問31~問40 クレーンの運転のために必要な力学に関する知識 1
◇ 力学
CD運転士 R01下期-31 H31上期-31 H29下期-31 H28下期-31
力の三要素
・力の三要素とは、力の大きさ、力の向き、力の作用点をいう。
CD運転士 R01下期-31 H31上期-31 H29上期-31 H28下期-31
同じ方向を向く合力の大きさ
・一直線上に作用する互いに同じ方向を向く二つの力の合力の大きさは、その二つの力の大きさの和または差で求められる。
CD運転士 R01下期-31 H29下期-31 H28下期-31
物体は合力の方向に動く
・小さな物体の1点に大きさが異なり向きが一直線上にない二つの力が作用して物体が動くとき、その物体は合力の方向に動く。
CD運転士 H31上期-31 H29下期-31
力の合力は0になる
・多数の力が一点に作用し、つり合っているとき、これらの力の合力は0になる。
CD運転士 R01下期-31 H29下期-31 H29上期-31
物体に与える効果が変わる
・力が物体に作用する位置を作用線上以外の箇所に移すと、物体に与える効果が変わる。
CD運転士 H31上期-31 H29上期-31
一つの力にまとめることができる
・物体の一点に二つ以上の力が働いているとき、その二つ以上の力をそれと同じ効果を持つ一つの力にまとめることができる。
CD運転士 R01下期-31 H28下期-31
てこの握りの位置
・てこを使って重量物を持ち上げる場合、握りの位置を支点に近づけるほど大きな力が必要になる。
CD運転士 H31上期-31 H29下期-31 H29上期-31
力の大きさと垂線の長さの積
・力のモーメントの大きさは、力の大きさと、回転軸の中心から力の作用線に下ろした垂線の長さの積で求められる。
・力の大きさをF、回転軸の中心から力の作用線に下ろした垂線の長さをLとすれば、力のモーメントMは、M=F×Lで求められる。
CD運転士 H29上期-31
力の作用と反作用
・力の作用と反作用とは、同じ直線上で作用し、大きさが等しく、向きが反対である。
CD運転士 H28下期-31
力の向きを示す矢印
・力を図で表す場合、力の作用点から力の向きに力の大きさに比例した長さの線分を書き、力の向きを矢印で示す。
CD運転士 R01下期-32
物体に働く摩擦力
・他の物体に接触し、その接触面に沿う方向の力が作用している物体が静止しているとき、接触面に働いている摩擦力を静止摩擦力という。
・静止摩擦力は、物体に徐々に力を加えて物体が接触面に沿って動き出す瞬間に最大となる。
・運動摩擦力の大きさは、物体の接触面に作用する垂直力の大きさと比例する。
・物体に働く運動摩擦力は、最大静止摩擦力より小さい。
・円柱状の物体を動かす場合、転がり摩擦力は滑り摩擦力に比べると小さい。
◇ 物体の質量と比重
CD運転士 R01下期-33 H30下期-33 H30上期-33 H28下期-36
物体の質量と比重
・アルミニウム 1m3 の質量は、約 2.7t である。
・アルミニウム 1m3 の質量と、水 2.7m3 の質量は、ほぼ同じである。
・銅 1m の質量は、約 8.9t である。
・鋳鉄 1mの質量と、水 7.2m3 の質量は、ほぼ同じである。
・鉛 1m3 の質量は、約 11.4t である。
・比重の大きい順に並べると、鉛>鋼>アルミニウム>木材 となる。
CD運転士 R01下期-33 H30下期-33 H30上期-33 H28下期-36
物体の質量の計算
・物体の体積をV、その単位体積当たりの質量をdとすれば、その物体の質量Wは、
W=V×dで求められる。
・鋼の丸棒が、その長さは同じで、直径が3倍になると、質量は9倍になる。
・形状が立方体で均質な材質でできている物体では、縦、横、高さ3辺の長さがそれぞれ 4倍 になると質量は 64倍 になる。
CD運転士 H31上期-33 H29下期-33
銅板の質量の計算
長さ2m、幅1m、厚さ 10mm の鋼板 30枚 の質量を求める。
〔設問で与えられる数値〕
長さ L = 2 m
幅 W = 1 m
厚さ t = 0.01 m
枚数 N = 30 枚
鋼板の体積1m3あたりの質量は約7.8t。
〔解答計算〕
