有機溶剤作業主任者試験 01


有機溶剤とはアセトンや石油エーテルのように、人が蒸気を吸込んだり、触れると重大な健康被害を及ぼす物質です。労働安全衛生法では、有機溶剤を取り扱う事業者は、溶剤作業主任者技能講習が終わった後で行う、有機溶剤作業主任者技能試験に合格した者を、作業主任者として選任し、作業を行う作業員の指揮、監督をさせることが労働安全衛生法で決められています。有機溶剤作業主任者の責任者として、有機溶剤の汚染や溶剤を吸入しない作業方法を指揮すること、局所排気装置や換気装置を毎月点検すること、保護具が正しく使われていることの確認、タンク内部作業での有機溶剤による中毒防止措置が取られていることを確認する、などの仕事が、有機溶剤作業主任者の重要な仕事です。

有機溶剤作業主任者試験の受験情報

有機溶剤作業主任者技能講習
・各都道府県の社団法人などにより開催(地域により頻度は異なるがおおむね数か月に1回程度)
・カリキュラムは2日間の学科講習
・技能講習を受講し、講習の最後の修了試験に合格することで、資格を取得。

受験資格 18歳以上の者。
試験内容 ①有機溶剤による健康障害及び予防措置の知識、
②作業環境改善方法の知識、③保護具の知識、
④関係法令、⑤修了試験
試験形式 多肢選択式
合格基準 各科目の得点が、満点中40%以上の得点率、かつ
全科目の合計得点が、満点中60%以上の得点率

有機溶剤作業主任者試験 試験で問われるもの

労働安全衛生法第14条、労働安全衛生施工法令第6条-22の規定に基づき、有機溶剤を取り扱う作業に労働者を従事させる場合、有機溶剤作業主任者技能講習を修了した者のうちから有機溶剤作業主任者を選任して作業の指揮やその他規則で定められた職務を行わせなければならないとされています。試験は講習で習った内容が多肢選択式で出題されるため、講習中は内容を聞き逃さないようにしよく理解するように努めましょう。講習では試験対策の内容以外に、資格取得後に業務で必要となる知識や技能についても講義してもらえるので意欲的に学ぶようにしましょう。

有機溶剤作業主任者試験、災害の事例

内装工事における有機溶剤の引火性の事故

災害の発生状況
内装用の断熱材の接着作業中に、接着剤に含有するノルマルヘキサンの蒸気に引火して、火災事故となった。

災害の発生原因
1.通気の悪い倉庫内で、換気を行わずに有機溶剤を含有する接着剤を用いたこと。
2.塗布・乾燥・接着の作業を連続して行ったこと。
3.防爆構造ではない投光器を使用したこと。
4.投光器のコードは損傷のあるものをを使用していたこと。
5.使用していた接着剤が「危険物」に該当するにも関わらず、適切な管理が行われていなかったこと。
6.有機溶剤作業主任者を選任する必要のある作業であったが、危険物取扱作業指揮者、有機溶剤作業主任者が選任されていなかったこと。
7.作業者に対し、有機溶剤の有害性、危険性に関する教育を行っていなかったこと。
8.作業マニュアルの作成がされておらず、有機溶剤の有害性、危険性の周知もされていなかったこと。

災害の防止対策
1.有機溶剤を含有する接着剤の塗布・乾燥の作業は屋外で行うこと。
2.やむを得ず通気の悪い屋内で行う際には、屋内での連続作業を避け換気を行うこと。
3.有機溶剤の蒸気の濃度が高くならないように留意すること。
4.ガス濃度検知警報器を作業現場に設置すること。
5.使用する電気器具は防爆構造のものとし、作業前にコード等の異常の有無を点検すること。
6.危険物取扱作業指揮者、有機溶剤作業主任者を選任し、作業の指揮をさせること。
7.作業者に対し、有機溶剤の有害性、危険性に関する教育を実施すること。
8.作業時には、作業者に有機ガス用防毒マスク等の呼吸用保護具を使用させること。

有機溶剤作業主任者の役割
多くの有機溶剤は引火性・可燃性があり、火災や爆発を起こす可能性がある。
そのため、有機溶剤作業主任者は、作業員の健康障害だけでなく、有機溶剤による火災や爆発にも細心の注意を行う必要がある。

