コンクリート診断士試験 01


コンクリートは建築物、道路、橋梁など社会の建造物を支える部分として広く使われており、コンクリートは年月が経つと劣化・損傷が出てきます。そのため、取替や補修を計画的に行うためには、コンクリートがどのような状態になっているかを見極める技術者が必要になります。そのコンクリートを診断士する技量があるかどうかを確認する試験が、コンクリート診断士試験です。コンクリートはどこにでも使われ、構築後の年数が経っているものが多いことから、引く手あまたの資格と言っていいでしょう。
コンクリート診断士試験は、非常に難易度が高い試験で、毎年5000人近くが受験して、合格率が15%程度です。受験資格は、大学を出て4年以上の実務経験などの学歴と実務経験年数か、コンクリート技士や技術士のような資格を有することに加え、コンクリート診断士講習を受けて有効年数内にあることです。

試験の内容、出題分類、合格率/コンクリート診断士試験

試験内容

出題形式 四肢択一式 40問(マークシート) 記述式:選択1問(1000字程度)
問題Ⅰ(建築物を対象とした診断能力)
問題Ⅱ(土木構造物を対象とした診断能力)
試験時間 合計 3.0時間

四肢択一問題 : 40題
 ・正答にのみ点が与えられ、誤答および無答は零点となる。
 ・問題ごとに正解は1つしかない。
 ・1問につき2つ以上解答すると無効になる。
 ・適当(正しい)、不適当(誤っている)の、どれを選ぶのかを聞違えずに、
  各問題のすべてを慎重に読んでから答えること。
 ・適当(正しい)の番号を選んだ場合も、他の番号もどこが不適当(誤っている)のかを
  十分に検討すること。
 ・不適当(誤っている)の番号を選んだ場合も、他の番号もどこが適当(正しい)のかを
  十分に検討すること。

記述式問題 : 2問の出題から1問選択
 ・記述式問題の内容を事前に想定し、用語の理解やキーワードの選定を事前に行っておく。
 ・少なくとも解答用紙の8割程度は解答記述を行うこと。
 ・解答には関係するキーワードを十分に盛り込むこと。
 ・専門用語は正確に使用すること。
 ・丁寧な文章での記述を心がけること。

合格基準

合格基準は「四肢択一問題、記述問題のそれぞれについて基準点を超えること。」となっており、基準点は非公表となっています。
また、四肢択一問題と記述問題のそれぞれに足切りラインが設けられているため、それぞれでバランスよく得点する必要があります。

コンクリート診断士試験の内容は、四肢択一方式の問題と記述式問題が出題されます。四肢択一方式の問題は、変状の種類と原因・劣化の機構・調査手法・劣化予測と評価および判定基準・対策の種類と補修や補強工法・建築物および土木構造物の診断の考え方・調査項目・技術および基準類の変遷などの知識と技術力を問う問題で、40問出題されます。記述式問題は、2つの論文を作成する問題です。試験時間の3時間で、四肢択一方式と記述式問題の論文作成を行う必要があるため、時間配分が重要です。合格には70%以上が求められ、記述式の配点が大きいこともあり、四肢択一問題は迷ったらあきらめ、確実に取れる問題に集中すべきです。勉強方法の1つに、問題集や参考書で勉強したことを、ノートを使って需要な言葉や忘れやすいことを記述することが有効です。また、記述することによって、記述式問題の記述の練習という効果もあって、一石二鳥ではないでしょうか。

コンクリート診断士試験で問われるもの

コンクリート診断士試験の選考基準の具体的な内容と程度は、次のとおりです。
ただし、試験日からさかのぼって1年以内に制定された JIS および改正された基準類(JIS、コンクリート標準示方書、JASS 5 等)中の変更事項については出題の対象にはなりません。

コンクリート診断士試験の選考基準の内容と程度

コンクリート診断士に必要とされる主な知識・技術などは下記のとおりです。
選考にあたっては、これらに関する一般的知識と理解力等についての筆記試験が行われます。

1.変状の種類と原因
ひび割れ、コールドジョイント、変形等

2.劣化の機構
中性化、塩害、凍害、アルカリ骨材反応、科学的腐食

3.調査手法
目視調査、コア試験、非破壊試験、鉄筋腐食に関する試験、アルカリ骨材反応に関する試験等

4.劣化予測、評価および判定基準
中性化、塩害、凍害、アルカリ骨材反応、科学的腐食、疲労等

5.対策の種類、補修・補強工法
対策の種類、補修・補強の定義、選定、特徴、維持管理

6.建築物あるいは土木構造物の診断の考え方・調査方法
安全性判定調査、使用性判定調査、部材の力学的特性、周辺環境への影響、構造物の調査方法

7.技術および基準類の変遷
規制、JIS、JASS5、コンクリート標準示方書

コンクリート診断士試験の合格のための勉強法方法と対策は、試験日が決まったら、勉強するスイッチが入れ、毎日のスケジュールを立てて勉強すること以外、合格する道はありません。コンクリート診断士試験のためにどのような項目を勉強するかは、事前講習会で学んでいるため、それをどう理解して自分のものにする勉強方法は、過去問を繰り返し勉強することです。四肢択一方式の問題は、大きく分けると、コンクリートの変状・劣化メカニズムと予測、コンクリートの補修・劣化調査と試験・その他の4つに分けられます。試験ではどの分野でも20~30%の割合で出題され、ほとんどが10年内の過去問と同じか類似した問題が繰り返し出されています。もちろん同じ文章が出るとは限りませんが、過去問の勉強方法で得点できます。それは過去問を解いているときに、誤ったものも正解のものも、その理由と、計算なら計算式を覚え込むことです。特に、同じような図がある問題でも、微妙に数値が変わったり、求めるものが異なる問題もあるため、早とちりというミスは避けたいものです。過去問の勉強方法には、過去問題の問題集や参考書を使い、解答例と解説を徹底的に覚え込むことです。

