公害防止管理者は、特定の工場に配置が義務付けられた資格保有者です。 公害の発生が懸念される工場では、公害防止管理者を配置することが義務付けられています。 資格は国家資格であり、試験に合格したものでなければ、公害防止管理者となることはできません。 公害防止管理者の資格を持っていると、国家資格の技術士の資格を取得する際に、 一次試験の共通科目が免除されるメリットがあります。
公害防止管理者とは
公害防止管理者は、工場等の生産活動から生じる排気ガス、排水、粉じん、騒音、振動等が、周辺の地域環境に 公害を引き起こさないように、管理監督することを主たる業務としています。 ダイオキシンの発生を防ぐことも、業務のひとつです。 工場内で働く従業員の健康被害を防ぐことも業務の一環であり、人事的な側面も有する業務であるといえます。
公害防止管理者になるには
公害防止管理者になるには、国家資格に合格するか、一定の資格をもつものを対象とした認定講習を受ける必要があります。
仕事内容
公害防止管理者の仕事内容は、公害防止組織の設置が義務付けられた工場において、排出するガスや水に含まれる、 ダイオキシンの量や配水などの汚染具合・ばい煙の量・粉じんの量などを測定します。 燃料や原材料の検査も、業務のひとつになります。 公害防止組織の設置が義務付けられた工場を運営する企業や、環境関連の企業で働くことができます。
資格の区分
公害防止管理者の資格は、公害発生施設ごとに、13種類の資格区分に分かれています。
- 大気関係第1種公害防止管理者
- 大気関係第2種公害防止管理者
- 大気関係第3種公害防止管理者
- 大気関係第4種公害防止管理者
- 水質関係第1種公害防止管理者
- 水質関係第2種公害防止管理者
- 水質関係第3種公害防止管理者
- 水質関係第4種公害防止管理者
- 騒音・振動関係公害防止管理者
- 特定粉じん関係公害防止管理者
- 一般粉じん関係公害防止管理者
- ダイオキシン類関係公害防止管理者
- 公害防止主任管理者
公害防止管理者等資格認定講習
公害防止管理者等資格認定講習は、一般社団法人 産業環境管理協会が実施しています。
書類審査を経て規定の講習を受講し修了試験に合格すれば、公害防止管理者の資格が得られます。
受講資格
仮申込みの段階で書類審査が行われ、受講資格が認められた方のみ受講できます。
仮申込みを行うには、技術資格もしくは学歴及び実務経験資格のいずれかの資格が必要です。
受講料
- 大気関係第1種公害防止管理者: 37,500円
- 大気関係第2種公害防止管理者: 29,000円
- 大気関係第3種公害防止管理者: 31,500円
- 大気関係第4種公害防止管理者: 22,500円
- 水質関係第1種公害防止管理者: 37,500円
- 水質関係第2種公害防止管理者: 29,000円
- 水質関係第3種公害防止管理者: 31,500円
- 水質関係第4種公害防止管理者: 22,500円
- 騒音・振動関係公害防止管理者: 35,000円
- 特定粉じん関係公害防止管理者: 17,000円
- 一般粉じん関係公害防止管理者: 16,000円
- ダイオキシン類関係公害防止管理者: 29,000円
- 公害防止主任管理者: 42,500円
※すべて非課税
公害防止管理者試験 その1
公害防止管理者試験は、一般社団法人 産業環境管理協会が実施しています。
受験資格
学歴や年齢、実務経験などの受験資格はなく、誰でも受験できます。
日程
年に1回、10月上旬に実施されています。
例えば、2021年の日程は10月3日(日)です。
試験地
札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪市、広島市、高松市、福岡市、那覇市とその周辺都市
受験料
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8,700円(非課税) |
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8,200円(非課税) |
試験科目
公害防止管理者試験の試験科目は、試験区分ごとに異なります。
大気関係公害防止管理者(第1種~第4種)
公害総論、大気概論、大気特論、ばいじん・粉じん特論、大気有害物質特論、大規模大気特論
水質関係公害防止管理者(第1種~第4種)
公害総論、水質概論、汚水処理特論、水質有害物質特論、大規模水質特論
騒音・振動関係公害防止管理者
公害総論、騒音・振動概論、騒音・振動特論
特定粉じん関係公害防止管理者
公害総論、大気概論、ばいじん・粉じん特論
一般粉じん関係公害防止管理者
公害総論、大気概論、ばいじん・粉じん特論
ダイオキシン類関係公害防止管理者
公害総論、ダイオキシン類概論、ダイオキシン類特論
公害防止主任管理者
公害総論、大気・水質概論、大気関係技術特論、水質関係技術特論
公害防止管理者試験 その2
合格基準
受験する資格区分で必要な試験科目の全てに合格することで合格です。
それぞれの試験科目は、満点の60%以上の得点で合格になります。
合格率・難易度
2019年から2021年に実施された公害防止管理者試験の平均合格率は、27.0%です。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2021年 | 19,946 | 5,774 | 28.9 |
2020年 | 20,008 | 5,195 | 26.0 |
2019年 | 23,507 | 6,189 | 26.3 |
計 | 63,461 | 17,158 | 27.0% |
参考資料:
令和元年度公害防止管理者等国家試験結果
公害防止管理者試験の勉強方法
公害防止管理者試験の勉強時間の目安は100~200時間です。出題範囲が広いため、ポイントを押さえて効率よく勉強する必要があります。
過去問を繰り返し解く
公害防止管理者試験は、過去に出題された内容と似た問題が出題される傾向があります。そのため、過去問を繰り返し解くことで傾向を掴みやすくなります。暗記で対応できる科目が多いので、毎日コツコツ勉強して内容を忘れないようにしましょう。
おすすめテキスト
公害防止管理者試験のテキスト・過去問は、一般社団法人 産業環境管理協会で販売されています。
- 新・公害防止の技術と法規2021 公害総論
- 新・公害防止の技術と法規2021 大気概論
- 新・公害防止の技術と法規2021 大気・技術編
- 新・公害防止の技術と法規2021 水質概論
- 新・公害防止の技術と法規2021 水質・技術編
上記の公式テキスト【新・公害防止の技術と法規】は、公害防止の実務的な知識が網羅されており、情報量も多いです。ただ、あまりにも分厚いことから「電話帳」と揶揄され、敬遠する方もいるようです。
市販のテキストの方がコンパクトになっているため、全体像は掴みやすいかもしれません。基本を市販のテキストで抑えつつ、過去問を解いて分からない箇所があった時に公式テキストで確認する、といった勉強方法がおすすめです。
市販されているテキスト・問題集については、下記ページで紹介しています。