鋼板1枚あたりの体積(m3) = L × W × t = 2 × 1 × 0.01 = 0.02 m3
鋼板の質量 = 鋼板1枚あたりの体積(m3) × 枚数(枚) × 7.8(t)
= 0.02 × 30 × 7.8 = 4.7 t
CD運転士 H29上期-32
鋳鉄製の直方体の質量
長さ1m 、幅30cm、高さ20cm の鋳鉄製の直方体の質量を求める。
〔設問で与えられる数値〕
長さ L = 1.0 m
幅 W = 0.3 m
高さ H = 0.2 m
鋳鉄の体積1m3あたりの質量は約 7.2 t。
〔解答計算〕
鋳鉄製の直方体の体積(m3) = L × W × H = 1 × 0.3 × 0.2 = 0.06 m3
鋳鉄製の直方体の質量 = 鋳鉄製の直方体の体積(m3) × 7.2 t
= 0.06 × 7.2 = 0.432 t = 432 kg
◇ 物体の重心、合力
CD運転士 R01下期-34 H31上期-34 H30下期-34 H29上期-34 H28下期-39
合力の作用点が重心
・物体を構成する各部分には、それぞれ重力が作用しており、それらの合力の作用点を重心という。
CD運転士 H30下期-34 H29下期-34 H29上期-34 H28下期-39
物体の重心は一つ
・複雑な形状の物体であっても、物体の重心は、一つの点である。
CD運転士 R01下期-34 H31上期-34 H30下期-34 H29上期-34 H28下期-39
重心は内部にあるとは限らない
・重心は、物体の形状によっては必ずしも物体の内部にあるとは限らない。
CD運転士 H29下期-34
重心の位置は変わらない
・重心は置き方を変えても、物体に対する重心の位置は変わらない。
CD運転士 H30下期-34 H29下期-34 H29上期-34 H28下期-39
位置が低くなるほど安定
・直方体の物体の置き方を変える場合、重心の位置が高くなるほど安定性は悪くなる。
・直方体の物体の置き方を変える場合、重心の位置が低くなるほど安定性は良くなる。
CD運転士 R01下期-34 H31上期-34 H30下期-34 H29下期-34 H29上期-34 H28下期-39
物体を傾けると倒れる
・水平面上に置いた直方体の物体を傾けた場合、重心からの鉛直線がその物体の底面を外れるときは、その物体は元の位置に戻らないで倒れる。
・水平面上に置いた直方体の物体を傾けた場合、重心からの鉛直線がその物体の底面を通るときは、その物体は倒れない。
CD運転士 R01下期-34 H31上期-34
円錐体の重心の位置
・円錐体の重心の位置は、円錐体の頂点と底面の円の中心を結んだ線分の円錐の底面からの高さが頂点までの高さの4分の1の位置にある。
CD運転士 R01下期-34 H31上期-34 H29下期-34
重心位置の判定
・長尺の荷をクレーンでつり上げるため、目安で重心位置を定めてその真上にフックを置き、玉掛けを行い、地切り直前まで少しだけつり上げたとき、荷が傾いた場合は、荷の実際の重心位置は目安とした重心位置よりも傾斜の低い側にある。
・重心の位置判定が難しい荷をつり上げるときは、目安で重心位置を定めてその真上にフックを置き、床面近くで少しだけつり上げ動作を行い、荷がつり上がる直前の段階でつり荷の状態を確認し、荷が水平に上がるまで玉掛け位置の調整を繰り返す。
CD運転士 H30下期-31 H30上期-31
合力に近い値を求める
0点に同一平面上の三つの力P1、P2、P3が作用しているときの合点を求める。
〔解答〕
P1、P2をP3の矢印の先へ平行移動させる。
3つの力の合力を図示すると、合点はCとなる。
CD運転士 H30上期-34
物体を元に戻そうとするモーメント
水平面に置いてある物体を図に示すように傾けると、この物体に作用している重力により生じた力が合点Wとして重心Gに鉛直に作用し、回転の中心△を支点として、物体を元に戻そうとする方向にモーメントとして働く。
問31~問40 クレーンの運転のために必要な力学に関する知識 2
◇ 荷重
CD運転士 R01下期-37 H31上期-37 H30下期-37 H29下期-37 H28下期-32
せん断荷重、圧縮荷重
・せん断荷重は、材料を押し切るように働く荷重である。
