乾燥設備作業主任者試験 01


乾燥設備作業は、乾燥器と乾燥室で加熱乾燥する仕事ですが、労働安全衛生法から、乾燥設備作業を行うには、乾燥設備講習会で乾燥設備作業主任者試験に合格した人の中から、作業主任者を選んで主任者のもとで乾燥作業を行うことが定められています。
乾燥設備作業主任者としての業務は、作業員に対して作業方法を周知させて指導し、設備に異常を感じたら直ちに設備を止めて点検・復旧させることです。また、乾燥設備内の温度や換気状態をチェックし、作業者の安全を守ることです。
乾燥設備作業主任者技能講習の受講資格は、18歳以上で、乾燥設備の作業に5年以上従事したか、高校や大学で乾燥設備に関する単位を取得して実務に1年以上従事した人、など学歴に応じた実務経験年数を経た人が受講できます。

乾燥設備作業主任者試験の概要

労働者に①危険物(安衛令別表第一危険物)を乾燥する内容積1m³以上の乾燥設備(乾燥室又は乾燥器)、②熱源として燃料を使用するもので、燃料の最大消費量が固体燃料にあっては毎時10kg以上、液体燃料にあっては毎時10ℓ以上、気体燃料にあっては毎時1m³以上の乾燥設備、電力を熱源として使用するもので、定格消費電力10kW以上の乾燥設備により乾燥作業を行わせる場合は、乾燥設備作業主任者技能講習を修了した者のうちから、乾燥設備作業主任者を選任して作業指揮、その他規則で定められた職務を行わせなければならないことになっています。

乾燥設備作業主任者試験の講習内容

受講資格 18歳以上で以下に該当する者。
1.乾燥設備の取扱作業に5年以上従事した者。
2.大学又は高専の理科系卒業者で、乾燥設備の
 設計・製作検査・取扱作業1年以上の実務経験者
3.高校の理科系卒業者で、乾燥設備の設計・製作
 検査・取扱作業に2年以上の実務経験者。
受講内容 ①乾燥設備及びその附属設備の構造及び取扱い(4時間)
②乾燥設備、その附属設備等の点検整備及び異常時の処置に関する知識(4時間)
③乾燥作業の管理に関する知識(5時間)
④関係法令(2時間)
⑤修了考査(1時間)
合格基準 修了試験において各科目40%以上、かつ総合で60点以上の得点

乾燥設備作業主任者試験 試験で問われるもの

乾燥設備作業主任者技能講習の最後に修了試験が行われます。修了試験では、講習で受講した内容およびテキストの内容が出題され、試験では以下のような内容が問われます。

①爆発・火災災害と乾燥作業の安全
②乾燥設備の構造および取扱い
③乾燥設備の附属設備の構造、機能及び取扱い
④乾燥設備、その附属設備などの点検整備
⑤乾燥設備、その附属設備などの異常時の処置
⑥乾燥作業の管理
⑦火災事例
⑧関係法令

乾燥設備作業主任者の職務

爆発・火災災害と乾燥作業の安全

爆発・火災災害の状況

 労働災害の件数は近年まで減少傾向にあったが、その傾向が鈍化しつつあり、いまなお11万件を超える休業4日以上の死傷災害が発生し、1000人を超える方が亡くなっている。爆発・火災災害においては、死傷災害、死亡災害ともに増減を繰り返しており、被害も被災者が多数となる災害となることも多い。

乾燥設備による災害の発生状況

 乾燥設備を原因とした労働災害の発生は、減少が進まない状況が続いている。乾燥設備による爆発や・火災を防止するためには、乾燥設備の構造部分や、加熱装置などの本体および換気装置、温度調整装置、温度測定装置、安全装置などの設備に関する取扱いを正しく行うこと、使用設備の改善を行う、設備の点検を規定化し適切に管理することが必要となる。また、これらの事項を担当するものを取り決め、乾燥設備による爆発、火災等の災害防止を図る責任者を定め、運用していくことが大切である。

