

エックス線管及びエックス線の発生
・陽極のターゲットはエックス線管の軸に対して斜めになっており、加速された熱電子が衝突しエックス線が発生する領域である実焦点は、これをエックス線束の利用方向から見た実効焦点よりも大きくなる。
・陰極で発生する熱電子の数は、フィラメント電流を変えることで制御される。
・連続エックス線の発生効率は、ターゲット元素の原子番号と管電圧の積に比例する。
・エックス線管の内部は、効率的にエックス線を発生させるため、高度の真空になっている。
・管電圧がターゲット元素に固有の励起電圧を超える場合、発生するエックス線は、連続エックス線と特性エックス線が混在したものになる。

エックス線の発生
・連続エックス線のうち最大エネルギーを示すものは、エックス線管において加速された電子の運動エネルギーに相当するエネルギーを持つ。
・物質に入射した高エネルギー電子が、原子核の近傍に達し、強いクーロン場によって減速され、軌道を曲げられた際に失ったエネルギーを電磁波の形
で放出するものを制動エックス線という。
・制動エックス線は、連続スペクトルを有する連続エックス線である。
・物質に入射した電子の運動エネルギーのうち、エックス線として放射されるものはわずかで、大部分は熱に変わる。
次の記述は、適切でない。
・連続エックス線の最短波長をλ(nm)、エックス線管の管電圧を V(kV)とすると、λ/V=1.24の関係が成立する。

関係法令

管理区域内で受ける外部被ばくによる線量を測定するための、放射線測定器の装着
・最も多く放射線にさらされるおそれのある部位が 手指 であり、次に多い部位が 腹・大腿部 である男性の放射線業務従事者については、手指腹・大腿部 及び 胸部 の計3箇所に、放射線測定器を装着させなければならない。

エックス線装置を用いて放射線業務を行う場合の管理区域
・管理区域は、標識によって明示しなければならない。
・管理区域には、必要のある者以外の者を立ち入らせてはならない。
・外部放射線による実効線量が3か月間につき 1.3mSv を超えるおそれのある区域は、管理区域である。
・管理区域内の労働者の見やすい場所に、外部被ばくによる線量を測定するための放射線測定器の装着に関する注意事項、事故が発生した場合の応急の措置等放射線による労働者の健康障害の防止に必要な事項を掲示しなければならない。
次のものは、労働安全衛生関係法令上、誤っている。
・管理区域設定に当たっての外部放射線による実効線量の算定は、1cm 線量当量及び 70µm 線量当量によって行うものとする。

エックス線装置を使用する放射線業務従事者が管理区域内において外部被ばくを受けるとき、算定し記録しなければならない線量(緊急作業には従事しないものとする)
・放射線業務従事者の人体の組織別の等価線量については、3か月ごと及び1年ごとの合計
次のものは、労働安全衛生関係法令上、誤っている。
・妊娠中の女性の放射線業務従事者の腹部表面に受ける等価線量については、3か月ごと及び妊娠中の合計
・5年間において、実効線量が1年間につき 20mSv を超えたことのある男性の放射線業務従事者の実効線量については、6か月ごと及び5年ごとの合計
・5年間において、実効線量が1年間につき 20mSv を超えたことのない男性の放射線業務従事者の実効線量については、1年ごと及び5年ごとの合計
・1か月間に受ける実効線量が 1.7mSv を超えるおそれのある女性の放射線業務従事者(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)の実効線量については、1か月ごと及び1年ごとの合計

外部放射線の防護に関する措置
・特定エックス線装置を用いて作業を行うとき、照射筒又はしぼりを用いると装置の使用の目的が妨げられるので、どちらも使用していない。
・管電圧130kV のエックス線装置を放射線装置室に設置して使用するとき、装置に電力が供給されている旨を関係者に周知させる措置として、手動の表示灯を用いている。
・特定エックス線装置を用いて透視を行うとき、定格管電流の2倍以上の電流がエックス線管に通じると、直ちに、エックス線管回路が開放位になる自動装置を設けている。
・装置の外側における外部放射線による1cm 線量当量率が20µSv/h を超えないように遮へいされた構造のエックス線装置を、放射線装置室以外の室に設置して使用している。
次のものは、電離放射線障害防止規則に違反している。
・放射線装置室については、遮へい壁等の遮へい物を設け、労働者が常時立ち入る場所における外部放射線による実効線量が、1週間につき5mSv を超えないように管理しており、平均4mSv 程度となっている。

