コンクリート技士・主任技士とは?試験の難易度・合格率・勉強法・過去問・解答速報をご紹介!


コンクリートは社会生活の基盤づくりに不可欠な建設材料です。そして、近年の技術の進歩に伴い年々高度化、巨大化、多様化するコンクリート工事に対応し、コンクリートの耐久性などに関する信頼性を高めるためにも、今日ますますコンクリートに関する幅広い知識と豊かな経験を有する、コンクリート技士、コンクリート主任技士などの技術者が多く求められています。

コンクリート技士・主任技士とは

コンクリート技士とは、コンクリートの製造、施工、配合調合設計、試験、検査、管理および設計など、日常の技術的業務を実施する能力のある技術者です。

コンクリート主任技士とは、コンクリート技士の能力に加え、研究および指導などを実施する能力のある高度の技術を持った技術者です。コンクリート技士の上位資格になります。

コンクリート技士・主任技士は、公益社団法人 日本コンクリート工学会が資格を管轄する、民間資格となっています。公益社団法人 日本コンクリート工学会が管轄する資格にはコンクリート診断士もありますが、コンクリート技士・主任技士とは別の資格です。

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現在、多数の方々が、コンクリート技士、コンクリート主任技士の資格を取得され、コンクリートの製造、施工等の第一線において活躍し、各方面から高い評価を得ています。

コンクリート技士、コンクリート主任技士は、国土交通省:土木工事共通仕様書等において「コンクリートの製造、施工、試験、検査及び管理などの技術的業務を実施する能力のある技術者」と規定されています。
また、土木学会「コンクリート標準示方書」、日本建築学会「建築工事標準仕様書 JASS 5 鉄筋コンクリート工事」において、「コンクリート構造物の施工に関して十分な知識および経験を有する専門技術者」と位置づけられています。

コンクリート技士・主任技士試験

社会の生活基盤となっている建材として、コンクリートがあります。それ故、コンクリートによる損傷などで生活が大きく影響されないように、コンクリート建造物を扱うためには、それを扱うに十分な技量を持った技術者の元で、コンクリート建造がされなければなりません。コンクリート建造物を作るときの保証する技術者がコンクリート技士であり、それを認定する試験が、コンクリート技士試験です。コンクリート技士の上にはコンクリート主任技士がありますが、先にコンクリート技士に合格する必要があります。

コンクリート技士試験の受験資格は、コンクリート診断士・1級建築士・技術士のような資格を持つか、コンクリート技術に関する科目を履修し卒業して実務経験を学歴に応じた期間従事した人が受験することができます。ただし、合格してコンクリート技士に登録しても、4年後ごとに更新登録の必要があり、そのために技術研修会を受講し試験に合格すれば、コンクリート技士として再登録できます。

受験資格

コンクリート技士・主任技士試験には、資格・実務経験・学歴の受験資格があります。

受験資格の詳細については、下記の公益社団法人 日本コンクリート工学会のページで確認してください。

https://www.jci-net.or.jp/j/exam/gishi/pdf/gishi_2021_20210601.pdf

資格取得による受験資格

下記のいずれかの資格を取得している場合は、コンクリート技士・主任技士試験を受験できます。

  • コンクリート診断士
  • 一級建築士
  • 技術士(建設部門)
  • 技術士(農業部門-農業土木)
  • (特別上級・上級・1 級)土木技術者(土木学会)
  • RCCM(鋼構造及びコンクリート)(建設コンサルタンツ協会)
  • コンクリート構造診断士(プレストレストコンクリート工学会)
  • 1 級土木施工管理技士ま
  • 1 級建築施工管理技士

実務経験による受験資格

コンクリートの技術関係業務実務経験3年以上で、コンクリート技師試験を受験できます。

コンクリート主任技士の場合は、コンクリートの技術関係業務実務経験7 年以上、またはコンクリート技士合格後2 年以上が必要です。

学歴による受験資格

大学・高等専門学校(専攻科)・短期大学・高等専門学校・高等学校でコンクリート技術に関する科目を履修した卒業者は、コンクリートの技術関係業務実務経験2年以上で、コンクリート技師試験を受験できます。

コンクリート主任技士の場合は、コンクリートの技術関係業務実務経験2~3年以上が必要です。

試験日程・申し込み方法

コンクリート技士・主任技士試験は、年に1回開催されています。

例えば、2021年のコンクリート技士・主任技士試験の試験日は、11月28日(日)でした。2022年の試験日程は、まだ公表されていません。公益社団法人 日本コンクリート工学会のホームページで確認してください。

https%3A%2F%2Fwww.jci net.or - コンクリート技士・主任技士とは?試験の難易度・合格率・勉強法・過去問・解答速報をご紹介!
公益社団法人 日本コンクリート工学会

