非破壊検査試験 01


非破壊検査に関する試験が、非破壊検査技術者技量認定試験になります。
非破壊検査試験は、(社)日本非破壊検査協会が実施する民間試験で、技術者の技量認定試験です。
非破壊検査試験は、JIS規格 JIS Z 2305 に基づいて実施されます。

非破壊検査試験は、次の種類について、レベル1、レベル2、レベル3 の認定レベルがあります。
レベル3が最も高位の資格試験です。
・放射線透過試験  RT
・超音波探傷試験  UT
・超音波厚さ測定  UM
・磁気探傷試験   MT
・極間法磁気探傷検査 MY
・通電法磁気探傷検査 ME
・浸透探傷試験   PT
・溶剤除去性浸透探傷検査 PD
・渦電流探傷試験  ET
・ひずみゲージ試験 ST
・漏れ試験     LT
・赤外線サーモグラフィ試験 TT

非破壊検査試験の受験情報

受験資格
レベル3
  放射線透過試験、超音波探傷試験、磁粉探傷試験、浸透探傷試験、
  過流探傷試験、ひずみ測定
  超音波厚さ検査、極間法磁粉探傷検査、通電法磁粉探傷検査、コイ
  ル法磁粉探傷検査、溶剤除去性浸透探傷検査、水洗性探傷検査
レベル2・1
  放射線透過試験、超音波探傷試験、過流探傷試験 … レベル1
                                    (40時間)
  磁粉探傷試験、浸透探傷試験、ひずみ測定 … レベル1(40時間)
  放射線透過試験、超音波探傷試験 … レベル2(80時間)
  磁粉探傷試験、浸透探傷試験、ひずみ測定 … レベル2(24時間)
  過流探傷試験 … レベル2(40時間)など

試験内容
1次試験 … 非破壊検査概論・該当技術部門の知識
  ①材料科学、製品・製造・加工の基礎知識、
  ②認証機関の認証システム(JIS Z 2305)の知識、
  ③4種類のNDT方法におけるレベル2の基礎知識
2次試験 … 実技試験
  ①関連したNDT方法のレベル3の基礎知識、
  ②関連したNDT方法の適用、コード及び規格に関する知識、
  ③関連したNDT方法のNDT手順書の作成

参考書のランキング/非破壊検査試験

非破壊検査試験の過去問と重要項目

一次一般試験の過去問と重要項目

放射線透過試験 RT レベル1

放射線の電荷
非電荷 … X線
・+電荷 … α線、重陽子線
・-電荷 … β線

放射線透過試験の核種の半減期
60Coの半減期  … 5.3 年
169Ybの半減期 … 32 日
192Irの半減期 … 74 日

白色X線
白色X線は、透過試験に用いられている。
白色X線の実効エネルギ- … 同一半価層を有する単色X線のエネルギ-

X線の性質
・X線透過写真の像質に大きな影響を与えるのが、線質と散乱線である。
・線質を定量的に表すには、半価層と実効エネルギ-が用いられる。

試験体に対する放射線の照射方向
・試験体に対する放射線の照射方向は、検出すべききずによって生ずる放射線の減弱の差を、最も容易に検出できる方向とすることが原則である。
・溶接部が試験対象である場合、放射線の照射方向は、試験体を透過する厚さが最小になる肉厚方向とする。

透過写真の濃度と特性曲線
・写真濃度Dは、透過写真の黒さの程度をあらわすものである。
・濃度を表わす式は、log10(L0/L)で定義される。ただし、入射光の強さをL0、透過光の強さをLとする。
・X線フィルムの特性曲線は、フィルム濃度を縦軸に取り、横軸に露出量を取ったものである。

放射線透過試験におけるNDT指示書
NDT指示書は、現場での作業に使用される。
次の記述は、誤りである。
・NDT指示書は、NDT仕様書の中に呼び込まれる形で使用される。
・NDT指示書は、NDT手順書の中に呼び込まれる形で使用される。
・NDT指示書は、溶接継手の種類が多くても、1回だけ作成して使用される。