過去問と解答速報/コンクリート診断士試験

コンクリート診断士試験は、四肢択一方式の問題と同時に筆記試験が科せられます。筆記試験は2つの論文型式の記述問題で、1000字以内の小論文を記述する問題です。筆記試験の配点が、試験の合格率を決めると言っても良いほどで、正しい内容と、自分の考えを加えて出題者の趣旨に沿った文章となっていることが、大きな得点を得るポイントです。記述式問題の勉強法は、過去問は通用しませんが、過去にどのような問題が出てどのような模範解答がなされているかを、過去問題集や参考書をもとに勉強し、自分自身の表現で論文化する勉強方法が効果的です。記述式論文の書き方は、論文のキーワードをいくつか挙げて、自分で決めた文書構成に従って、キーワードを当てはめながら文章を作成するのがおすすめです。これができるには論文作成訓練が必要で、週1回3時間を論文作成に当てる、などのような勉強方法が記述式問題対策になるでしょう。

過去問と記述式問題Aの解答例/コンクリート診断士試験

A11. コンクリート構造物の維持管理における不具合の原因と対策

コンクリート構造物の不具合の原因は、大きく分けて①劣化と、②施工不良と考えられる。
①劣化の原因は、塩害、凍害、アルカリ骨材反応、中性化の4つが主とされる。
塩害の対策としては、断面修復、表面保護に加え、鋼材の腐食反応そのものを抑制する電気防食工法が有効である。
凍害の対策としては、断面修復、表面保護に加え、ひび割注入も有効であるが、低温でも強度の確保できる樹脂を選定することが望ましい。
アルカリ骨材反応には、幅の大きなひび割れから鉄筋が腐食することを防ぐため、ひび割れ注入と表面保護が有効である。
表面から進行する中性化が鉄筋位置まで進行することを防ぐ対策としては、断面修復と表面保護が有効である。
これらの対策効果は10~15年とされており、さらに長期に渡る効果が必要な場合は、再アルカリ化、脱塩等の手法も検討する。
②施工不良には、低品質コンクリートや配筋不良などが挙げられる。
低品質コンクリートは期待される強度等を有していない場合があり、配筋不良により十分なかぶりがない場合には、中性化による腐食が早く進行する。そのため、定期点検等により、構造物の機能確保を図り、適切な時期に補修を行うことが望ましい。

A15. コンクリート診断士の技術力と心構え

高度成長期に建設されたコンクリート構造物が、建設後5 0 年が経過しており更新期を迎えている。施設を長期間利用するには、維持管理による評価・判断能力が重要である。
○技術力と心構え
 コンクリート構造物の維持管理には、対象とする既存構造物の現況を調査し、設計・施工時の資料を検討するとともに、構造物が供用中に外部から受けてきた物理的・化学的作用、さらにはその構造物が今後どのように使用されていくのかをすべて勘案して、対策の方針を決めなくてはならない。
 このことは、構造物を新たに設計・施工する場合よりも高度な知識が必要で、総合的な判断力が要求されることを意味している。
 さらに、一般的な建設技術と比較し、コンクリート構造物の維持管理は比較的新しい分野であるため、診断技術、補修・補強技術、補修材料などの進歩は日進月歩である。
 維持管理分野では、このように変化が早い技術の動向を把握しておくことが重要であるため、コンクリート診断士はその最新技術の動向を常に把握し自己研鑽が必要である。
社会資本としてコンクリートは、すでに100億m3程度と膨大な量がストックされている。これらのコンクリートは、年月を経過すると、いろいろな要因で劣化が始まるが、適切な処置を講ずることにより、構造物としての寿命を延ばすことが可能である。コンクリートを診断し、補修・補強を行うことによって、貴重な財産を永く供用していくことが、我々の務めといえる。

A16. コンクリート診断士の役割とあり方

公共事業費が減少し、環境負荷低減型社会が求められている中、既存構造物の延命化に向けた取り組みは今後益々重要になってくる。また、それを実現するためのコンクリート診断士の役割も重要である。
コンクリート診断士は,コンクリート診断・維持管理の知識・技術,並びに倫理観を有することが必要とされ、またその能力を維持・向上させるために定期的な研修の必要がある。平成27年3月に改訂された国土交通省の「建設コンサルタント業務等におけるプロポ―ザル方式および総合評価落札方式の運用ガイドライン」では、コンクリート構造物の維持・修繕に関する業務に適用する技術者資格としてコンクリート診断士が明記されている。
 これまでのコンクリート関連の資格が,新設構造物に使用するコンクリートの設計・製造・施工を主に対象としてきたのに対して,コンクリート診断士は蓄積されている膨大な既存コンクリート構造物を対象とするところに特徴がある。そのため、市民社会の貴重なストックであるコンクリート構造物を公平な立場で診断する役割を担う。今後は建設部門において維持管理業務が益々増えていくことから、地域全体で構造物の保守点検を担うなど、地元住民との協働などの視点を持った活動も重要な役割になってくると考えられる。

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