・圧縮荷重は、材料を押し締めるように働く荷重である。
CD運転士 R01下期-37 H31上期-37 H29下期-37 H29上期-37 H28下期-32
静荷重、動荷重
・荷重には静荷重と動荷重があり、動荷重には繰返し荷重と衝撃荷重がある。
・静荷重は、大きさと向きが変わらない荷重である。
・衝撃荷重は、極めて短時間に急激に加わる荷重である。
CD運転士 H30下期-37 H30上期-37 H28下期-32
片振り荷重、両振り荷重
・片振り荷重は、向きは同じであるが、大きさが時間とともに変わる荷重である。
・両振り荷重は、向きと大きさが時間とともに変わる荷重である。
CD運転士 H29上期-37
ねじり荷重
・円筒形の丸棒の一端の面を壁に当てて、丸棒を壁に垂直に固定し、棒の軸を中心として他方の端を回転させようとするときに働く荷重は、ねじり荷重である。
CD運転士 R01下期-37 H31上期-37 H30下期-37 H30上期-37 H29下期-37 H29上期-37 H28下期-32
クレーンのフック、ワイヤロープの荷重
・クレーンのフックには、引張荷重と曲げ荷重がかかる。
・クレーンのシーブを通る巻上げ用ワイヤロープには、引張荷重と曲げ荷重がかかる。
CD運転士 R01下期-37 H31上期-37 H30下期-37 H30上期-37 H29下期-37 H29上期-37
天井クレーンのガーダの荷重
・天井クレーンのクレーンガーダには、主に曲げ荷重がかかる。
CD運転士 H31上期-37 H30下期-37 H30上期-37 H29下期-37
クレーンの巻上げドラムの軸の荷重
・クレーンの巻上げドラムの軸には、主にねじり荷重と曲げ荷重がかかる。
CD運転士 H30上期-37 H29上期-37
玉掛け用ワイヤロープの急制動
・荷の巻き下げ中に急制動すると、玉掛け用ワイヤロープには、衝撃荷重がかかる。
◇ 力学に関する計算問題
CD運転士 R01下期-35 H31上期-35 H30上期-35 H29下期-35 H29上期-35
つり荷が移動する距離の計算
天井クレーンで荷をつり上げ、つり荷を移動させるためにクレーンを10秒間に4m移動する速度で走行させながら、10秒間に3m移動する速度で横行させ続けているとき、つり荷が10秒間に移動する距離を求める。
〔設問で与えられる数値〕
走行速度 v1 = 0.4 m/s (1秒間の移動速度)
横行速度 v2 = 0.3 m/s (1秒間の移動速度)
〔解答計算〕
つり荷の速度vは、以下の式で求めることができる。
(v)^2 = (v1)^2 + (v2)^2 = 0.4^2 + 0.3^2 = 0.25
よって、v = √0.25 = 0.5 m/s
したがって、つり荷が10秒間に移動する距離Lは、
L = 0.5 m/s × 10 秒 = 5 m である。
CD運転士 H30下期-35 H28下期-34
ジブ先端の速度の計算
ジブクレーンのジブが作業半径 15m で、3分間に1回転する速度で旋回を続けているときのジブ先端の速度を求める。
〔設問で与えられる数値〕
作業半径 r = 15 m
1回転にかかる時間 t = 180 秒
〔解答計算〕
設問より、作業直径 d = 15 × 2 = 30 m
円周 c = 作業直径 × π = 30 × 3.14 = 94.2
ジブの先端の速度v = 円周 / 1回転にかかる時間 = c / t
= 94.2 / 180 = 0.5 m/s
CD運転士 H31上期-36 H30下期-36 H30上期-36 H29下期-36
水平に置いた物体が動き始める質量
物体を引っ張り、動き始める直前の力 F の値が 490N であったときの、物体の質量Wを求める。接触面の静止摩擦係数は 0.4 とし、重力の加速度は 9.8m/s2 とする。
〔設問で与えられる数値〕
静止摩擦係数 μ = 0.4
重力の加速度 g = 9.8 m/s2
最大静止摩擦力 F = 490 N
〔解答計算〕
物体の質量を M = W kg とすると、
最大静止摩擦力 F = 静止摩擦係数 × 物体の質量 × 重力の加速度
= μ × W × g = 0.4 × W × 9.8 = 3.92W