個人の被ばく線量測定用の測定器
フィルムバッジは、比較的長時間の積算線量の測定ができるが使用時の温度、湿度により潜像退行があるので注意を要する。
・従来はフィルムバッジが主流であったが、近年では蛍光ガラス線量計の使用が多くなっている。
次の記述は、誤りである。
・個人の被ばく線量の測定には、測定値が直読できるガラス線量計が主に使われている。
・ポケット線量計は、衝撃に強く、湿度や温度にも影響されないのでよく利用されている。
・熱ルミネッセンス線量計は、放射線を受けると安定な蛍光中心を作り、これに紫外線を当てると橙色の蛍光を発する。

放射線透過試験 RT レベル2

JIS 規格
階調計 10 形     … JIS Z 3105:2003
試験視野の直径 50 mm … JIS G 0581:1999
帯形透過度計 X020   … JIS Z 2306:2000
B 種         … JIS Z 3861:1979
非破壊試験用語    … JIS Z 2300:2009

JIS Z 3104:1995 に基づく透過写真の観察
・透過写真の像質に関する必要条件として、透過度計の識別最小線径、階調計の値、濃度範囲の規定がある。
・濃度範囲の規定で、最高濃度は 4.0 と規定している。
・濃度 3.5 を超える透過写真の観察においては、JIS Z 4561:1992(工業用放射線透過写真観察器)に規定する、D35形の観察器を用いる必要がある。

NDT仕様書、NDT手順書
NDT仕様書は、放射線透過検査を依頼する際、発注者の意図どおりに検査を実施してもらうために、通常、試験方法、合否判定基準などを記述した技術文書が受注者に対して発行される。
・受注者は、NDT仕様書を受けて、試験の実施要領を記載した、NDT手順書を作成する。

超音波探傷試験 UT レベル1

超音波の発生
・超音波の発生は、圧電材料が用いられる。
・超音波の発生は、短時間のパルス電圧を振動子に加える。
・超音波の発生は、電気信号を機械振動に変換して行う。
次の記述は、「超音波の振動が伝わて電気信号に変換される受信」についての記述である。
・超音波の発生は、機械信号を電気信号に変換して行う。

超音波縦波の斜め入射
・アクリル樹脂と鋼との平らな境界面に超音波縦波がアクリル樹脂側から斜め入射した場合、縦波屈折角は、入射角より大きくなる。
次の記述は、誤りである。
・縦波反射角は、縦波屈折角と等しい。
・横波屈折角は、横波反射角より小さくなる。
・縦波反射角は、縦波屈折角より大きくなる。

超音波の波長と音速
できるだけ小さなきずまで検出するためには、波長の短い超音波を使う。
次の記述は、誤りである。
・横波とは、媒質モデルを構成する粒子の振動方向と波の進行方向とが平行な波のことである。
・縦波が横波にモード変換するときは、振動様式が変わるだけで音速は変わらない。
・媒質中を伝搬する超音波の音速は、周波数によって変化する。

STB-N1
・STB-N1は、鋼板の垂直探傷における探傷感度の調整に用いる。
・STB-N1は、鋼板の垂直探傷規格である JIS G 0801 で使用する感度標準試験片である。
・STB-N1は、深さ15㎜の位置にφ5.6㎜の平底穴が加工されている。
・STB-N1は、STB-A1 と同じ 25㎜の板厚で、垂直探傷の測定範囲の調整にも使用可能である。
次の記述は、誤りである。
・STB-N1は、垂直探傷における距離振幅特性曲線の作成に用いる。

STB-A2
・STB-A2は、斜角探傷での感度の調整に用いる。
・STB-A2は、鋼溶接部の斜角探傷規格である JIS Z 3060 で使用する感度標準試験片である。
・STB-A2は、JIS Z 2352 で規定する斜角探触子の性能測定にも使用される。
次の記述は、誤りである。
・STB-A2は、斜角探傷での測定範囲の調整に用いる。