木造住宅工事における塗装中の有機溶剤の中毒

災害の発生状況
個人住宅の改修工事において、室内の塗装作業中に有機溶剤中毒災害が発生した。

災害の発生原因
1.長時間にわたり、密閉された空間で有機溶剤を多量に使用したこと。
2.有機ガス用防毒マスクを着用せずに作業を行ったこと。
3.作業中に換気が行われなかったこと。
4.適切な作業計画が作成されていなかったこと。
5.納期が迫っていたため、早急な作業が必要となったこと。
6.有機溶剤作業主任者が、災害防止のための指揮を十分に行っていなかったこと。

災害の防止対策
1.十分な換気措置を行うために、窓や扉を開放する、局所排気装置等を使用すること。
2.有機ガス用防毒マスク等、保護具を適切に着用すること。
3.有機溶剤の発散防止対策を行うこと。
4.作業環境に適した作業計画を策定し、作業を行うこと。
5.有機溶剤作業主任者は、作業員に対し安全衛生教育を行い、また作業方法や保護具の着用が適正に行われるよう管理、指揮をすること。
6.元方事業者は適切な指導を行うこと。

有機溶剤作業主任者の役割
 室内作業での有機溶剤中毒の発生は、建設業において頻繁に発生する労働災害であり、また有機溶剤中毒が要因となり、墜落や転落等の2次災害に発展することも多い。有機溶剤作業主任者は、作業環境の危険要因を把握し改善を行い、作業員に対して適切な作業・安全管理を行う必要がある。

試作研究中における慢性有機溶剤中毒

災害の発生状況
試作中の有機溶剤の蒸気がクリーンルーム内に漏れ、慢性有機溶剤中毒を引き起こした。

災害の発生原因
1.設置されている局所排気装置が法的基準を満たしていなかった。また、点検も行われていなかったこと。
2.作業環境測定の方法が不適切であり、その評価も適切ではなかったこと。
3.有機溶剤作業主任者を選定せず、管理体制が十分ではなかったこと。
4.作業者の安全衛生教育が不十分であったこと。
5.所轄労働基準監督署に計画届を提出していなかったこと。

災害の防止対策
1.局所排気装置が法的基準を満たすように改善し、点検を適切に行うこと。
2.適切な作業環境測定を実施すること。
3.有機溶剤作業主任者を選定し、管理体制を確立させること。
4.安全衛生教育を確実に実施すること。
5.計画届を作成し、所轄労働基準監督署へ届出を適正に行うこと。

有機溶剤作業主任者の役割
 試作研究で使用する化学物質は、その成分を確認し、その有害性および適正な取扱方法について、作業方法の指示や安全衛生教育を行わなければならない。作業環境(クリーンルーム)が粉じんや微粒子の数には対応するが、有機溶剤には対応していない可能性があることなど、見落としがないよう確認しなければならない。

自動洗浄装置内の修理作業中の特別有機溶剤中毒

災害発生状況
自動洗浄装置内の修理作業中、蒸気槽のジクロロメタンを吸引し特別有機溶剤中毒災害が発生した。またその際、倒れていた被災者Aを助けようとした作業員も特別有機溶剤中毒に陥った。

災害発生原因
1.事前に換気等によって自動洗浄装置内のジクロロメタンを取り除かなかったこと。
2.作業中に換気等を行わなかったこと。
3.有機溶剤作業主任者が対処すべき事項を熟知していたにも関わらず必要な措置をとらなかったこと。
4.緊急時用に有機溶剤に対する保護具が備えつけられていなかったこと。

災害の防止対策
1.緊急時も含めた作業手順を定め、関係者作業者に教育訓練を行うこと。
2.事前に作業環境の有機溶剤濃度を測定して問題がないことを確認すること。
3.槽の床、壁面から蒸発する特別有機溶剤による中毒を防止するため、作業中は常に換気を行うこと。
4.関係作業者に特別有機溶剤の種類、有害性、取扱い上の注意事項を周知させること。
5.作業主任者自らも被災しないようにすること。
6.緊急時のため、有機溶剤に対する保護具を用意しておくこと。

有機溶剤作業主任者の役割
 特別有機溶剤中毒事例では作業主任者自らが被災してしまう事例が多い。特別有機溶剤による麻酔作用や酸素欠乏により意識消失を起こす危険性が高いため、関係作業員はもちろん、作業主任者自らが被災しないように意識を持つことが大切である。