乾燥設備作業主任者の選定

 以下の事業場では、必ず乾燥設備作業主任者を選定しなければならない。
(1)内容績が1㎥以上の危険物乾燥設備
(2)熱源として燃料を使用する乾燥設備で、燃料の最大消費量が、固体燃料にあっては毎時10kg以上、液体燃料にあっては毎時10ℓ以上、気体燃料にあっては毎時1㎥以上のもの。
(3)熱源として電力を使用する乾燥設備で、定格消費電力が10kW以上のもの。
 乾燥設備主任者は、乾燥設備および附属設備の構造取扱い等について十分な知識を持ち、管理や点検整備を行え、設備に異常が見られた際には、直ちに適切な措置をとれることが求められる。そのため、乾燥設備作業主任者は、乾燥設備作業主任者技能講習を修了した者から選定することが定められている。
 乾燥設備主任者は、要求される内容から、乾燥作業を指揮している班長などの立場の者から選任を行うのがよい。
 また、大きな事業場では、一人の乾燥設備作業主任者では、担当しえる乾燥設備の台数には限度があることから、複数人の作業主任者を選任することが必要となる。その際は、それぞれが担当する乾燥設備の範囲を明確にしておかなければならない。
 乾燥設備主任者の選任後は、そのことを関係者に周知し、作業主任者の職務を遂行するために必要な権限を与える必要がある。

乾燥設備作業主任者の職務

 乾燥設備作業主任者の職務は主に次の事項となる。
(1)乾燥設備をはじめて使用するとき、又は乾燥方法若しくは乾燥物の種類を変えたと きは、労働者にあらかじめ当該作業の方法を周知させ、かつ、当該作業を直接指揮する こと。
(2)乾燥設備およびその附属設備について不備な箇所を認めたときは、直ちに必要な措置をとること。
(3)乾燥設備の内部における温度、換気の状態および乾燥物の状態について随時点検し、異常を認めたときは、直ちに必要な措置をとること。
(4)乾燥設備の設置場所を常に整理整頓し、また、みだりに可燃物を置かないようにすること。

乾燥設備作業主任者の心構え

 前項での乾燥設備作業主任者として職務を行う上では、次の点に留意をする。
(1)乾燥設備作業主任者としての責任を自覚すること。
 乾燥設備やその附属設備などを整備し、作業者に安全教育を行い、それを徹底させることは災害を防ぐために、重要である。しかしそのような整備や安全作業を徹底したとしても、完全に災害を防ぐことは難しい。乾燥設備やその附属設備が使用中に常に安全な状態であることを確認するとともに、異常状態を発見した場合に直ちに適切な措置を講ずることが必要である。また、作業者が教育した安全作業を確実に行っているかを、自ら確認し、徹底できていない場合はこれを改めさせ指導を行わなければならない。作業主任者はこのような不安全な状態や方法がないかについて管理を行うこと、作業者を守り、事業場の災害を防ぐための重要な立場であることを自覚し、相応の責任が伴っていることを認識しなければならない。
(2)乾燥設備やその附属設備の改善について研究を怠らないこと。
 乾燥設備やその附属物は、取り扱う乾燥物の種類に応じて設計・制作が行われている。しかし、実際に使用すると、設計段階では考慮をしていなかった要因により不具合が生じることがある。また、取り扱う乾燥物を変更したり、乾燥の方法を変更した際には、設計時に想定していない不具合が生じる可能性がある。このような不具合が発生した場合に迅速に対応し、災害を未然に防ぐことが乾燥設備作業主任者には求められる。そのため、常に乾燥設備やその他設備に関連した災害事例についてよく研究をし、問題点を見つけ改善をしていくことが重要となる。
(3)乾燥設備による災害の防止について、関係作業者の意欲を盛り上げること。
 乾燥設備による災害は乾燥設備作業主任者の意識だけではすべてを防ぐことは難しい。乾燥作業主任者だけでなく、関係作業者も高い意識をもって災害防止に取り組んでいくことが重要である。安全提案制度やツールボックスミーティング、KYTを行い、関係作業者も危険のポイントや改善点の提案し、意欲を上げ、関係者全員で安全対策に取り組んでいくことが大切である。

