3 組織の責任、職場倫理、リスク管理/問題2 適性科目/技術士第一次試験


組織の社会的責任/問題2 適性科目/ これだけ項目集 1

◇ 組織の社会的責任

1技術士 2適性  H26-12  H24-12
組織の社会的責任

 社会的な組織には、企業、大学、研究所、労働組合など、さまざまな形態があり、それぞれいろいろな責任を担い、いろいろな社会活動を行っている。

 企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)として、反社会的勢力(例えば総会屋)への便宜供与の禁止や、金融不祥事の撲滅が長年注目されてきたが、近年それに加えてポジティブな側面、例えば社会や環境に関する問題意識を、その事業活動やステークホルダーとの関係の中に、自主的に組み込んでいくことにより持続的発展を図るといった側面が注目されるようになってきた。

 震災などの災害が発生した際に、自社の従業員に交通費を支給し災害ボランティアとして派遣することは、CSR活動の一環と捉えることができる。

 企業が社会貢献活動を行った結果、その企業の売上が向上した場合には、その社会貢献活動はCSR活動であり販売促進活動とは見なされない。社会貢献活動と販売促進活動は、全く別の活動である。

 製品を国内でのみ販売している企業が、その製品の販売数量に応じて海外経済支援の資金提供を行うことは、CSR活動の一環と捉えることができる。

 自社が製造・販売した製品の廃棄物を有償で回収・リサイクルし、廃棄物の削減に取り組むことは、CSR活動の一環と捉えることができる。

 近年は、CSR活動を外部からの要望により受動的に取り組むものではなく、企業の事業戦略として取り組む「共有価値の創出(CSV:Creating Shared Value)」が提唱されている。
 大学では、学生のカンニングを摘発した場合には、教育的観点から当人に厳しく注意し、カンニングが発覚した科目の単位を与えないことが一般的である。

 大学の自治は尊重されなければならず、その具現化には大学に属する個々の研究者の研究活動の自由を保障しなければならないが、その一方で、研究不正防止の観点から個々の研究者の研究活動を組織的に管理することを求められるようになっている。

 国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)が、2010年に発行したISO26000「社会的責任に関する手引き」では、組織が社会的責任に取り組み、実践するとき、その包括的な目的は持続可能な発展に最大限に貢献することと考えている。

 グローバルに行動する企業や団体は、世界的に採択・合意された普遍的な価値として国際社会で認められている、人権の保護、不当な労働の排除、環境への対応、そして腐敗の防止に、自発的に取り組むべきとの考え方が一般化しつつある。

1技術士 2適性  H24-13
NPOの組織と活動 n

 東日本大震災では、広域かつ行政の想定を超えた被害のなか、復旧と市民生活支援において行政と協働あるいは補完する形でさまざまなNPO(Non Profit Organization)の活動が見られた。このような活動は国内外で広まっており、技術者の社会貢献の新しい形を提示するものも現れてきた。

 我が国における特定非営利活動法人は、特定非営利活動促進法によって設立及び活動が規定されており、20分野の特定非営利活動のいずれかに該当することのほか、不特定多数の者の利益の増進を目指していることなどの要件が定められている。

 特定非営利活動法人は、特定個人又は法人その他団体の利益を目的として事業を行うことは禁じられているが、その行う特定非営利活動に支障がない限りにおいて当該事業以外の事業を行うことができるほか、役職員に報酬を支払うことも可能である。

 特定非営利活動法人は、社会の協働意識、社会貢献の意思を活用することにより社会サービスを展開するのが目的であり、営利企業が行政から業務委託などにより受託し行政サービスを補完、拡大するのと競争関係にある。特定非営利活動促進法では活動の範囲に制限が加えられていない。

 行政サービスを補完、拡大する支援を行う営利企業に所属する技術者は、報酬を得ることが前提で社会に資する業務を行うのであるが、営利企業の技術者も特定非営利活動法人の活動に参加することができる。

職場倫理/問題2 適性科目/ これだけ項目集 2

◇ 職場倫理

1技術士 2適性  H29-03
優先順位の判断
 会社での材料発注の優先順位の判断は、次の通りである。
   安全 > 品質 > 納期 > 原価

1技術士 2適性  H29-04  H27-11  H26-05  H25-03
職場のハラスメント

 職場におけるハラスメントは、労働者の個人としての尊厳を不当に傷つけるとともに、労働者の就業環境を悪化させ、能力の発揮を妨げ、また、企業にとっても、職場秩序や業務の遂行を阻害し、社会的評価に影響を与える問題である。