有機溶剤作業主任者試験、急性中毒の防止対策

 有機溶剤は非常に蒸発しやすく、拡散しにくく、空気より比重が大きいため、高濃度で地面に滞留しやすい。そのため、通気不十分な場所で発生すると重症や死亡事故へとつながる可能性が高い。有機溶剤の臭気は不快となるようなものではないため、気づいたときには、すでに身体が麻痺し、逃げることができず床に倒れ、さらに高濃度の蒸気を吸引し重症化に至る。
 有機溶剤作業を行う際には以下のような対策を講じる必要がある。
1.作業中は十分な換気を行う。
2.ガス濃度検知器を使用し、作業環境が安全であることを確認する。
3.保護具を使用して作業を行う。
4.関係作業者に十分な労働安全衛生教育を行う。
 防毒マスクを使用する際には、作業開始前に防毒マスクの吸収缶の破過時間を作業場所の推定有機溶剤濃度から算定し、かつ作業場所の気中濃度を随時測定し、その結果に応じて吸収缶を取り替えるよう管理を行う必要がある。
 有機溶剤中毒の事故事例の多くは、作業主任者が選定されていない、作業主任者が十分な管理を行えていない、作業中に十分な換気を行っていない、換気装置を用意していなかった故障していた、労働安全衛生教育が不十分であることなどが主な原因となるので、作業主任者は労働者を守るために、その職務を遂行しなければならない。

有機溶剤作業主任者試験は誰でも受講でき、全国各地で月1~2回行われている

有機溶剤作業主任者技能講習会は、全国各地で月1回から2回行われているため、万一、失敗してもすぐ次の講習会に参加できます。講習会の受講は制限なく、誰でも受講することができます。講習会は2日間行われ、講習が終了した後に、修了試験(有機溶剤作業主任者試験)が行われ、合格・不合格が決まります。有機溶剤作業主任者試験は筆記試験のみで、4科目のうちどれもが40%以上必要で、総合得点が60%以上で合格です。有機溶剤作業主任者試験の合格率は90%以上と言われ、難易度は非常に低い試験です。ただし、講習会をしっかりと聴いて覚えた人の難易度で、講習の座学に飽きて居眠りなどをする人にとっては、難易度は非常に高い試験です。なぜならば、講習会で話される内容は、専門的で難しいことを話すため、学校を卒業した常識的な知識だけでは理解できないためです。

有機溶剤作業主任者技能講習会の内容は、健康障害及びその予防措置に関する知識に4時間、保護具に関する知識に2時間、作業環境の改善方法に関する知識に4時間、関係法令に2時間、これらを2日間の講義で覚えることになります。これらの12時間の講義が終了した後に、修了試験(有機溶剤作業主任者試験)が行われます。試験の形態は、全てマークシート方式で、解答時間は1時間です。試験問題には、いくつかの方式があります。1つは、四肢択一問題で、正しいものを選ぶ場合と、適当でないものを選ぶ場合がありますので、問題文は注意して見ておくべきです。もう1つは、4つの作業の文章から、例えば優先度の高いものから順に並べるという問題があります。重要度を考えればすぐに分かる問題です。もう1つは、4つの文章があってそれぞれ下線が引いて、下線部が誤っている、又は正しいものを選ぶ問題もあります。注意したいのは、数字の正誤を選ぶような場合で、これは覚えているかどうかの問題です。

有機溶剤作業主任者試験の勉強方法は、講義をしっかり聴くことです。テキストが講習会数日前に配布されますが、ざっと見程度で詳しく見る必要はありません。興味ある所は、別ですが。講義では、講師の方が重要なポイント、覚えるべきところや語句などを指摘してくれますので、それらはテキストにマークを入れるなり、ノートに記録などして覚えるようにします。講師の方が指摘することのいくつかは、ほぼ終了試験に出ると考えて良いでしょう。1日目の講習会が終了してから、自由な時間が持てますので、その日にやった事を、マークやノートへの記述をもとに整理し、覚えるようにします。講習会形式で講義の後で修了試験を行う資格は、数多くあります。そのような資格は、落ちる人が少ないのが一般的です。それでも落ちる人がいる理由は、講師の指摘ポイントを聞き逃したためで、その中で多いのが、居眠りです。就職後に、2日間の座学を経験することはまれで、うっかり睡魔に襲われる場合もあります。そこをどう乗り切るかで、資格を得るかどうかが決まってしまいます。


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