STB-G
・STB-G のうち V15-1 から V15-5.6 までの標準穴のエコー高さは、順次ほぼ 2 倍ずつ変化する。
・STB-Gは、V2,V3,V5,V8の4本と、V15-1,V15-1.4,V15-2,V15-2.8,V15-4,V15-5.6 の6本、計10本で構成されている。
・V2~V8は、標準穴の直径が全て2㎜で、きずまでの距離が、それぞれ20㎜、30㎜、50㎜、80㎜である。
・V15シリーズは、きずまでの距離が150㎜で、ハイフンの後の数値は標準穴の直径を示し、きずの面積は2倍ずつ変化しいる。

接近限界長さ
・接近限界長さは、斜角探触子の入射点から接触面の先端までの長さである。
・接近限界長さは、斜角探傷で、探触子が溶接部に最も接近可能な距離をいう。
次の記述は、誤りである。
・接近限界長さは、斜角探触子の先端から溶接ビードの端までの長さである。
・接近限界長さは、入射点から溶接部中心までの長さである。
・接近限界長さは、溶接部中心から 1スキップの探触子入射点までの長さのことである。

超音波探傷試験 UT レベル2

斜角探傷における屈折角
探傷屈折角とは、試験体や試験体から切り出した対比試験片を用いて、探傷方向に測定した屈折角である。
STB屈折角とは、標準試験片 STB-A1 試験片 または STB-A3 形系試験片を用いて測定した屈折角をいう。
STB屈折角度差とは、探傷屈折角とA1形 STB または A3形系 STB の標準試験片を用いて測定した STB屈折角との差である。

探触子
・一般の斜角探触子の振動子は、縦波を発生し、試験体に縦波臨界角以上の角度で試験体に入射させる。
・変換により試験体中には SV 波と呼ばれる横波が伝搬する。
・振動子が剪断方向に振動して振動子から横波を発生する波を SH 波という。
・斜角探触子は、くさびの温度が変化すると屈折角が変わるので、試験体の温度変化に注意する必要がある。
・可変角探触子で入射角を変えると、試験体中に横波と縦波を斜めに伝搬させることができる。また,
表面波探触子としても使用できる。
・可変角探触子を用いて縦波臨界角以内で材料中に超音波を入射させると、縦波と横波を伝搬させることができる。
・オーステナイト系ステンレス鋼(SUS 304)溶接部の探傷には、主に縦波斜角探触子が用いられ、探傷法は直射法のみに限定される。
・媒質中を通過する超音波の音速は、温度により変化する。
・媒質 1 から媒質 2 への超音波の入射角・屈折角は、スネルの法則に従う。
・媒質 2 が鋼の場合、10℃変化すると、屈折角は 1 度程度変化する。

STBと音速の差がある鋼板溶接部の超音波探傷試験
・STB と音速の差がある鋼板の溶接部の探傷では、伝搬方向の V透過法により、探傷屈折角を測定する。
・探傷屈折角の測定は、STB音速比による方法、探傷方向の V透過法による方法のいずれかで行う。
・STBと音速の差がある鋼板の溶接部の探傷では、圧延方向(L方向)とこれに直角な方向(C方向)とで、横波の音速に差が生じる場合がある。
・STB と音速の差がある鋼板の溶接部の探傷では、音速差を有する材料については、探傷屈折角を用いる。
・制御圧延された鋼材や耐火鋼材では STB と音速差を有するものがある。

超音波探触子
広帯域探触子は、広い周波数帯域をもち、減衰の大きな材料でも低い周波数成分が伝搬するため、SN比を改善することができる。
クリーピング波は、表面近傍を伝搬する。
超音波ビームの集束範囲は、各距離における距離振幅特性曲線上の  最大エコー高さ 1/2(-6dB)と規定されている。
斜角探触子の吸音材は、振動子から発生した超音波ビームがクサビ内で反射し、振動子に再び戻るエコーを吸収する。近距離の不感帯を改善する。

