舗装診断士試験 01


舗装診断士資格とは、舗装の調査・維持・補修などの方法を選定して提言できる、舗装に関する専門力を有する技術者に与えられる資格です。舗装診断士試験を受験し、合格すると舗装診断士として活躍が期待されます。舗装診断士資格は、平成29年に日本道路建設業協会が創設した、民間資格です。舗装診断士試験の合格率は、ここ3年の平均で20%近くで、難易度が高い資格です。しかし、さらに難易度が高いのは、舗装診断士試験の受験資格です。舗装診断士試験を受験するには、1級舗装施工管理技術者か、2級舗装施工管理技術者資格を持っていてさらに、建設部門の技術士か、特別上級・上級土木学会認定資格者か、RCCM資格を持っている人です。これらの資格を持っていても、7年以上計画・調査・設計・監督・工事・評価などの舗装関連業務の経歴がある人で、さらに、舗装の計画・調査・評価を1年以上、実務経験の必要があります。

舗装診断士試験の概要

舗装診断士資格試験は、「舗装の診断に関する一連の作業ができる高い専門知識を保有する技術者を認定する資格」であり、舗装の効率的な管理・更新に寄与することを目的として、(一社)日本道路建設業協会が創設した民間資格です。なお、舗装の診断とは、既設舗装の調査・評価および維持・修繕工法の選定・設計、補修計画策定の支援であり、また必要に応じてネットワークレベルでの補修計画策定支援も含めて行えるものとして位置づけています。

舗装診断士試験の試験内容

受験資格 以下に示すいずれかの資格保有者で7年以上の舗装関連業務(計画、調査、設計、監理・監督、工事、試験、評価、技術開発等)の業務経歴があり、さらにその中で、舗装の計画、調査、評価に関する1年(または3件:期間は問わない)以上の実務経験があること。
①1級舗装施工管理技術者
②技術士(建設部門) かつ2級舗装施工管理技術者
③特別上級・上級等土木学会認定資格 かつ2級舗装施工管理技術者
④RCCM かつ2級舗装施工管理技術者
試験内容 〇択一試験(3時間)
舗装に関する基礎知識、舗装の管理、点検・評価、補修の計画・設計、補修工事に関する知識および技術者倫理等を問う

〇記述試験(3時間)
・経験記述
経験した業務経歴を基に業務の概要、その中で果たした役割、技術的問題点や課題と解決策、その評価等を簡潔に記述できる能力を問う
・専門記述
舗装の破損の写真、当該箇所の交通量、地域、気象、地形等の条件から推定される破損原因と根拠、実施すべき調査・試験、補修方法や道路建設時のデータ、供用年数、交通量のデータ等から破損の状況等を簡潔に記述できる能力を問う
合格基準 60%程度以上の得点

舗装診断士 試験で問われるもの

知識として要求される事項等

・基礎知識
 ①舗装技術の変遷    
  舗装技術(新設、補修)の変遷
  補修(維持・修繕)の意義と必要性
・舗装の管理
 ①アセットマネジメント
  社会資本としての道路整備に関する基本的知識
  アセットマネジメントによる補修の効率化
 ②舗装マネジメントシステム  
  舗装マネジメント手法に関する知識
・点検・評価
 ①舗装性能とその評価
  舗装に要求される性能、舗装構造の評価に関する基本的知識
 ②舗装の点検・調査技術
  舗装の点検・調査・解析技術に関する知識とその適用
 ③評価判定
  舗装の破損および変状の評価・判定能力(材料、製造、施工、気象、供用条件等)
 ④安全・環境管理
  現場調査・試験時の安全・環境管理対策
・補修の計画・設計
 ①要求性能の設定
  考慮すべき事項と舗装の性能指標
 ②路面・構造設計
  路面設計の定義と路面設計手法
  舗装の材料設計および構造設計に関する総合的な知識
  設計が舗装性能(力学特性・挙動)に及ぼす影響
  橋面舗装の特殊性
 ③排水設計
  土工部の排水対策
  橋面舗装の排水対策
 ④維持・修繕工法
  舗装の維持工法に関する総合的知識
  維持工法が舗装性能に及ぼす影響
  舗装の修繕工法に関する総合的知識
  修繕工法が舗装性能に及ぼす影響
・補修工事に関する知識
 ①使用材料
  材料特性が舗装性能に及ぼす影響
  舗装材料の製造・運搬に関する総合的な知識
  製造や運搬が舗装性能に及ぼす影響
 ②施工方法
  舗装全般の施工に関する総合的な知識
  施工方法が舗装性能に及ぼす影響
  性能の確認・検査及び工事記録
 ③安全・環境対策
  維持・修繕工事における安全・環境管理対策
・倫 理
 ①技術者倫理
  舗装診断を行う技術者としての適正な倫理観