コンクリート技士・主任技士試験の申込手順は以下の通りです。

  1. 受験願書(1,000円税込)を購入
  2. 受験願書請求書に必要事項を記入
  3. 簡易書留郵便で公益社団法人 日本コンクリート工学会窓口へ送付

受験願書の購入は、簡易書留郵便による郵送のみです。公益社団法人 日本コンクリート工学会窓口での販売はありません。簡易書留郵便が到着後、受験願書が発送されます。

試験申し込みから登録までの流れは以下の通りです。

  • 受験願書販売期間 : 2021年7月1日(木)~8月23日(月)
  • 受験願書提出期間 : 2021年8月2日(月)~9月6日(月)
  • 受験票の発送 : 2021年11月初旬
  • 試験実施 : 2021年11月28日(日)
  • 合否通知 : 2022 年1月中旬
  • 登録申込 : 2022年1月中旬~2月7日(月)
  • 登録証の発送 : 2022年3月下旬(有効期限 2026 年 3 月 31 日)

試験地

コンクリート技士・主任技士試験の試験地は、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・高松・福岡・沖縄です。

試験会場案内図は,受験票と一緒に受験申込者に郵送されます。試験地によっては、複数の会場に分かれている場合があるため注意が必要です。東京試験地は、技士・主任技士の試験会場が異なり
ます。受験願書提出後の試験地の変更はできません。

受験料金・支払い方法

  • コンクリート技士・主任技師試験 受験願書:1,000円(税込)
  • コンクリート技士試験受験料: 8,800 円(税込)
  • コンクリート主任技士試験受験料: 11,000 円(税込)

受験料金の支払いは、受験願書に同封されている払込取扱票で行います。

試験内容

コンクリート技士試験は、四肢択一式の筆記試験40問を、2時間の持ち時間で解答します。2018年までは、この40問と○×式の20問の問題が含まれ、時間も2時間半でしたが、予告なしに変更になりました。今後の試験でも、変更になる可能性があります。

コンクリート技士試験の具体的な項目と内容は、次のとおりです。
ただし、試験日からさかのぼって1年以内に制定された JIS および改正された基準類(JIS、コンクリート標準示方書、JASS 5 等)中の変更事項については出題の対象にはなりません。

項目 内容
土木学会コンクリート標準示方書(ただし、構造設計関連の内容は除く)
日本建築学会建築工事標準仕様書 JASS5 鉄筋コンクリート工事
内容を理解する能力。
コンクリート用材料の品質、試験および管理 ・JIS に規定されている試験についての実施能力と結果の判定能力。
・通常使用される材料について試験し、その結果をコンクリートの配(調)合および製造管理に
反映させる能力。
・材料を適切に扱う能力。
コンクリートの配(調)合設計 通常使用されるコンクリートについて、使用材料に応じ、所要の性質を満たす配(調)合を
定めることができる能力およびこれに必要なコンクリートの性質に関する基礎的知識。
コンクリートの試験 JIS に規定されている試験についての実施能力と結果の判定能力。
プラントの計画管理 ・基本的計画に基づいてプラントの性能仕様を立案する能力。
・日常の管理検査をする能力。
コンクリートの製造および品質管理 ・定められた示方配合(計画調合)に対する現場配合(現場調合)を定める能力。
・コンクリートの性質の変化に応じ配(調)合を調整する能力。
・製造に必要な機械の適切な使用,もしくは作業員にその指示をする能力。コンクリートの
品質管理図を作成し、その結果をコンクリートの品質管理に反映させる能力。
コンクリートの施工 ・施工計画に基づいて必要な施工準備を行い、施工作業を適切に指導し、機械器具を選定し、
その適切な使用方法を指示する能力。
・施工方法とコンクリートの性質との関係についての一連の知識。
コンクリートに関わる環境問題 ・コンクリートおよびコンクリート構造物に関わる環境問題についての基礎的な知識と
理解力。
その他 ・コンクリートおよびコンクリート構造物に関わる基礎的な知識と理解力。
関係法令(たとえば建築基準法施行令のうちコンクリートの品質ならびに施工に関係する事項)およびコンクリート関係の JIS ・内容についての基本的な知識。

引用:https://www.jci-net.or.jp/j/exam/gishi/pdf/gishi_2021_20210601.pdf

計算機の使用

計算機は、小型無音で、 四則演算程度までしかできないものは、使用できます。四則演算程度には、平方根、数値メモリは含まれます。関数演算の機能があるもの、式や文章等を記憶する機能がある計算機は、使用禁止です。