鋼溶接部の超音波探傷試験方法
超音波探傷装置の点検時期と性能に関する JIS Z 3060-2002「鋼溶接部の超音波探傷試験方法」の規定には、次のものがある。
・探傷器の性能の点検は、購入時および 12ヶ月以内ごとに実施すること。
・増幅直線性は ±3%の範囲内、時間軸直線性は ±1%の範囲内にあること。
・感度余裕値は、40dB以上の各性能が維持されていること。

磁気探傷試験 MT レベル1

炭素鋼の磁気特性
・硬さが軟らかい鋼ほど、飽和磁束密度になるまでに必要な磁界の強さは小さくなる。
・炭素量が多いほど、飽和磁束密度になるまでに必要な磁界の強さは大きくなる。
・冷間加工度が大きいほど、飽和磁束密度になるまでに必要な磁界の強さは大きくなる。
・焼入れしやすい鋼ほど、飽和磁束密度になるまでに必要な磁界の強さは大きくなる。

磁界の強さと磁束密度の単位の組合せ
磁界の強さ … 磁束密度
A/m    …  T

磁界の強さと単位
Wb  … 磁極の強さ、磁束の単位
H/m … 透磁率の単位

各磁化方法とその特徴
・プロッド法は、試験体の局部に二個の電極を当てて電流を流して磁化する方法で、形状の複雑なものにも適用できる。
・軸通電法は試験体の軸方向に直接電流を流して磁化する方法で、電流と平行な方向のきずが最も検出しやすい。
・コイル法は試験体をコイルの中に入れて磁化する方法で、コイル軸に直行する方向のきずが最も検出しやすい。
・電流貫通法は試験体の穴などに通した導体に電流を流して磁化する方法で、管やリング状の試験体の軸や径方向のきずの検出に適している。

漏洩磁束密度に影響する因子
・きず部からの漏洩磁束密度の大きさは、きずの高さや深さが増加するほど、大きくなる。
・きず部からの漏洩磁束密度の大きさは、きずの長手方向に対する磁束の方向が 90°に近くなるほど、大きくなる。
・きず部からの漏洩磁束密度の大きさは、試験体中の磁束密度が増加するほど、大きくなる。
・きず部からの漏洩磁束密度の大きさは、通電時間は影響しない。

残留法
・残留法は、焼入れ材などの硬い、保磁力の大きい材料に適用される。
・残留法は、磁化と磁粉の適用を分離できるので作業性がよく、多量の試験体の試験に適している。
・残留法のきずからの漏洩磁束密度は、連続法の場合より小さいため、検査液の流速を小さくする必要がある。
・磁粉の適用は通電を停止してから行い、通電時間は 1秒以下で良い。
・検査液は、流れが速くならないように静かに適用する。

小形リング状の試験体のきず検出の磁化方法
磁束貫通法 … 小形のリング状試験体の全表面の円周方向のきずを検出するための磁化方法である。
次の方法は、小形リング状の試験体のきず検出には適さない。
・コイル法  … 反磁界の影響が大きく十分に磁化できないので適切ではない。
・軸通電法  … 円周方向のきずが検出できない。
・電流貫通法 … 軸方向のきずの検出方法である。

検査液の濃度
沈殿計を使用して測定しても、正確な検査液濃度を知ることはできない場合もある。
 (循環使用するような場合、スケールやゴミなどが混入するからである)
・検査液の濃度は、検査液の単位体積中に含まれる磁粉の質量(g/ℓ)、沈殿体積(mℓ/100mℓ)で表わす。
・濃度の適性値は、蛍光と非蛍光の別で異なり、非蛍光の方が高い感度が得られる。
・磁粉の粒度が小さいほど、濃度は高い方がよい。
 (磁粉の粒度が小さいと同じ質量当たりの粒子数が多くなり、バックグラウンドが汚れず検出性が良くなるため)