舗装診断士の過去問と重要項目

〇択一試験(3時間)

舗装に関する基礎知識

アスファルト舗装の構造設計方法の変遷
・AASHO道路試験の成果が、舗装構造の設計法である経験的設計法の基本となった。
・CBR 設計法は、カリフォルニア州道路局の舗装の破壊調査結果に基づいて考案された。
・1900 年代初頭に考案された最も代表的な設計公式は、マサチューセッツ公式である。
・“アスファルト舗装要綱”の中で、多層弾性理論を用いた設計法が示された。

ISO 55000シリーズ
・ISO 55000 シリーズは、概要・原則および用語(ISO 55000)、要求事項(ISO 55001)、ガイドライン(ISO 55002)の3編で構成されている。
・ISO 55000 シリーズは、組織にとって価値を有する有形・無形のもの、金銭的・非金銭的なものも含め、あらゆるタイプのアセットを対象としている。
・アセットマネジメントシステムは、アセットマネジメントを実践するための組織内の役割、責任、資源および情報といった一連の要素で構成される。
・ISO 55000 シリーズは、品質マネジメントシステム規格や環境マネジメントシステム規格と同様に、国際標準化機構(ISO)が発行しているマネジメントシステム規格の1つである。

携行・掲示の規定
車両にガス容量8キロ(約19リットル)のLPガスボンベを3本搭載して、現場に向かう際に、
「液化石油ガス保安規則」により、運転者が携帯、車両に携行、掲示しなければならないもの。
〔携帯・携行・掲示しなければならないもの〕
・消火設備
・移動中の災害防止のために必要な注意事項を記載した書面
・災害発生防止のための応急措置に必要な資材および工具
〔携帯・携行・掲示が不要なもの〕
「危」と表示された警戒標

アスファルトの種類
重交通路線における、たわみ追従性を考慮した、鋼床版上の表層用の密粒度アスファルト混合物に適したアスファルト。
〔適しているもの〕
・ポリマー改質アスファルトⅢ型‐WF
〔不適当なもの〕
・ポリマー改質アスファルトH型
・セミブローンアスファルト
・舗装用石油アスファルト 80~100

グースアスファルト舗装
・クッカより排出されたグースアスファルト混合物は、路肩部や歩道部は人力にて敷きならすが、車道部はグースアスファルトフィニッシャで敷きならす。
・鋼床版上に直接グースアスファルト混合物を舗設する場合、舗設面は敷きならし前にケレンなどにより汚れを除去し、十分に乾燥しておかなければならない。
・グースアスファルト混合物の耐流動性などを向上させる目的で使用するプレコート砕石の標準的な散布量は、5号砕石または6号砕石の場合、5~15 kg/m2程度である。
・グースアスファルト混合物は加熱保温装置、攪拌装置を有するクッカで混練・運搬を行うが、クッカに投入されたグースアスファルト混合物は40分以上混練するとよい。

アスファルト乳剤
マイクロ・サーフェージング乳剤は、セメントの存在で急硬化性を発現するため、マイクロ・サーフェシングに用いられる乳剤である。
・ゴム入りアスファルト乳剤は、接着性に優れているため排水性舗装、橋面舗装、すべり止め舗装等のタックコート材として使用される。
・タイヤ付着抑制型乳剤は、分解後の散布面にべたつきがなく、ダンプトラックや施工機械などのタイヤに付着しにくい。
・高浸透性アスファルト乳剤は、一般的なプライムコート用乳剤より浸透性が高く、散布後タイヤなどには付着しにくくなることから、養生のための砂を散布する必要がない。
・高濃度アスファルト乳剤は、表面処理や中央分離帯のシールなどに用いるため、蒸発残留分を特に多くした乳剤である。

舗装の管理、点検・評価

道路の管理計画
アスファルト舗装は、供用年数の目標とする使用目標年数を設定する。
・点検頻度は、5年に1回程度以上の頻度を目安として、道路管理者が適切に設定する。
・アスファルト舗装の管理基準は、ひび割れ率、わだち掘れ量、IRIの3指標を基本とし設定する。
・コンクリート舗装は、目地部を中心に直接的に点検・診断することから管理基準の設定は規定されていない。