 ハラスメントであるか否かについては、被害者の主観によって判断されるため、相手からの意思表示ない場合でもハラスメントになり得る。

 職場の同僚の前で、上司が部下の失敗に対し、「ばか」、「のろま」などの言葉を用いて大声で叱責する行為は、本人はもとより職場全体のハラスメントとなり得る。

 職場で、受け止め方によっては不満を感じたりする指示や注意・指導があったとしても、これらが業務の適正な範囲で行われている場合には、ハラスメントにはならない。

 ハラスメントの行為者となり得るのは、事業主、上司、同僚に限らず、取引先、顧客、患者及び教育機関における教員・学生等である。

 上司が、長時間労働をしている妊婦に対して、「妊婦には長時間労働は負担が大きいだろうから、業務分担の見直しを行い、あなたの業務量を減らそうと思うがどうか」と相談する行為はハラスメントには該当しない。

 職場のハラスメントにおいて、「職場内の優位性」とは職務上の地位などの「人間関係による優位性」を対象とし、「専門知識による優位性」も含まれる。

 部下の性的指向(人の恋愛・性愛がいずれの性別を対象にするかをいう)又は性自認(性別に関する自己意識)を話題に挙げて上司が指導する行為は、ハラスメントになり得る。

 職場内の優位性としては、上司から部下に対しての行為だけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して行われるなどの様々な職務上の地位や人間関係の優位性が含まれ、これを背景としてハラスメントが行われる。

 職場のパワーハラスメントには、身体的な攻撃、精神的な攻撃、人間関係からの切り離し、過大な要求、過小な要求、個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)などがある。

 隔離・仲間外し・無視などの人間関係からの切り離しは、原則としてパワーハラスメントとみなされる。

 「業務の適正な範囲」内の指示や注意・指導であれば、個人が不満に感じた場合であってもパワーハラスメントにはならない。

 業務における過大な要求や過小な要求、あるいは個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)については、パワーハラスメントとみなされることがある。

1技術士 2適性  H24-03
職場のセクシャルハラスメント

 職場におけるセクシャルハラスメントは、労働者の個人としての尊厳を不当に傷つけるとともに、労働者の就業環境を悪化させ、能力の発揮を妨げ、また、企業にとっても、職場秩序や業務の遂行を阻害し、社会的評価に影響を与える問題である。

(職場における性的な首動に起因する問題に関する雇用管理上の措置)
 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

 職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否したことで解雇、降格、減給などの不利益を受けること。

 性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に大きな悪影響が生じること。

 セクハラの行為者となり得るのは、事業主、上司、同僚に限らず、取引先、顧客、患者及び教育機関における教員・学生等である。

 労働者とは、正社員、パートタイム労働者、契約社員など、事業主が雇用するすべての労働者を示し、派遣労働者も労働者に含まれる。

1技術士 2適性  H29-06
職場倫理のアンケート調査

職場倫理に関するアンケート調査の依頼があった場合の対応として適切なものは、次の通りである。
・フィッシング詐欺やウィルス混入などの危険もあるため、すぐに社内担当部署へ連絡する。

次の対応は、適切ではない。
・不審な外部からのメールに書かれているアンケート担当者に連絡し、リアクションを取ることは適切ではない。
・しばらく様子をみて、再度違和感を持つことがあれば社内の担当部署に報告する。
・アンケートに回答する。
・自分の所属している部署内のメンバーに違和感を伝え様子をみる。

リスク管理/問題2 適性科目/ これだけ項目集 3

◇ リスク管理

1技術士 2適性  H30-11  H29-12  H25-05  H24-11
リスクアセスメントの規定

 リスクアセスメントは、事業者自らが職場にある危険性又は有害性を特定し、災害の重篤度(危害のひどさ)と災害の発生確率に基づいて、リスクの大きさを見積もり、受け入れ可否を評価することである。

 事業者は、職場における労働災害発生の芽を事前に摘み取るために、設備、原材料等や作業行動等に起因するリスクアセスメントを行い、その結果に基づいて、必要な措置を実施するように努めなければならない。なお、化学物質に関しては、リスクアセスメントの実施が義務化されている。