高圧水銀灯のブラックライト
・点滅回数が多くなると、ランプの寿命は短くなる。
・ブラックライトは、安定器の働きがあっても、大幅に電圧が下がると消灯してしまう。
・ブラックライトのフィルタは、315~400mmの波長の紫外線(UV-A)を照射する。
・再点灯には、水銀灯の温度が上がるまで数分間を必要とするが、水銀灯が熱いままだと点灯しにくい。

磁気探傷試験 MT レベル2

強磁性体の磁化曲線
・磁化曲線と、縦軸との交点は残留磁束密度を表し、横軸との交点は保磁力を表す。
・交流で磁化した場合は表皮効果があるため、直流磁化とは異なった形状の磁化曲線となる。
・磁化曲線上の任意の一点における傾きは、B/Hであり、その点における透磁率を表している。
・強磁性体の磁化曲線において、縦軸は磁束密度Bを、横軸は磁界の強さHを表す。

起磁力
・磁気回路では、起磁力F(A)は、磁界の強さH(A/m)と磁気回路の長さl(m)の積に等しい。
・磁気抵抗をR、磁束をφとすると、F=φ・Rが成り立つ。
・極間法では、電磁石の起磁力は、コイルに流れる電流I(A)とコイルの巻数nの積に比例する。
・極間法では、起磁力をアンペアターンと呼ぶ場合がある。
・極間法では、磁極と試験体とのギャップや自在ヨークの装着などの影響を考慮する必要がある。
・一般に、起磁力が大きいほど全磁束が大きくなるので、試験体を強く磁化することができる。

疑似模様
・疑似模様とは、きずには起因しないが、きずが存在しているかのように見える磁粉模様という。
・疑似模様の発生原因により、再試験においても磁粉模様が再現されるもの、再現されず消滅してしまうものがある。
・磁粉探傷試験の再試験だけでは、きず磁粉模様と区別できない場合がある。
・同種の試験体を同一条件で探傷した際に、どれにも同じような磁粉模様が現れた場合、これは疑似模様である。
・磁気ペン跡は、鋭い線状の磁粉模様として現れる。
・磁気ペン跡は、残留法で磁化された試験体に強磁性体が触れたときに現れる。

磁化電流値の決定条件
軸通電法で、磁化電流値を決定する場合、試験体を磁化させるために考慮すべき条件として、次のものがあげられる。
 ・試験体の磁気特性
 ・試験体の表面粗さ
 ・きずの種類、存在位置、大きさ

浸透探傷試験 PT レベル1、溶剤除去性浸透探傷検査 PD レベル1

浸透探傷試験の再試験
・再試験は、試験面全面とは限らず、判断が困難な箇所を部分的に行ってもよい。
・再試験は、きず指示模様の判定を再度やり直すことではない。
・再試験が必要な箇所の現像剤を取り除き再度現像処理を行う方法は、再試験としては誤った方法である。
 (最初の現像処理できず中の浸透液が取り除かれ、再度現像処理を行っても指示模様が現れない場合があるため)
・再試験は、浸透時間が規定の時間より長くなった場合に行うのは、誤りである。
 (浸透時間が必要最小限の時間より長くなっても探傷には影響が無いため)

・再試験は、試験の過程で操作手順に誤りがあった場合に行う。
・再試験は、試験面に現れた指示模様がきずによるものか、きず以外のその他の原因によるものかの判断が難しい場合、または、きずの評価が困難な場合に行う。
・再試験は、前処理から正しい手順を踏んで行う必要がある。
・再試験を行った場合、必ずしも最初に検査を行ったときと同じ結果が得られるとは限らない。
・よほどのことがない限り、再試験は行わないようにすべきである。
・再試験で疑似模様かどうかを判断する最良の方法は、指示模様の箇所の現像剤を落とし、10~20倍程度のルーペを用いて表面状態を調べることである。