放射線業務従事者の被ばく限度
・緊急作業に従事しない女性の放射線業務従事者が受ける実効線量の限度 ………… 3か月間に 5mSv
・妊娠と診断された女性の放射線業務従事者が腹部表面に受ける等価線量の限度 ………… 妊娠と診断されたときから出産までの間に 2mSv
・緊急作業に従事しない男性の放射線業務従事者が受ける実効線量の限度 ………… 5年間に 100mSv、かつ、1年間に 50mSv
・男性の放射線業務従事者が緊急作業に従事する間に皮膚に受ける等価線量の限度 ………… 1Sv
次のものは、労働安全衛生関係法令上、誤っている。
・男性の放射線業務従事者が緊急作業(特例緊急作業を除く。)に従事する間に受ける実効線量の限度 ………… 250mSv

エックス線装置を用いて放射線業務を行う作業場の作業環境測定
・測定を行ったときは、その結果を見やすい場所に掲示する等の方法により、管理区域に立ち入る労働者に周知させなければならない。
次のものは、労働安全衛生関係法令上、誤っている。
・測定を行ったときは、その結果を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
・測定は、1cm 線量当量率(又は1cm 線量当量)及び 70µm 線量当量率(又は 70µm 線量当量)について、行わなければならない。
・線量当量率又は線量当量は、いかなる場合も、放射線測定器を用いて測定することが必要であり、計算によって算出してはならない。
・測定を行ったときは、測定日時、測定方法及び測定結果のほか、測定を実施した者の氏名及びその有する資格について、記録しなければならない。

労働安全衛生関係法令上、所轄労働基準監督署長に報告しなければならないもの
・放射線装置室内の遮へい物がエックス線の照射中に破損し、かつ、その照射を直ちに停止することが困難な事故が発生した場合
・エックス線による非破壊検査業務に従事する労働者5人を含めて40人の労働者を常時使用する事業場において、法令に基づく定期の電離放射線健康診断を行った場合
次のものは、所轄労働基準監督署長に報告しなくてよい。
・管理区域に係る作業環境測定の測定結果に基づいて記録を作成した場合
・放射線装置室を設置し、又はその使用を廃止した場合

エックス線装置を用いて透過写真撮影の業務に従事する労働者25人を含めて400人の労働者を常時使用する製造業の事業場の安全衛生管理体制(衛生管理者及び産業医の選任の特例はないとする)
次のものは、働安全衛生関係法令に、違反していない。
・産業医は、事業場に専属の者ではないが、産業医としての法定の要件を満たしている医師である。
・選任している衛生管理者は、いずれも衛生工学衛生管理者の免許を有していない。
・選任している衛生管理者のうち1人は、この事業場に専属でない労働衛生コンサルタントである。
・衛生管理者を2人選任している。
次は、働安全衛生関係法令に、違反している。
・総括安全衛生管理者を選任していない。

エックス線装置を用いる放射線業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入るものに対して行う電離放射線健康診断
・雇入れ又は放射線業務に配置替えの際に行った健康診断については、電離放射線健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなくてよい。
次のものは、電離放射線障害防止規則に、違反している。
・健康診断の結果に基づき、電離放射線健康診断個人票を作成し、3年間保存した後、厚生労働大臣が指定する機関に引き渡している。
・放射線業務に配置替えの際に行う健康診断において、被ばく歴のない労働者に対し、「皮膚の検査」を省略している。
・定期の健康診断において、その実施日の前6か月間に受けた実効線量が5mSv を超えず、かつ、その後 6か月間に受ける実効線量が 5mSv を超えるおそれのない労働者に対し、「白内障に関する眼の検査」を除く他の全ての項目を省略している。
・事業場において行った健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者について、その結果に基づき、健康を保持するために必要な措置について、健康診断が行われた日から6か月後に、医師の意見を聴いている。

電離放射線障害防止規則において、エックス線作業主任者の職務として規定されているもの
・照射開始前及び照射中に、労働者が立入禁止区域に立ち入っていないことを確認すること。
・管理区域の標識が法令の規定に適合して設けられるように措置すること。
次の事項は、電離放射線障害防止規則に、規定されていない。
・外部放射線を測定するための放射線測定器について、1年以内ごとに校正すること。
・管理区域における外部放射線による線量当量について、作業環境測定を行うこと。
・作業環境測定の結果を、見やすい場所に掲示する等の方法によって、管理区域に立ち入る労働者に周知させること。

 (R3-10)


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