建築士は、建築物の設計や、実際の工事が設計通り工事されているか監理する国家資格です。建築士になるためには建築士試験に合格する必要があり、1級建築士試験の場合は合格率10%という超難関な資格試験です。建築士試験は、1級建築士、2級建築士、木造建築士の3種類の建築士資格があります。1級建築士は全ての建造物の設計・監理、2級は一般住宅のような建造物、木造は木造建築物に限られた資格です。
建築士試験の受験資格は、1級建築士試験では、大学を卒業して国が指定する科目を履修した場合か、2級建築士か、建築設備士の場合です。2級建築士試験や木造建築士試験では、大学を卒業して国が指定する科目を履修した場合か、国が指定した科目を履修し高校か中学を卒業し、実務経験を重ねた場合です。
建築士とは
建築士は、建築士法によって定められている設計から工事監理までをすべてにわたって行う専門家で、1級建築士、2級建築士、木造建築士があります。
建築士は、建築関係資格の頂点に立つ最もグレードの高い資格です。社会的な信用も非常に高く、職業的にも極めて安定しています。建築物の大規模化・機能設備の複雑化に伴い、活躍の場は今後もますます広がっていくと思われます。1級建築士、2級建築士のいずれの場合も、土地家屋調査士や技能士といった他の建築関係資格を取得する際に、試験の一部免除などの優遇措置が受けられます。
建築士試験の試験内容
1級建築士試験
受験資格
建築士法第14条 | 建築に関する学歴又は資格等 |
第一号 | 大学、高等専門学校(旧制大学を含む)において、指定科目を修めて卒業した者 |
第二号 | 二級建築士 |
第三号 | 国土交通大臣が上記の者と同等以上の知識及び技能を有すると認める者 |
試験の構成
試験の区分 | 出題形式 | 出題科目 | 試験時間 |
学科の試験 | 四肢択一式 | 学科Ⅰ(計画) 20問 | 計2時間 |
学科Ⅱ(環境・設備) 20問 | |||
学科Ⅲ(法規) 30問 | 1時間45分 | ||
学科Ⅳ(構造) 30問 | 計2時間45分 | ||
学科Ⅴ(施工) 25問 | |||
設計製図の試験 | あらかじめ公表する課題の建築物についての設計図書の作成 | 設計製図 1課題 | 6時間30分 |
二級・木造建築士試験
受験資格
建築士法第15条 | 建築に関する学歴等 |
第一号 | 大学(短期大学を含む)、高等専門学校、高等学校において、指定科目を修めて卒業した者 |
第二号 | その他都道府県知事が特に認める者 |
第三号 | 建築実務の経験を7年以上有する者 |
試験の構成
試験の区分 | 出題形式 | 出題科目 | 試験時間 |
学科の試験 | 五肢択一式 | 学科Ⅰ(建築計画) 25問 | 計3時間 |
学科Ⅱ(建築法規) 25問 | |||
学科Ⅲ(建築構造) 25問 | 計3時間 | ||
学科Ⅳ(建築施工) 25問 | |||
設計製図の試験 | あらかじめ公表する課題の建築物についての設計図書の作成 | 設計製図 1課題 | 5時間 |
建築士試験 試験で問われるもの
1級建築士試験では、複雑高度な技術を要する建築物の設計及び工事監理や、二級建築士、木造建築士の指導に携わるのに必要な知識、技術、職業倫理が問われます。
二級建築士試験、木造建築士試験では、個人住宅など日常生活に必要な建築物の設計及び工事監理に必要な知識、技術、職業倫理が問われます。なお、2級建築士と木造建築士は試験基準が建築士法施工規則13条及び14条で規定がされています。
建築士試験の勉強方法
建築士試験の合格率は、1級が10%、2級が25%、木建が38%と、1級と2級は高い難易度の試験であることを示しています。
建築士試験の問題は、五肢択一式の学科試験と、設計製図試験に分けて行われます。1級の学科試験は5パートに分けられ、学科Ⅰが計画で20問、学科Ⅱが環境と設備で20問、この2パートを合わせて2時間です。学科Ⅲは法規で30問を1時間45分の解答時間があります。学科Ⅳは構造で30問、学科Ⅴ施工で25問を合わせて2時間45分で解答します。1級の学科試験をまとめると、125問を6時間30分で行います。合格基準は、それぞれのパートで最低基準点が決まっていて、総得点125点に対し70%~80%の得点が必要です。必要得点は年度によって変わるようです。
建築士試験2級の学科試験も建築士試験木造の学科試験も、内容は1級とほぼ同じですが、総問題数100問を6時間で解答し、60%以上で合格です。2級と木造の設計製図も1級と同じように採点されますが、時間制限は5時間です。2級と木造は、1級に比べると難易度は大きく下がることが分かります。
建築士試験の学科試験の勉強法は、過去問題集を10年分くらい、繰り返して勉強することが効果的でしょう。学科試験の分野は、広すぎて、参考書を一から始めるには膨大な時間と的の絞り方が難しいと試験です。
過去問は、何度か繰り返される問題や、言い回しを変えた同類の問題も多いため、得点できる確率が増えます。過去問題集を使った勉強法として、単なる丸暗記ではなく、解説が詳しい問題集を選び、分からない言葉は参考書を使ってはっきりさせておくなど、勉強に工夫を凝らすことで、合格の確率が上がることでしょう。
建築士試験の設計製図試験への勉強対策についてご紹介します。1級の設計製図試験は、与えられた内容と条件から、6時間30分の持ち時間で、建築物を計画・設計書作成・製図を行い、空間構成・建築計画・構造・設備・条件や要求への満足度から審査されます。ただし、製図の課題は事前に公表されるため、ちょっとの準備時間は持てそうです。
設計と製図作成問題は、実際に人が住むという前提での設計・製図作成のため、独学で勉強しても、合格できるような設計製図の効果は得られないでしょう。第一、できたものが良いかどうかの判断ができません。そこで、設計・製図は、対策講座などを利用して、勉強することが一番の近道でしょう。また、1級建築士試験の考え方として、まずは学科試験の合格を目指して1年間を過ごし、学科試験に合格すれば、次の年から4年間に2回の設計製図試験の機会が与えられますので、設計製図試験は後回しという考え方も良いのではないでしょうか。設計・製図については2級などでも対策は同じです。