現像方法
・乾式現像剤を浸漬法で適用するときは、現像剤の中に現像時間中試験体を浸漬する。
・湿式現像剤を浸漬法で適用する時間は、試験体表面に均一な現像塗膜が形成される最小時間とすべきである。
・速乾式現像剤は、浸透液が現像剤の溶媒に溶解され、きず検出力が劣るため、浸漬法は適用しない。
・速乾式現像剤は、揮発性溶剤の中に白色微粉末を懸濁したもので、スプレー法や刷毛塗り法で適用される。
・現像方法には、湿式現像法、乾式現像法、速乾式現像法、無現像法の4種類がある。

湿式現像法
・湿式現像法は、白色微粉末を水に懸濁した現像剤を適用する方法である。
・湿式現像法は、一般に、水洗性浸透探傷試験に用いられることが多い。
・湿式現像法の適用方法は、余剰浸透液を洗浄した後、乾燥処理をすることなく、直ちに浸漬するか、スプレーまたは注ぎかけにより行う。
・浸漬法では、浸透液は水洗性浸透液が用いられる。
・浸漬法では、長い時間現像剤の中に浸漬していると、浸透液が現像剤中に滲み出し、きずの検出精度が悪くなる。
・浸漬法の適用時間は、試験体表面に均一な現像塗膜が形成される最小時間とすべきである。

乾式現像法
・乾式現像法は、極めて比重の小さな白色の微粉末をそのまま適用する方法である。
・乾式現像法では、試験体の表面に水分が残留していると、その部分に現像剤が付着するため、現像ができなくなる。
・乾式現像法では、現像処理の前に、試験体の乾燥処理が必要となる。
・乾式現像法の適用については、次の方法がある。
  容器に入れた現像剤の中に試験体を浸漬する方法
  探傷面に現像剤を振りかける方法、
  現像剤をガーゼのような目の粗い布に包んで探傷面を軽く叩く方法
・乾式現像法は、きずから滲み出した浸透液に現像剤が付着して指示模様を形成し、次第に拡大する。
・乾式現像法で浸漬法を適用する場合は、現像時間中は試験体を現像剤の中に浸漬しておく必要がある。
・乾式現像法は、きず部のみに現像剤が付着するため、指示模様のにじみが少なく、鮮明な指示模様が得られる。

速乾式現像法
・速乾式現像法は、揮発性溶剤の中に白色微粉末を懸濁したもので、スプレー法や刷毛塗り法で適用される。
・速乾式現像法では、むらのない均一で適切な厚さの塗膜を形成すること。
・速乾式現像剤で用いられる溶剤は、浸透液を溶解する力が強く、浸漬法の場合はきず中の浸透液が現像剤の溶媒に溶解されるためきず検出力が劣る。
・速乾式現像法では、浸漬法は適用しない。

疑似模様
・疑似模様とは、きず以外の原因によって生じる浸透液による指示模様をいう。
・きずによるものか、それ以外の原因によるものか、わからない指示模様は、疑似模様とはいわず、再試験を行うをいう。
・指示模様か疑似模様かの判別については、次の方法がある。
  現像剤を取り除き、拡大鏡により、その箇所の観察を行う
  他の非破壊試験方法を適用する
・疑似模様が生じ原因は、試験体そのものによることが多いが、処理が不適切であったときにも疑似模様は生じる。
・バックグラウンドは、きず指示模様以外の試験面全体の色、または、明るさのことをいうものであり、バックグラウンドを疑似模様とはいわない。
・バックグラウンドの良否が、きず指示模様の検出性に影響を与える。
・疑似模様が発生するきず以外の原因としては、次のケースがある。
  試験準備や前処理が不十分であった
  試験面に錆、スケール、溶接スパッタ等の固形物が付着していた
  溶接ビードの凹凸、機械加工後のばり等が残っていた
  洗浄処理や除去処理で、洗浄不足や除去不足になった
  乳化処理が不十分であった