よって、物体の質量 W = 最大静止摩擦力 F / 3.92
= 490 N / 3.92 = 125 kg
CD運転士 H29上期-36 H28下期-33
水平に置いた物体の動き始める力
水平な床面に置いた質量 120kg の物体を床面に沿って引っ張るとき、動き始める直前の力Fを求める。ただし、接触面の静止摩擦係数は 0.4 、重力の加速度は 9.8m/s2 とする。
〔設問で与えられる数値〕
静止摩擦係数 μ = 0.4
重力の加速度 g = 9.8 m/s2
物体の質量 M = 120 kg
〔解答計算〕
最大静止摩擦力(動き始める直前の力) F は、
F = 静止摩擦係数 × 物体の質量 × 重力の加速度 = μ × M × g
= 0.4 × 120 × 9.8 = 470 N
CD運転士 R01下期-36 H30上期-32 H29下期-32 H28下期-37
天井クレーンの支点が支える力
天井クレーンで質量 4t の荷をつるときの、レールBの支点が支える力を求める。
ただし重力の加速度は 9.8m/s2 とし、クレーンガーダ、クラブトロリ及びワイヤロープの質量は考えないものとする。
〔設問で与えられる数値〕
天井クレーンでつる荷の質量 M = 4 t
重力の加速度 g = 9.8m/s2
〔解答計算〕
支点Fを中心として、
左側の距離 L1 = 10 m
右側の距離 L2 = ( 17m – 10m ) = 7 m
左側のレールAが受ける力 A
右側のレールBが受ける力 B とすると、
レールにかかる合計の力 = A + B = M × g = 4 × 9.8 = 39.2 kN
荷の位置を支点として、左右がつりあっているとき、
L1 × A = L2 × B より、 10 × A = 7 × B
A + B = 39.2 より、A = 39.2 - B とし、上記式に代入すると、
10 × ( 39.2 - B ) = 7 × B
17B = 392 より、
レールBが受ける力 B = 392 / 17 = 23 kN
〔レールAが受ける力を求める場合〕
A + B = 39.2 より、B = 39.2 - A とし、上記式に代入すると、
10 × A = 7 × ( 39.2 - A )
17A = 274.4 より、
レールAが受ける力 A = 274.4 / 17 = 16 kN
CD運転士 H31上期-32 H30下期-32
天びん棒を支える力の計算
天びん棒で荷Wをワイヤロープでつり下げ、つり合うとき、天びん棒を支えるための力Fの値を求める。ただし、重力の加速度は 9.8m/s2 とし、天びん棒及びワイヤロープの質量は考えないものとする
〔設問で与えられる数値〕
重力の加速度 g = 9.8 m/s2
支点Fを中心として、
左側の距離 L1 = 1 m
右側の距離 L2 = 1.5 m
左側の質量 M1 = W (今回の計算によって求める)
右側の質量 M2 = 20 kg
〔解答計算〕
支点Fを中心として左右がつりあっているとき、次式が成り立つ
L1 × M1 = L2 × M2 より、1 × W = 1.5 × 20
よって、W = 1.5 × 20 = 30 kg
支点Fにかかる力 = ( M1 + M2 ) × g = ( 30 + 20 ) × 9.8
= 490 N
CD運転士 H29上期-33
ジブクレーンのモーメントの計算
ジブクレーンにおいて、質量 300㎏ の荷をつり上げ、A点からジブの先端方向にB点まで移動させたとき、荷がAの位置のときの支点0におけるモーメント M1、荷がBの位置のときの支点0におけるモーメント M2 の値を求める。
ただし、重力の加速度は 9.8m/s2 とし、荷以外の質量は考えないものとする。
〔設問で与えられる数値〕
荷の質量 m = 300 kg
重力の加速度 g = 9.8m/s2
A位置での腕の長さ L1 = 2 m
B位置での腕の長さ L2 = 5 m
〔解答計算〕
力のモーメント M = m × L × g
・荷がAの位置のときのモーメント M1
力のモーメント M1 = m × L1 × g
= 300 × 2 × 9.8
= 5.9 kN・m