舗装のマネジメントシステム
・ライフサイクルコストの算定では、目的や要求される精度、条件により算定項目を適切に選択して行う。
・舗装のデータベースには、舗装の損傷状態のみならず、舗装構造、使用材料、維持修繕履歴などの基本的なデータを格納することが重要である。
・データベースのデータは、道路利用者のニーズへの対応を行う際など貴重な情報であり、データの散逸を防ぐためにも一元化したデータベースを構築しておく必要がある。
ライフサイクルコストの算定に用いる一般的な費用項目は、道路管理者費用、道路利用者費用ならびに沿道および地域社会の費用に大別できる。

車道および側帯の舗装における性能指標とその評価方法
・コンクリート舗装の疲労破壊輪数は、FWDによるたわみ測定により評価することができない
・アスファルト舗装の塑性変形輪数は、現地の舗装の締固め度に応じて求めた動的安定度により評価できる。
・すべり抵抗値は、DF テスタにより得られた動的摩擦係数により評価できる。
・平たん性は、3mプロフィルメータだけでなく路面性状測定車を用いても評価できる。

路面プロファイルの評価指標
・IRIの単位は、(mm/m)または(m/km)であり、その数値が小さいほど平たん性がよい。
・IRIは、1989年に世界銀行が提案した路面のラフネス指標である。
・路面凹凸などの測定方法とIRIの算出方法は、測定方法の精度によってクラス1~4に分類する。
・IRIは、1.25~30mの波長範囲の路面凹凸における感度が高い。

現場で測定する試験方法
〔舗装の路床や路盤の支持力を現場で測定する試験方法〕
・現場CBR試験
・スウェーデン式サウンディング試験
・平板載荷試験
〔室内で測定する試験方法〕
一軸圧縮試験

コンクリート舗装損傷の健全度
〔診断区分Ⅱ(補修段階)〕
・目地材が飛散しており、土砂が詰まる恐れがある状態
〔診断区分Ⅲ(修繕段階)〕
・角欠けがあり、細粒分が噴出している状態
・角欠けがあり、コンクリート版ががたついている状態
・目地材がほとんど無く、細粒分が噴出している状態

補修の計画・設計

損傷の原因調査
アスファルト舗装で早期に横断方向のひび割れが発生した場合、調査すべき項目。
〔適切な調査項目〕
・下層のコンクリート版の有無と横目地の位置
・極度の低温状態の有無
・大型車交通量
〔不適切な調査項目〕
横方向の施工継目の位置

路面設計の留意事項
・路面の性能は表層が発揮するものであるが、表層のみでは性能指標の値を満足できない場合は、基層、路盤の検討も行う。
・路面の性能指標によっては、必要に応じて供用後一定期間を経た時点における性能指標の値を設定することがある。
・設定された路面の性能によっては、平たん性のように施工の影響を受けるものもあるので、施工機械の選定や性能についても考慮する必要がある。
・設定された路面の性能指標の値を満足する材料、適用する工法には多種多様なものがあるので、それぞれに応じた設計を行うことが重要である。

排水施設の設計
・都市内の道路において、特に良好な路面の排水機能が必要な場合、幹線道路では排水性舗装を、生活道路では透水性舗装を用いるのが一般的である。
・透水性舗装を適用し車道部からの雨水流出抑制を考慮する場合は、地下排水とともに浸透性集水ます、浸透トレンチなどの設計を舗装の設計と並行して行う。
・舗装内に滞留する水は舗装の支持力低下を招くおそれがあるので、路床および路盤からの排水を目的とした地下排水を施し、地下水位を低下させ、周囲からの侵入水の遮断を検討する。
・切土のり面におけるのり面排水処理工や湧水処理工の設計は、地象によってはその不備が舗装破損の原因となることもあるので、地下排水との併用を含めて舗装の設計と並行して行うのがよい。

コンクリート舗装の維持修繕
横収縮目地の維持修繕として普通コンクリート舗装の維持修繕に用いる工法
〔適している工法〕
・パッチング工法
・シーリング工法
・局部打換え工法
〔不適当な工法〕
・グルービング工法