使用禁止となる機器は、関数電卓、ポケットコンピュータ、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、スマートウォッチ、電子手帳等です。

合格基準

合格基準は公表されていませんが、試験に合格するための得点は、満点の70%以上は必要とされています。

合格率・難易度

コンクリート技士試験の合格率は約30%、主任技師の合格率は約13%です。一般的な資格試験の中では、コンクリート技士試験は、難易度の高い試験と言えます。

コンクリート技士試験の合格率(2016~2020年)

 

実施年 受験者数 合格者数 合格率
2020年 8,149人 2,501人 30.7%
2019年 8,758人 2,583人 29.5%
2018年 8,946人 2,644人 29.6%
2017年 9,056人 2,584人 28.5%
2016年 9,300人 2,684人 28.9%

参考資料:日本コンクリート工学会 試験結果の概況

コンクリート主任技士試験の合格率(2016~2020年)

 

実施年 受験者数 合格者数 合格率
2020年 2,612人 358人 13.7%
2019年 3,159人 406人 12.9%
2018年 3,165人 418人 13.2%
2017年 3,372人 438人 13.0%
2016年 3,506人 455人 13.0%

参考資料:日本コンクリート工学会 試験結果の概況

コンクリート技士試験の勉強法

コンクリート技士試験の勉強方法は、過去問や問題集を繰り返し解き、解答例と解説を徹底的に覚え込むことです。短いスケジュールの中で、むやみに参考書を読んでもなかなか身につきません。コンクリートのどの分野から問題が出ているかの傾向を掴み、効果的に対策することが重要です。

四肢択一問題

四肢択一式40問の試験の内容は、コンクリートに関して材料の品質・試験・管理、配合設計、試験、プラント計画管理、製造と品質管理、施工、環境問題、関係法令などから問題が出題されます。過去問から出題の傾向を見ると、類似した問題が繰り返されていることが分かります。つまり、コンクリート技士試験の勉強方法は、過去問や問題集を繰り返し解き、解答例と解説を徹底的に覚え込むことです。

四肢択一問題で注意すべきポイント
・正答にのみ点が与えられ、誤答および無答は零点となる。
・問題ごとに正解は1つしかない。
・1問につき2つ以上解答すると無効になる。
・適当(正しい)、不適当(誤っている)の、どれを選ぶのかを聞違えずに、
各問題のすべてを慎重に読んでから答えること。
・適当(正しい)の番号を選んだ場合も、他の番号もどこが不適当(誤っている)のかを
十分に検討すること。
・不適当(誤っている)の番号を選んだ場合も、他の番号もどこが適当(正しい)のかを
十分に検討すること。

おすすめの参考書・テキストは、下記ページで紹介しています。

300e65b3d57b2cad0a6b415830fa6750 - コンクリート技士・主任技士とは?試験の難易度・合格率・勉強法・過去問・解答速報をご紹介!
コンクリート技士・コンクリート主任技士試験
コンクリート技士、コンクリート主任技士の資格は、コンクリート診断士試験の受験資格要件の一つとなっており、コンクリート技士、コンクリート主任技士の評価は着実に高まっています。コンクリート技術者の方々は、コンクリート技士試験、コンクリート主任技

時間配分

試験に合格するための得点は、満点の70%以上が必要とされています。すなわち、40問中28問から30問は正解を取らないと、合格できないということになります。試験時間が2時間ということから、1問当たりの持ち時間は3分です。後での見直し・チェックを考えると、2分30秒くらいでしょう。

解答するに当たってのポイントは、1問に悩まないことです。できないと判断したときは、その問題は捨てるべきです。合格するためには100点を取る必要はなく、ある程度は間違えても問題ありません。もしろ、時間不足で本来解ける問題に解答できないことの方が問題です。

理論を深めることが大事

コンクリート技士試験の過去問題を勉強するに当たって実力を養成する方法の一つには、問題集の解答例や解説を見て暗記するだけではなく、詳しいことが書いてある参考書などを使って、さらに理論を深めることが大事です。例えば、あるコンクリートの梁の図形があって、力を加えたときのひび割れの様子を問う問題では、解答例や解説ではひび割れの様子となぜひび割れが起きたの記述はあります。しかし、さらに突っ込んで、力を加えたときに、梁にどのような応力状態になるかを調べ、計算を加えることで、類似した問題が出たときに、どのようにも対応できます。調べる方法は、詳しい参考書を使うか、ネットで調べても、参考書レベルの詳しい情報が得られます。試験勉強のポイントの1つは、調べたことは自分の言葉で理解したことをノートに記述することです。ぜひノートに記述しておくことをおすすめします。コンクリート技士試験に合格した後には、コンクリート主任技師試験に挑戦すると思います。主任試験では記述式問題が出ますので、記述式問題の勉強方法につながります。