・荷がBの位置のときのモーメントM2
力のモーメント M2 = m × L2 × g
= 300 × 5 × 9.8
= 14.7 kN・m
CD運転士 R01下期-38 H30上期-38 H29下期-38
直方体つりのワイヤロープ張力の計算
アルミニウム製の直方体を同じ長さの2本の玉掛け用ワイヤロープを用いて、つり角度 60°でつるとき、1本のワイヤロープにかかる張力の値を求める。
ただし、アルミニウムの1m3当たりの質量は 2.7t、重力の加速度は 9.8m/s2 とする。また、荷の左右のつり合いは取れており、左右のワイヤロープの張力は同じとし、ワイヤロープ及び荷のつり金具の質量は考えない。
〔設問で与えられる数値〕
直方体の底面積 S = 1.0 × 1.0 = 1.0 m2
直方体の高さ H = 1.0 m
つり本数 = 2 本
つり角度 r = 60°
アルミニウムの1m3当たりの質量 = 2.7 t
重力加速度 g = 9.8m/s2
〔解答計算〕
直方体の体積 V = S × H = 1.0 × 1.0
= 1.0 m3
直方体の質量 M = 直方体の体積 × 1m3当たりの質量 = 1.0 × 2.7
= 2.7 t
張力係数 k = 1 / cos30° = 1 / 0.87 = 1.15
ワイヤロープ1本にかかる張力 T は、
T = ( 直方体の質量 × 重力加速度 × 張力係数 ) / つり本数
= ( M × g × k ) / つり本数 = ( 2.7 × 9.8 × 1.15 ) / 2
= 15 kN
CD運転士 H31上期-38 H30下期-38 H29上期-38 H28下期-38
円柱つりのワイヤロープ張力の計算
直径1m、高さ2mのコンクリート製の円柱を同じ長さの2本の玉掛用ワイヤロープを用いてつり角度 60°でつるときの、1本のワイヤロープにかかる張力の値を求める。
ただし、コンクリートの1m3当たりの質量は 2.3t、重力の加速度は 9.8m/s2とする。 また、荷の左右のつり合いは取れており、左右のワイヤロープの張力は同じとし、ワイヤロープ及び荷のつり金具の質量は考えない。
〔設問で与えられる数値〕
円柱の直径 L = 1 m (半径は0.5m)
円柱の高さ H = 2 m
つり本数 = 2 本
つり角度 r = 60°
鋳鉄の1m3当たりの質量 = 2.3 t
重力加速度 g = 9.8m/s2
〔解答計算〕
円柱の体積 V = ( L / 2 ) × ( L / 2 ) × 3.14 × H
= ( 1 / 2 ) × ( 1 / 2 ) × 3.14 × 2
= 1.57 m3
円柱の質量 M = 円柱の体積 × 鋳鉄の1m3当たりの質量 = 1.57 × 2.3
= 3.611 t
張力係数 k = 1 / cos30° = 1 / 0.87 = 1.15
ワイヤロープ1本にかかる張力 T は、
T = ( 円柱の質量 × 重力加速度 × 張力係数 ) / つり本数
= ( M × g × k ) / つり本数 = ( 3.611 × 9.8 × 1.15) / 2
= 20 kN
CD運転士 R01下期-39 H31上期-39 H30下期-39 H30上期-39 H29下期-39 H29上期-39 H28下期-35
丸棒に生じる引張応力の計算
天井から垂直につるした直径 2cm の丸棒の先端に質量 400kg の荷をつり下げるときの、丸棒に生じる引張応力の値を求める。
ただし、重力の加速度は 9.8m/s2 とし、丸棒の質量は考えない。
〔設問で与えられる数値〕
丸棒の直径 L = 2 cm = 20 mm (半径は10mm)
荷の質量 M = 400 kg
重力加速度 g = 9.8m/s2
〔解答計算〕
荷に作用する引張荷重 F = 荷の質量 × 重力加速度 = M × g = 400 × 9.8
= 3,920 N
部材の断面積 A = L/2 × L/2 × 3.14 = 10 × 10 × 3.14
= 314 mm2
丸棒に生じる引張応力 σ = 荷に作用する引張荷重 F / 部材の断面積 A
= 3,920 / 314 = 12 N/mm2
CD運転士 H29上期-40 H28下期-40
