ホテルやレストランなどのサービスでの接客応対はもちろん、ビジネスでの顧客との応対もきちんとした対応をしないと、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性があります。そのために、サービス業務に関わらず普通の企業でも接客サービスの質を判定する検定制度が、サービス接遇検定です。
この記事では、サービス接遇検定とはどのような検定なのか、サービス接遇検定の費用や日程、難易度、合格率について解説します。
サービス接遇検定とは その1
サービス接遇検定とは、サービスに対する心構えや応対の技術、言葉遣い、立ち居振る舞いといった、接客サービスの質を判定する検定です。
サービス接遇検定は、公益財団法人の実務技能検定協会が試験を実施しています。実務技能検定協会が主催している試験には、サービス接遇検定以外に、秘書検定・ビジネス文書検定・ビジネス実務マナー検定・ビジネス電話検定などがあります。
サービス接遇検定は、1級、準1級、2級、3級の4つの階級に分けて試験が行われます。準1級とは2級検定合格者が面接試験を合格したときの検定合格者です。
サービス接遇検定では、サービス業務に対する心構え、対人心理の理解、応対の技術、口のきき方、態度・振舞いなどサービス業で必要となるスキルを取得・理解できているかが審査されます。試験内容は各級すべて「理論試験」と「実技試験」の領域に区分されて出題され、それぞれの領域区分で6割以上の得点を取る必要があります。
実務技能検定協会から公式テキストや問題集が発売されているため、それをまず利用しましょう。
試験は2,3級はマークシートの選択方式ですが、1級はすべて記述式で出題され、さらに面接試験もあり、合格率も2,3級は7割程度であるのに対し、1級は3割程度まで落ち込みます。そのため1級合格には、より深いスキルの取得・理解が必要となります。
試験日程・申し込み方法
サービス接遇検定試験の筆記試験は、6月と11月の年2回開催されています。
例えば、2021年の場合は、下記の日程になっています。
6月6日(日)・11月7日(日)
2022年の試験日は、2月13日(団体試験)、6月12日(個人受験)の予定です。
申し込みは試験日の約2か月前から受け付けています。公益財団法人の実務技能検定協会のホームページで申し込むことができます。申し込み方法は、インターネット申込と郵送申込の2種類です。1級と2級、2級と3級、1級と準1級、準1級と2級といったように、複数の等級を同時に受験することもできます。面接試験は、筆記試験とは別の日に実施されます。
筆記試験の試験会場
- 札幌
- 旭川
- 仙台
- 秋田
- 郡山
- 東京
- 横浜
- 新潟
- 上越
- 富山
- 金沢
- 福井
- 松本
- 静岡
- 名古屋
- 大阪
- 神戸
- 姫路
- 和歌山
- 倉敷
- 広島
- 光
- 松山
- 福岡
- 熊本
- 大分
- 宮崎
- 那覇
サービス接遇検定とは その2
1級面接試験日程
サービス接遇検定試験1級の面接試験は、12月~1月に開催されています。
例えば、2021年の場合は、下記の日程になっています。
- 札 幌 2021年12月12日(日)
- 仙 台 2022年1月23日(日)
- 東 京 2022年2月5日(土)
- 名古屋 2022年1月29日(土)
- 大 阪 2022年1月30日(日)
- 広 島 2022年1月22日(土)
- 高 松 2021年12月4日(土)
- 福 岡 2022年1月23日(日)
- 那 覇 2021年12月18日(土)
準1級面接試験日程
サービス接遇検定試験1級の面接試験は、12月に開催されています。
例えば、2021年の場合は、下記の日程になっています。
- 札 幌 2021年12月11日(土)
- 仙 台 2021年12月12日(日)
- 東 京 2021年12月11日(土)
- 東 京 2021年12月12日(日)
- 東 京 2021年12月18日(土)
- 新 潟 2021年12月11日(土)
- 名古屋 2021年12月11日(土)
- 名古屋 2021年12月12日(日)
- 大 阪 2021年12月11日(土)
- 大 阪 2021年12月12日(日)
- 大 阪 2021年12月18日(土)