乾燥設備による火災、爆発および中毒の防止

火災の防止

 乾燥設備による火災事故原因の多くは、乾燥設備の欠陥、故障、取扱い上の不注意などがあげられる。特に取扱い上のミスにより火災に至る事例が多い。乾燥設備の火災防止をするために徹底すべき事項は主に以下の点である。

乾燥設備の構造

(1)乾燥設備のうち乾燥室の構造は、壁は鉄骨鉄板張り、鉄鋼モルタル塗り、鉄筋コンクリート造りなどの不燃構造とし、床、柱、天井、屋根および出入口の扉、その他の棚等は不燃性の材料で構成する。また、のぞき窓、出入口、排気口などの開口部は発火の際他に延焼しない位置に設け、直ちに閉鎖できる防火戸、ダンパーなどを備え付ける。
(2)乾燥室の可燃材料部を煙道、スチームパイプなどが貫通する場所は、不燃材料で保護する。
(3)炭火やコークスなど固体燃料の直火を使用する場合には、炎やはね火による出火を防止するため、有効なおおいや隔壁を取り付ける。
(4)換気装置を設ける。
(5)電熱やスチームパイプの発熱部はできるだけ乾燥設備の上方や側面に設ける。
(6)と乾燥物とには安全な距離を確保し、乾燥物と直接接触しないよう遮へい物を設ける。
(7)温度測定装置を設け、随時内部の温度分布を正確に把握できるようにしなければならない。
(8)電熱器や動力などの配線、開閉器などは専用のものにする。
(9)爆発性、自然発火性または引火性の危険物を取り扱う乾燥設備を設置した作業場は、別の建物と隔離する。

取扱いおよび保守

(1)乾燥設備周辺の不要なものは置かないようにし、原材料、製品などは必要最小限の量にとどめる。
(2)定期的に点検し、不良の部分は直ちに修理する。
(3)高温度で乾燥させた可燃物は、十分に冷却をする。
(4)乾燥物は容易に脱落しないようにする。
(5)乾燥設備の外面の温度に注意する。

爆発の防止

 乾燥設備の爆発を防止するためには、熱源による爆発防止と、乾燥物による爆発防止の二つの観点から対策を行わなければならない。

熱源による爆発防止

 燃焼装置の安全対策で重要となるのは、条件がそろうことで爆発につながる、可燃性ガスや引火性液体に対する対策である。バーナーの火が消えている状態で燃料ガスが放出され続けるとガスが滞留し事故につながる。乾燥設備を使用中、加熱装置の作動を確認する、点火の際には換気を行う等、各内容に沿った作業方法をマニュアル化し、確実に実施することが事故防止につながる。