 リスクアセスメントの実施時期は、労働安全衛生法で次のように規定されている。
(1)建築物を設置し、移転し、変更し、又は解体するとき
(2)設備、原材料等を新規に採用し、又は変更するとき
(3)作業方法又は作業手順を新規に採用し、又は変更するとき
(4)その他危険性又は有害性等について変化が生じ、又は生じるおそれがあるとき

 リスクアセスメントは事故の未然防止のための科学的・体系的手法のことである。リスクアセスメントを実施することによってリスクは軽減されるが、すべてのリスクが解消できるわけではない。この残っているリスクを「残留リスク」といい、残留リスクは妥当性を確認し文書化する。

 機械安全におけるリスクアセスメントとは、機械の制限に関する仕様、危険源の同定及びリスク見積りの組合せ及びリスク評価を含む全てのプロセスを意味する。

 組織が行うリスクアセスメントとは、リスクを特定し、分析し、評価するプロセス全体を意味する。

1技術士 2適性  H26-10  H24-10
リスクアセスメントによる安全対策

 自然災害や産業において安全性を高める手法としてリスクマネジメント手法が用いられる。リスクアセスメントによりリスクの重大性が評価されたものに対する対処方法としては、リスク回避、リスク低減、リスク移転、リスク保有などがあり、これを担当する科学者や技術者は最適な選択を行うように努力することが必要である。

 さまざまな施設を設ける際に受容すべきリスクが存在するのであれば、リスクマネジメントを担当する科学者や技術者は、その受容すべきリスクがどのようなものであるのかを説明すべきである。リスクが顕在化した場合の被害についても、自己の知識の範囲で説明する必要がある。

 産業においては、職場の潜在的な危険性や有害性を見つけ出し、低減・除去するための手法としてリスクアセスメント等の実施が努力義務化されている。これは災害が発生していない職場であっても潜在的な危険性や有害性は存在しており、これが放置されるといつか災害が発生する可能性があることを考慮したものである。

 未経験なリスクに対して市民は過大や過小に評価する一般的傾向があるため、科学者や技術者は、自然災害や産業災害のリスクが一般市民に正しく伝達されるように、適切な助言を行う必要がある。

 堤防の高さのように、ある確率で発生する外力に対して安全を確保しようとする施設においては、確率分布に基づくしきい値を用いて施設の強度や高さなどの抵抗力を決定している。この考え方に基づき、施設の強度や高さの設定根拠を上回る外力により施設が危険な状態になることを想定しており、受容すべきリスクとして設計している。

1技術士 2適性  H30-11  H29-12  H25-05
リスク低減対策

 リスク低減措置は、リスク低減効果の高い措置を優先的に実施することが必要で、次の順序で実施することが規定されている。
(1)危険な作業の廃止・変更等、設計や計画の段階からリスク低減対策を講じること
(2)インターロック、局所排気装置等の設置等の工学的対策
(3)マニュアルの整備等の管理的対策
(4)個人用保護具の使用

 リスク評価の考え方として、「ALARPの原則」がある。ALARPは、合理的に実行可能なリスク低減措置を講じてリスクを低減することで、リスク低減措置を講じることによって得られるメリットに比較して、リスク低減費用が著しく大きく合理性を欠く場合はそれ以上の低減対策を講じなくてもよいという考え方である。

 リスク低減対策は、設計段階で可能な限り対策を講じ、人間の注意の前に機械設備側の安全化を優先する。リスク低減方策の実施は、本質安全設計、安全防護策及び付加防護方策、使用上の情報の順に優先順位がつけられている。

 機械設計者によるリスク低減の保護方策としては、本質的安全設計方策、安全防護及び付加保護方策、使用上の情報、の3つがある。

 本質的安全設計方策とは、ガード又は保護装置を使用しないで、機械の設計又は運転特性を変更することによって、危険源を除去する又は危険源に関連するリスクを低減する保護方策と定義される。