縦列式滑車の引張荷重の計算
縦列式の滑車を用いて質量 200㎏ の荷をつるとき、これを支えるために必要な力Fの値を求める。ただし、重力の加速度は 9.8m/s2 とし、滑車及びワイヤロープの質量並びに摩擦は考えないものとする。
〔設問で与えられる数値〕
荷の質量 M = 200 kg
荷の数 n = 1 個
重力加速度 g = 9.8m/s2
荷重を支えるワイヤロープの数 = 8 本
〔解答計算〕
荷の引張荷重 F = ( 荷の質量 × 荷の数 × 重力加速度 ) / ワイヤロープ数
= ( M × n × g ) / ワイヤロープ数
= ( 200 × 1 × 9.8 ) / 8
= 245 N
CD運転士 H31上期-40 H30上期-40
横列式滑車の引張荷重の計算
横列式の滑車を用いて質量 150㎏ の荷を2個つるとき、これを支えるために必要な力Fを求める。
ただし、重力の加速度は 9.8m/s2 とし、滑車及びワイヤロープの質量並びに摩擦は考えない。
〔設問で与えられる数値〕
荷の質量 M = 150 kg
荷の数 n = 2 個
重力加速度 g = 9.8 m/s2
荷重を支えるワイヤロープの数 = 8 本
〔解答計算〕
荷の引張荷重 F = ( 荷の質量 × 荷の数 × 重力加速度 ) / ワイヤロープ数
= ( M × n × g ) / ワイヤロープ数
= ( 150 × 2 × 9.8 ) / 8
= 368 N
CD運転士 R01下期-40 H30下期-40 H29下期-40
組合せ滑車の引張荷重の計算
組合せ滑車を用いて質量 300kg の荷をつるとき、支えるために必要な力Fを求める。
ただし、重力の加速度は 9.8m/s2 とし、滑車及びワイヤロープの質量並びに摩擦は考えないものとする。
〔設問で与えられる数値〕
荷の質量 M = 300 kg
荷の数 n = 1 個
重力加速度 g = 9.8m/s2
動滑車の数 N = 3 個
〔解答計算〕
荷の引張荷重 F = ( 荷の質量 × 荷の数 × 重力加速度 ) / 2^(動滑車の数)
= ( M × n × g ) / 2^(3)
= ( 300 × 1 × 9.8 ) / 8
= 368 N
問31~問40 クレーンの運転の力学の知識 / 過去問からの出題傾向
クレーン・デリック運転士免許 学科試験
◎は、予想が的中したものです。
重点予想 | R01下期 | H31上期 | H30下期 | H30上期 | H29下期 | H29上期 | H28下期 | |
◇ 力学 | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | |||
力の三要素 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | |||
同じ方向を向く合力の大きさ | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | |||
物体は合力の方向に動く | 〇 | ◎ | ◎ | 〇 | ||||
力の合力は0になる | 〇 | ◎ | 〇 | |||||
物体に与える効果が変わる | 〇 | ◎ | ◎ | 〇 | ||||
一つの力にまとめることができる | 〇 | ◎ | 〇 | |||||
てこの握りの位置 | 〇 | ◎ | 〇 | |||||
力の大きさと垂線の長さの積 | 〇 | ◎ | ◎ | 〇 | ||||
力の作用と反作用 | 〇 | |||||||
力の向きを示す矢印 | 〇 | |||||||
物体に働く摩擦力 | 〇 | |||||||
◇ 物体の質量と比重 | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | |
物体の質量と比重 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | |||
物体の質量の計算 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | |||
銅板の質量の計算 | 〇 | ◎ | 〇 | |||||