補修工事に関する知識、技術者倫理等

舗装の性能指標設定の留意点
・疲労破壊輪数、塑性変形輪数および平たん性は、舗装の必須の性能指標であり、路肩全体やバス停などを除き必ず設定する
・舗装の性能指標およびその値は、道路の存する地域の地質および気象の状況、交通の状況などを勘案して、道路管理者が設定する。
・舗装の性能指標の値は施工直後の値とするが、これだけでは性能の確認が不十分である場合は、供用後一定期間を経た時点での値を設定する。
・雨水を道路の路面下に浸透させることができる構造とする場合には、舗装の性能指標として浸透水量を設定する。

経験にもとづく構造設計
・必要等値換算厚(TA)の算出式は、設計期間10年における信頼度90%、75%、50%のものがある。
・アスファルト舗装の等値換算厚は、舗装各層に用いる材料の等値換算係数と各層の厚さとの積を足し合わせたものである。
・アスファルト舗装の必要等値換算厚は、当該舗装区間に求められる疲労破壊輪数と路床の設計 CBRを使って算出する。
・等値換算係数とは、舗装を構成するある層の厚さ1cm が表層および基層用加熱アスファルト混合物の何cmに相当するかを示す値である。

環境関連の法律
・「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律(オフロード法)」は、公道を走行しない特殊自動車に対する規制である。
・特定建設作業とは、建設工事として行われる作業のうち、著しい騒音または振動を発生する作業であって、「騒音規制法」および「振動規制法」に定められている。
・「騒音規制法」に定める特定建設作業には、一定以上の製造能力を有するアスファルトプラント(アスファルト混合所)での作業が指定されている。
・「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」において事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物の再生利用などを行うことにより、その減量に努めなければならない。

舗装技術者倫理
舗装技術者倫理の遵守すべき項目。
〔適当なもの〕
・継続研鑽
・秘密の保持
・環境、文化の尊重
〔不適当なもの〕
依頼者利益の優先

(R3)

舗装診断士試験対策は、日々の業務の中で訓練を重ねることも大切

舗装診断士試験の試験構成は、択一試験と記述式試験があり、どちらも3時間で解答を出します。択一式の問題は、50問出され、すべて必須です。合格のレベルは、60%以上の得点とされています。問題の内容は、舗装基礎知識、舗装の管理・点検・評価、舗装補修計画と設計、舗装補修工事方法、技術者倫理についてで、ほとんどが舗装に関する問題です。日本舗装道路建設業協会が開示している択一問題は、次のように参考として書かれています。基礎知識は、舗装技術の変遷と補修の意義を問う問題で、舗装の管理は、アセットマネジメントと舗装マネジメントの問題、点検評価は、補正性能の評価と舗装の点検と評価判定方法を問う問題です。補修の計画設計では、要求事項の設計と構造設計や排水設計と維持や修繕方法を問い、最後の補修工事では、材料や施工方法や安全と環境への対策について問う問題です。

舗装診断士試験に合格する対策としての勉強法は、舗装に関する書籍を十分読みこなすことで対応ができそうです。残念なことに舗装診断士試験はまだ3年しか経っていないため、過去問を勉強することで対策が取れるとは言い切れませんが、過去問に近い問題構成になるでしょう。そのため、過去問題集の解答に詳しく解説されている教材を使うことで、択一問題の勉強法になります。記述式試験では、経験記述1問と専門記述5問が出され、専門記述1問は必須で、残りの3問は1問を選ぶ選択式です。経験記述は、これまで経験した業務について、技術的問題点や課題を挙げて、解決策とその評価を論ずる問題です。問題2では、舗装の調査・点検・維持修繕について記述する問題で、空欄を埋める問題も出ます。問題3から問題5は、道路の損傷状況写真と舗装設計条件と使用条件を示して、損傷の根拠、実施する調査や試験、維持修繕方法を記述させる問題です。

舗装診断士試験の記述問題の経験論文対策は、日ごろ経験する仕事に対し、常に問題意識を持って、施工や安全それと品質に、改善点や留意点を見つけ、それの対策を考えて実施・評価する訓練を重ねることが大事です。さらに、それらを1ページにまとめることと、試験官が読みやすく納得できるように、一度自分の書いたものを人に読んでもらい、納得させることができる文章であるか、チェックすることも大事です。このとき、適当な長さの文章にし、漢字も織り交ぜて書くことも忘れてはいけません。また、道路の写真による判断は、色々な道路の状況の写真を借りて、あるいはネット上にある画像を参考として、損傷の理由が何で、どんな対策をして、その結果どうなったかを調べることで、写真に対する見方ができるようになってくるのではないでしょうか。


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