- 岡 山 2021年12月12日(日)
- 広 島 2021年12月11日(土)
- 福 岡 2021年12月11日(土)
- 福 岡 2021年12月12日(日)
- 那 覇 2021年12月12日(日)
受験料金・支払い方法
サービス接遇検定試験の受験料金は以下の通りです。
- 1級:6,500円(税込)
- 準1級:4,700円(税込)
- 2級:3,900円(税込)
- 3級 :2,700円(税込)
- 1・準1級: 11,200円(税込)
- 準1・2級: 8,600円(税込)
- 準1・3級: 7,400円(税込)
- 1・2級: 10,400円(税込)
- 2・3級: 6,600円(税込)
- 1・準1・2級: 15,100円(税込)
- 準1・2・3級: 11,300円(税込)
サービス接遇検定試験の支払い方法は、以下の3種類があります。
- クレジットカードでの支払い
- コンビニエンスストアでの支払い
- 現金書留
サービス接遇検定とは その3
試験内容
検定の内容は、2級と3級はマークシート方式と記述式の問題で、面接検定はありません。1級は筆記試験は全て記述式で、面接による検定も加わります。準1級は面接のみで、1級と準1級の面接は、2人1組でロールプレイングを行い、検定する方式です。
サービス接遇検定の筆記試験は、等級によって、マークシート方式か記述式の違いはあります。
サービス接遇検定2級と3級試験では、理論として、サービススタッフの資質・専門知識・一般知識・対人技能・実務技能がマークシート方式で20問問われ、実技として、対人技能と実務技能が、記述式の問題として出題されます。解答時間は、2級が100分、3級が90分です。
サービス接遇検定1級試験では、サービススタッフの資質・専門知識・一般知識・対人技能・実務技能すべてが記述式問題で、17問出題されます。制限時間は2時間です。筆記試験の後に、実技として、テレセールスとセールストークを、2人1組でロールプレイングを10分程度行い、検定受けることになります。1級2級3級とも合格点は、60%以上の得点が必要です。
また、1級や準1級では、2人1組でロールプレイングの実技審査対応として、日常的に何人かで対人関係を模擬し、ロールプレイを行っていれば、実際の実技に活かせるでしょう。
1級 | 準1級 | 2級 | 3級 | |
試験形式 |
筆記試験(記述式) 面接試験 |
面接試験 | 筆記試験(マークシート方式と記述式) | 筆記試験(マークシート方式と記述式) |
試験時間 | 2時間10分 | – | 1時間50分 | 1時間40分 |
到達目標 | サービス接遇実務について十分な理解、および高度な知識、技能を持ち、専門的なサービス能力が発揮できる。 | 2級試験合格者を対象に、サービス接遇担当者としての口頭表現について面接による簡単な審査を行う。 | サービス接遇実務について理解を持ち、一般的なサービスを行うのに必要な知識。技能を持っている。 | サービス接遇実務について初歩的な理解を持ち、基本的なサービスを行うのに必要な知識、技能を持っている |
受験資格
サービス接遇検定の受験資格は、特になく、誰でも受験が可能です。ただし、準1級だけは、受験資格に2級合格資格が必要になります。
ホテルなどのサービス業に関わる人、顧客との接客が多いビジネス関係者、患者さんとの接客を重視する医療関係者など、接客が仕事の一部になっている人の受験が多いようです。
合格基準
理論試験(サービススタッフの資質・専門知識・一般知識)、実技試験(対人技能・実務技能)のそれぞれの得点が60%以上で合格です。
合格率・難易度
サービス接遇検定の合格率は、1級が約40%、準1級が約85%、2級が65%、3級が約80%です。1級の難易度がやや高く、2級・3級は低い難易度となっています。準1級は筆記試験がなく面接試験のみなので、合格率が高くなっています。
第53回サービス接遇検定の結果は、2級で受験者数9,101名・合格者数8,291名・合格率91.1%、3級で受験者数10,977名・合格者数8,415名・合格率76.7%です。
第52回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
1級 | 489名 | 191名 | 39.1% |