浸透探傷試験の検出方法
・浸透探傷試験は、材料が金属か非金属を問わず、表面に開口しているきずの検出に優れた能力をもつ検出方法として広く用いられている。
・浸透探傷試験は、強磁性体の材料も探傷可能であり、適用することができる。
・コンクリートや木材は、材料そのものが吸湿性をもち、きずとバックグラウンドとの識別が難しくなるため、浸透探傷試験に適用できない。
・浸透探傷試験は、試験体が多孔質でなくても、材料によっては浸透液に変色するものや、侵されるものがあり、どんな材料にも適用できるとは限らない。
・浸透探傷試験では、表面に開口しているきずであっても、きずの内部に異物が詰まっていると、浸透液が浸透せず検出できない。
・浸透探傷試験では、きずの開口幅が広く深さの浅いきずの場合、洗浄処理時に簡単に洗い流されてしまうため検出できない。

浸透探傷試験 PT レベル2、溶剤除去性浸透探傷検査 PD レベル2

浸透液が毛細管を上昇する
・管端が開放した細い管に浸透液が上昇する場合、
  液面の高さ(h)は、管の半径rと浸透液の密度(ρ)に反比例する。
  液面の高さ(h)は、表面張力Γと cosθに比例する。
・浸透液が毛細管を上昇する場合の高さ(h)は、次式で表される。
  h=2Γcosθ/rρg
    Γ:表面張力
    θ:浸透液と管の接触角
    r:管の半径
    ρ:浸透液の密度
    g:重力加速度

探傷試験で利用される現象
・水洗性浸透探傷試験は、浸透液の浸透現象と水スプレーで浸透液が起こす乳化現象を利用した探傷法である。
・浸透探傷試験は、固体、液体、気体の間に生ずる界面現象を利用したものである。
・浸透探傷試験は、ぬれ、浸透、毛細管などの物理現象を利用した探傷法である。
・後乳化性浸透探傷試験は、浸透液と乳化剤が混じり合う乳化処理を利用した探傷法である。
・  乳化現象は、水洗性浸透液が洗浄の際に水スプレーされたときにも起こる。
・  乳化処理とは、試験体表面の余剰浸透液に乳化剤を適用することである。

浸透探傷試験の適用対象
水洗性染色浸透探傷試験 … 粗い面の試験品
水洗性蛍光浸透探傷試験 … 小形量産部品,ねじやキー溝など鋭角な隅部
溶剤除去性浸透探傷試験 … 大形部品や構造物を部分的に探傷する場合
溶剤除去性蛍光浸透探傷試験 … 疲労割れ,研削割れなど幅が非常に狭く微細な割れ

浸透液の性質
・水洗性蛍光浸透液は、可燃性のある浸透液である。
・水洗性蛍光浸透液は、界面活性剤が添加されているため、溶剤で除去処理することができる。
・水洗性染色浸透液は、過洗浄になりやすく、識別性も蛍光より劣るため、微細なきずの検出に適していない。
・後乳化性蛍光浸透液は、溶剤で除去処理することができる。

洗浄処理と除去処理
・洗浄処理とは、試験体表面の余剰浸透液を水のスプレーにより除去する処理である。
・蛍光浸透探傷試験において、ブラックライトを照射しながら洗浄するのは、洗浄の程度を確認するためである。
 (きずの位置をあらかじめ見つけておくためではない)
・水洗性浸透探傷試験における水洗浄は、スプレーで洗い流し洗浄性がよいため、過洗浄になりやすい方法である。
・溶剤除去性浸透探傷試験における除去処理は、除去液をウエスに少量にふくませて拭き取る必要がある。

乾式現像法、湿式現像法、速乾式現像法
・乾式現像法は、試験体が乾燥した後に乾いた現像剤を適用する方法である。
・乾式現像法は、蛍光浸透探傷試験に適用できるが、染色浸透探傷試験には適用できない。
・乾式現像法は、指示模様が経時変化するのが欠点である。
・湿式現像法は、火気の危険性のないのが特徴であるが、他の現像法と比較すると、使用中の濃度管理が必要なことが欠点である。
・濃度管理は、浮秤式比重計を用いて測定する。
・速乾式現像法は、緻密な現像剤塗膜を作製することができる現像方法である。
・速乾式現像法は、湿式現像法や無現像法に比べて、きずの識別性は劣ることはない。


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