乾燥物による爆発防止

(1)静電気の除去
 可燃性の粉じんが乾燥設備の内部で、高濃度で浮遊する場合は、発生した静電気によって爆発をする可能性がある。スプレードライヤーや気流乾燥器などについては、乾燥設備の本体、流体輸送配管など粉体が静電気を帯電しやすい部分には、完全な接地を行い、静電気の蓄積を防ぐ。
(2)乾燥設備の換気
 乾燥作業中に換気を行うことで、乾燥設備の内部で発生する可燃性蒸気の濃度を下げ、事故を防止することができる。乾燥を開始すると、可燃性蒸気が発生して内部の濃度が上昇するので、爆発下限界濃度に至る前に換気を行う。換気量の算出基準は、通常の3~4倍の換気をすることとされている。
 可燃性蒸気が2種類以上発生する場合は、それぞれの溶剤換気量を算出し、その合計を換気量とする。
(3)予備乾燥
 揮発性の大きい溶剤を使用した乾燥物等は、あらかじめに安全な場所で予備乾燥を行い、溶剤を蒸発することで、乾燥設備での作業時の爆発事故の抑制につなぐことができる。ただし、作業能率が落ちるという問題点がでてしまうが、事故の発生リスクを下げることができるという点で、必ず実行すべきである。
(4)直火の使用禁止
 乾燥設備の使用で引火性溶剤の蒸気や可燃性ガスが蒸発によって発生する場合、熱源の燃料として木炭やコークスなどを直火での使用は厳禁である。
電源装置を使用する場合は、十分な防爆性能を有するものを使用し、熱板など熱を持つ部分は、蒸気や可燃性ガスの発火温度よりかなり低いものとし、可能であればそれらの使用は避けるのが望ましい。
赤外線電球を使用する場合には、電球自体の破損、フィラメントの溶断、ソケット部の加熱などの故障を完全に防止するような取扱いやメンテナンスを行い、また、可燃性ガスや蒸気が爆発範囲に入らないことを確認してから使用する。
(5)乾燥条件での対応
 乾燥設備内部の可燃性蒸気、粉じんが何らかの事情により限界域まで達し、これを爆発限界外におさえることが困難である場合は、窒素や二酸化炭素などの不活性ガスを添加し、乾燥設備内部の酸素濃度を限界濃度以下にすることで爆発防止対策を講じることができる。

乾燥設備作業主任者技能講義で講師が指示する内容が修了試験に出る

乾燥設備作業主任者技能講習は、合計2日間の学科講習を受け、最終日に修了試験があって、この乾燥設備作業主任者試験に合格すれば乾燥設備作業主任者技能講習修了証が与えられます。
講義の内容は、乾燥設備及びその附属設備の構造及び取扱いに関する知識に4時間、乾燥設備とその附属設備等の点検整備及び異常時の処置に関する知識に4時間、乾燥作業の管理に関する知識に5時間、関係法令に2時間、というように各科目ごとに講義の時間が設けられています。
講義の内容は専門知識の講習になるため、決して簡単ではありませんが、講師の言うことと、指摘されるポイントを覚えることが重要です。
そして2日目最後に、修了試験が1時間行われます。乾燥設備作業主任者試験合格の基準は、修了試験でそれぞれの科目で40%以上の得点をとり、総合として60点以上取れば合格です。

乾燥設備作業主任者技能講習は、1つの会場で年に4,5回行われていますし、全国的に多数の会場があるため、時間と労力を惜しまなければ、1年に何回も受講できます。ただし、1回の受講料がテキストと合わせて15,000円近いため、何度も受ける試験ではないでしょう。合格のポイントは、講義をよく聞いて重要点を覚えることで、それができれば、試験に落ちることはほとんどないでしょう。
乾燥設備作業主任者試験の勉強方法は、講義をしっかり聴くことです。講習会を申し込めば事前にテキストが配布されますが、ざっと見程度で詳しく見る必要はなく、乾燥設備作業はどのような仕事で注意すべきことなどを見ておいて、講習会の準備をしておけば、合格の道は近くなることでしょう。

乾燥設備作業主任者技能講義では、講師の方が重要なポイント、覚えるべきところや語句などを指摘してくれますので、それらはテキストにマーキングして忘れないようにし、さらにノートに記録などして覚えるようにすれば良いでしょう。講師の方が指示してくれる内容のいくつかが、修了試験に出ると思って間違えないでしょう。
1日目の講習会が終了してから、自由な時間が持てますので、その日にやった事を、マークやノートへの記述をもとに整理し、覚えるようにします。
講習会形式で講義の後で修了試験を行う資格は、数多くあります。そのような資格は、落ちる人が少ないのが一般的です。それでも落ちる人がいる理由は、講師の指摘ポイントを聞き逃したためで、その中で多いのが、居眠りです。就職後に、2日間の座学を受けることはめったになく、つい睡魔に襲われて居眠りをしてしまうのも、仕方ないことかもしれません。しかし、そこをどう乗り切るかで、乾燥設備作業主任者になれるかどうかが決まります。


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