鋳鉄製の直方体の質量 | 〇 | |||||||
◇ 物体の重心、合力 | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | |
合力の作用点が重心 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | ||
物体の重心は一つ | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | |||
重心は内部にあるとは限らない | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | ||
重心の位置は変わらない | 〇 | |||||||
位置が低くなるほど安定 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | |||
物体を傾けると倒れる | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | |
円錐体の重心の位置 | 〇 | ◎ | 〇 | |||||
重心位置の判定 | 〇 | ◎ | ◎ | 〇 | ||||
合力に近い値を求める | 〇 | ◎ | 〇 | |||||
物体を元に戻そうとするモーメント | 〇 | |||||||
◇ 荷重 | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | |
せん断荷重、圧縮荷重 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | ||
静荷重、動荷重 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | ||
片振り荷重、両振り荷重 | 〇 | ◎ | ◎ | 〇 | ||||
ねじり荷重 | 〇 | |||||||
クレーンのフック、ワイヤロープの荷重 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 |
天井クレーンのガーダの荷重 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | |
クレーンの巻上げドラムの軸の荷重 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | |||
玉掛け用ワイヤロープの急制動 | ◎ | 〇 | ||||||
◇ 力学に関する計算問題 | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | ◇ | |
つり荷が移動する距離の計算 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | ||
ジブ先端の速度の計算 | ◎ | 〇 | ||||||
水平に置いた物体が動き始める質量 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | |||
水平に置いた物体の動き始める力 | 〇 | ◎ | 〇 | |||||
天井クレーンの支点が支える力 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | |||
天びん棒を支える力の計算 | 〇 | ◎ | 〇 | |||||
ジブクレーンのモーメントの計算 | 〇 | |||||||
直方体つりのワイヤロープ張力の計算 | 〇 | ◎ | ◎ | 〇 | ||||
円柱つりのワイヤロープ張力の計算 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 | |||
丸棒に生じる引張応力の計算 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 |
縦列式滑車の引張荷重の計算 | 〇 | ◎ | 〇 | |||||
横列式滑車の引張荷重の計算 | 〇 | ◎ | 〇 | |||||
組合せ滑車の引張荷重の計算 | 〇 | ◎ | ◎ | 〇 | ||||