1技術士 2適性  H27-14
リスクコミュニケーションの推進方策 n

 リスクの概念は多様であるが、忘れてはならないリスク認知のモデルとして、個人はリスクを「ハザード」と「アウトレージ(怒りや不安、不満、不信など感情的反応をもたらす因子)」の和として捉えるという考え方がある。ハザードが十分小さくてもアウトレージが大きければリスクとして無視できない、というリスク認知を踏まえるならば、一方向の説得ではなく「対話・共考・協働」が重要となる。

 リスクコミュニケーションを実施する際、多くの場合に、発信側(専門家や行政等)と受け手側(一般市民等)との間の情報の非対称性、リスクに係る権限と責任の非対称性、そしてリスクそのものを引き受ける度合いの非対称性の課題が伴う。発信側は多くの情報を持ち、リスク対処の権限・責任を持つ一方で、リスクを引き受けるのは受け手側ということが多い。これらの特性を踏まえ、いかに非対称性に配慮し、双方向性を担保したコミュニケーションの場に近づけていくのかが重要なポイントとなる。

 一般に、社会全体のリスクを俯瞰(ふかん)的に把握しようとする行政や専門家の「統治者視点」では統計的・確率論的な見方をするのに対して、リスクに直面する一人一人の「当事者視点」では、危害の確率がいくらであれ個人がその危害を受けるか受けないかの二者択一としてリスクを捉えたり、アウトレージの要素による価値判断に基づいた個別的な見方をしたりする。これらはどちらかが正しいというわけではなく、対等に比較できるものでもない。リスクコミュニケーションは、この2つの視点が存在することを前提に取り組まねばならない。

 ステークホルダー(利害関係者)間での信頼関係の確保はリスクコミュニケーションを成立させる上での前提である。この信頼関係は、対話・共考・協働を互いに積み重ねることによって初めて次第に構築されていくものであるが、その際、リスクコミュニケーションの実践を企画・運営する、又は場の進行やまとめを行う機能を担う人材(媒介機能を担う人材)の中立性がとりわけ重要となる。一般に、専門家が媒介機能を担う人材となる場合、専門家には特定のステークホルダーの利害によらない、科学的な根拠に基づいた独立性のある発信をすることが求められている。

 リスク情報の効果的な発信をするには、科学的な正確性を重視して細部の精緻な情報発信を心がけるよりも、伝えるべきメッセージを整理して明確にし、端的でわかりやすい情報発信を実践することが重要である。この際に、発信側(専門家や行政等)で責任を持って十分に検証したリスク情報であっても、受け手側(一般市民等)の検証可能性を確保するために必要な情報公開を行い信頼を得る必要がある。

1技術士 2適性  H26-11
リスクコミュニケーションの重要性 n

 食品の安全性を確保する手法としてリスクアナリシスの3つの要素は、リスク評価、リスク管理とリスクコミュニケーションを一体として進めることである。

 リスクアナリシスでは、どのような危害が生じるのか、また、どの程度食べると危害が生じるのかを明らかにする「リスク評価」と、人々の心配の程度や、費用と効果の関係、食品がもたらす健康への恩恵、社会的な影響などを考慮しながら、リスクを低減する措置を講ずる「リスク管理」、そしてリスク評価の妥当性やリスク管理の手法について情報を共有し、各々の立場からの意見を交換し、理解し、協同、協力する「リスクコミュニケーション」の3つが重要とされている。

 リスク管理を行うのは、事業に携わる生産・流通業者であり、事業に携わらない科学者が中心になって行うことはできない。
 リスク評価は、科学者が行い、リスク管理は行政や生産・流通業者が中心になって行い、食品の安全性を確保する。
 リスクコミュニケーションでは、消費者が安心を得るために情報を得るだけでなく、消費者から意見を述べ、要望を伝えるなど、これらの取組に積極的に参加することが大切である。

 リスクコミュニケーションにおける国の役割は、食品の安全性の確保のため情報を収集、整理し、提供するほか、意見交換の場の設定などがある。また地方公共団体には、地域に固有の具体的な対応もテーマとして取り上げることも求められる。

 リスクコミュニケーションにおける食品関連事業者の役割は、生産、輸入、流通、販売などの業態を問わず、食を提供する者は顧客の生命や健康に直接関わっているという認識を持って、関係者間の連携とコミュニケーションを図ることである。

 リスクコミュニケーションにおける消費者の役割は、自らの権利を行使して、食品のリスク評価や管理に適切に参加するために、必要な情報が容易に得られるシステムや意見の表明ができる場と機会を作ることを求め、意見を表明していくことである。