準1級 | 2,600名 | 2,173名 | 83.6% |
2級 | 7,229名 | 5,930名 | 82.0% |
3級 | 10,424名 | 8,250名 | 79.1% |
第50回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
1級 | 475名 | 157名 | 33.1% |
準1級 | 4,044名 | 3,425名 | 84.7% |
2級 | 11,989名 | 8,287名 | 69.1% |
3級 | 16,541名 | 10,676名 | 64.5% |
参考資料:https://jitsumu-kentei.jp/SV/totalize/contents
サービス接遇検定2級・3級は、サービス業・接客業の基本的な知識と技能を問う問題で、実際に働いている人であれば、常識の範囲で答えられる問題も多いです。経験豊富な人であれば数時間、全く経験がない人でも毎日1時間、数カ月の勉強で合格できます。
一方、サービス接遇検定1級・準1級については、難易度が高くなっています。筆記試験以外に面接試験があり、筆記試験についてはマークシート方式の問題がなくなり、記述問題のみとなっているからです。面接試験では、実技としてテレセールスとセールストークを2人1組でロールプレイングを行うため、サービス業・接客業の経験がなければ合格は難しいです。
サービス接遇検定の難易度については、公益財団法人の実務技能検定協会で公開されている、過去問と模範解答が参考になります。サービス接遇検定の1~3級の筆記試験で実際に出題された問題と、模範解答が公開されています。
審査基準
サービス接遇検定では、審査基準が示されています。
サービススタッフの資質では、明るさと誠実・判断と表現・身だしなみ・良識と素直な態度・行動と協調性・清潔感・忍耐力行動が評価されます。
専門知識では、サービスの意義・サービスの機能・サービスの種類・商業用語と経済用語の理解を求めます。一般知識では、社会常識の理解・時事問題の理解が問われます。
対人技能では、人間関係の理解・対人心理の理解・一般的マナー・接遇者マナー・接遇用語・接遇者としての話し方・提示や説明の仕方・接遇者として服装が評価されます。
最後の実務技能では、問題処理の理解・環境整備の理解・金品管理の理解・社交儀礼業務の理解ができるかどうかが試されます。
サービス接遇検定の勉強法
サービス接遇検定では、マークシート方式と記述式の問題が出題されます。マークシート方式は5つの選択肢から正解を選ぶ形式なので、比較的に勉強しやすいです。一方、記述式の問題には、決まった答えがありません。記述式は丸暗記では対応できない問題も多く、自分の頭で考えて文章を書く技術を身に付ける必要があります。
サービス接遇検定には、NPO法人日本サービスマナー協会やユーキャンなどが開講しているオンライン講座があります。独学で勉強する自信がない場合は、利用することも検討してみましょう。
マークシート方式
サービス接遇検定2級と3級では、マークシート方式と記述式の問題が出題されます。記述式の問題は一部のみで、大半がマークシート方式の問題です。5つの選択肢から適当なものを選ぶ、あるいは不適当なものを選ぶ問題が多くなっています。
マークシート方式の問題の勉強法は、テキストの内容を理解し、過去問の問題集を繰り返し勉強することです。2級と3級であれば、独学で十分合格できます。
おすすめのテキスト・問題集については、下記ページで紹介しています。
記述式
サービス接遇検定1級の筆記試験は、すべての問題が記述式です。2級と3級でも記述式の問題が出題されますが、それほど多くはありません。
答えを選ぶだけのマークシート方式とは異なり、正しい答えを自分の文章で書く必要があります。できるだけ多くの過去問や問題集に挑戦し、模範解答を参考に、自分で文章を書く訓練をしておきましょう。
解答するに当たってのポイントは、論理的に文章を書くことです。自身の経験やこうあるべきといったような自分の考えでなく、テキストや問題集を利用して学習し、論理的に解答を行っていくことがポイントとなります。
一般知識を問われる問題に関しては、普段の業務時から意識して、わからない専門用語を無くすように努めておきましょう。