 リスクコミュニケーションにおける科学者や専門家の役割は、説明責任があるという認識を深めて、積極的に食の安全に関するリスクコミュニケーションに参加し、食品の安全性の確保に関する科学的な情報をわかりやすく提供することである。

1技術士 2適性  H24-11
リスクマネジメントの共通認識

 組織にとってリスクとは、組織が目的とするものに対する不確かさの影響のことであり、財務、安全衛生、環境など異なったさまざまな側面で考えるべきことである。
 リスクとは、安全に関しては好ましくない結果を得る可能性である。
 リスクを、その発生確率と結果の重大さの積の形で定量的に表すことは、一般的にはなされていない。
 リスク対応とは、リスクを修正するプロセスのことである。リスクに対する方策を打ったという事実だけでは不十分で、その実施を意思決定したときに望んだ状況を創出していることこそが重要である。

1技術士 2適性  H26-15
ALARAの原則 n

 公衆衛生分野における科学技術者やリスク管理者が、規格基準や規制などのリスク管理措置を検討並びに意思決定する際に考慮される原則として、ALARA(as low as reasonably achievable)の原則がある。

 ALARAの原則の基本は、「合理的に達成可能な範囲で、できる限りリスクを低くする」ということである。

 我が国はもとより国際的にも放射線防護に関する技術的基準の考え方は、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告を尊重して検討されてきた。直近の2007年ICRP勧告で、特に重視されているのが「防護の最適化」である。「これ以上放射線量が低ければ、確率的影響(がんや遺伝的影響)のリスクがない」という「しきい値」は存在せず、「どれだけ線量が低くてもその線量に応じたリスクが存在する」という考え方にもとづいて、合理的に達成可能な範囲で、できる限り被ばく線量を低減しよう(as low as reasonably achievable)とするのが「最適化」の考え方である。

 このALARAの原則には、「経済的、社会的要因を考慮して」という条件がついている。できるだけ被ばく線量は低く抑えようと努力する一方で、低い被ばく線量をさらに最小化しようという努力がその効果に対して、不釣り合いに大きな費用や社会的な制約・犠牲を伴う場合にはよしとしない、ということである。

 しかしながら、自然放射線(大地放射線や屋内ラドン)の高い地域を抱える国々では、その地域の被ばく実態や低減に要する費用、住民の社会的な制約・犠牲を考慮する必要がある。また、被ばく線量を低く抑える施策を常に優先すべきであるとした国際的な合意形成はなされていない。

 またALARAの原則は、放射線防護の分野に限らず、食品安全の分野においても適用されている。コーデックス委員会(国際食品規格委員会)において、食品中の汚染物質の低減や基準値設定に用いられているほか、厚生労働省でも「食品中の汚染物質に係る規格基準設定の基本的な考え方」にも適用されている。

 すなわち、我が国の食品中の汚染物質の規格基準を設定する際に、コーデックス規格が定められている食品については、国内に流通する食品中の汚染物質の汚染実態及び国民の食品摂取量等を踏まえ検討したうえで、そのコーデックス規格が適当とされれば採用する。また、その採用が困難な場合は、関係者に対し汚染物質の低減対策に係る技術開発の推進等について要請を行うとともに、必要に応じて、関係者と連携し、ALARAの原則に基づく適切な基準値又はガイドライン値等の設定を行うとしている。

組織の責任、職場倫理、リスク管理/問題2 適性科目/過去問からの出題傾向

技術士第一次試験/問題2 適性科目

◎は、予想が的中したものです。

重点予想 H30 H29 H28 H27 H26 H25 H24
◇ 組織の社会的責任
 組織の社会的責任
 NPOの組織と活動 n
◇ 職場倫理
 優先順位の判断
 職場のハラスメント
 職場のセクシャルハラスメント
 職場倫理のアンケート調査
◇ リスク管理
 リスクアセスメントの規定
 リスクアセスメントによる安全対策
 リスク低減対策
 リスクコミュニケーションの推進方策 n
 リスクコミュニケーションの重要性 n
 リスクマネジメントの共通認識
 ALARAの原則 n
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 問題2 適性科目
過去問と解答速報『資格試験_合格支援隊』
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