過去問と重要事項の解説/コンクリート技士試験

コンクリート技士試験の出題項目は、次のようになっています。
・コンクリート用材料
・コンクリートの性質
・コンクリートの耐久性
・配合調合設計
・製造、品質管理、検査
・コンクリートの施工
・コンクリート製品
・コンクリート構造の設計

コンクリート用材料

・セメント
・骨材
・混和材料

混和材料の性質

1. シリカフュームを用いると、高性能AE減水剤を用いた低水結合材比のコンクリートの流動性が高くなる。
シリカフュームは1μm以下の超微粒子であり、混和すると一般的には粘度は上がるため、高性能AE減水剤の使用が不可欠となる。置換率を適正に選定することで、マイクロフィラー効果によって組成粘度が低下するため、流動性が高くなる。置換率とは、シリカフュームを含む単位結合材量の中のシリカフュームの質量の百分率である。

2. 高炉スラグ微粉末を用いると、硫酸塩や海水の作用によるコンクリートの劣化に対する抵抗性が高くなる。
高炉スラグ微粉末は、水密性が高い性質を有するため、遮蔽性が高くなり、劣化因子物質がコンクリートに侵入しにくくなる。また、コンクリート中に浸透した塩化物イオンと表層部分で化合するため、塩分の侵入を遮蔽できる。さらにコンクリート中の水酸化ナトリウムと反応し、珪酸カルシウム水和物を生成するため、膨張性水和物の生成を抑制できる。高炉スラグ微粉末を混入したコンクリートは、無混入コンクリートと比べて抵抗性が高いといえる。

3. フライアッシュを用いると、未燃炭素含有量が少ないほど、コンクリートの空気量連行に必要なAE剤の量が少なくなる。
フライアッシュは、石炭火力発電所で微粉炭を燃焼する際に生成される副産物である。フライアッシュは、微細な球形であるため、未燃炭素含有量が少ないほどワーカビリティーが改善され、コンクリートの空気量連行に必要なAE剤の量が少なくなる。

4. 膨張材を用いると、エトリンガイト、水酸化カルシウムの結晶の成長、生成量の増大により、コンクリートが膨張する。
膨張材は、水和反応によりエトリンガイト、水酸化カルシウムを生成する。それらの結晶が成長し、生成量の増大により、コンクリートを膨張させる。生成に際しては十分な水分の供給が必要であるため、初期湿潤養生が重要である。

・練混ぜ水
・補強材

コンクリートの性質

・フレッシュコンクリート

ワーカビリティー

1. ワーカビリティーは、材料分離を発生させず、運搬、打込み、締固め、仕上げなどの作業が容易にできる程度を表すフレッシュコンクリートの性質である。
ワーカビリティーは、コンクリートの変形や流動に対する抵抗性(コンシステンシー)と、材料分離に対する抵抗性とを合わせた作業性を表す。AE剤や減水剤、フライアッシュなどの混和材料を使用すると材料分離に対する抵抗性を増すことができる。

2. エントラップエアでは、コンクリートのワーカビリティーを改善できない。
エントラップエアは、混和剤を用いなくてもコンクリートの練混ぜ中に自然に混入する気泡であり、通常のコンクリートには0.5~3.0%程度存在する。気泡径が比較的大きく、不定形であるため、耐凍害性やワーカビリティーの改善に寄与する効果は期待できない。

3. 圧ブリーディング試験は、コンクリートの圧送性を評価する目安になる。
圧ブリーディング試験は、コンクリートを加圧した上で生じるブリーディングの水量を測定し、圧送性を評価するための試験である。圧送時にかかる負荷で生じるブリーディングは、多すぎると材料分離を生じて閉塞の危険性があり、少なすぎるとスムーズな圧送の弊害になる。

4. セメントの粉末度が大きくなると、セメントペーストの粘性は高くなり、流動性は低下する。
セメントの細かさを粉末度とよぶが、粉末度が大きいということはより粉砕されて粒子が細かいことを表す。比表面積が大きく、水との反応量が比較的多くなるため、粘性が高くなり、流動性が低下する。

5. スランプ試験の測定後に平板端部をたたいて振動を与えたときのコンクリートの変形状況から、材料分離抵抗性を評価することができる。
スランプ試験の測定後に平板端部をたたいて振動を与えたときのコンクリートの変形状況から、材料分離抵抗性を評価することができる。しかし、感覚的な観察となってしまう可能性があるため、舗装用の振動台式コンシステンシー試験方法などで判断する場合もある。

・硬化コンクリート

ひび割れの発生位置

1. 床スラブでの、コンクリート打込み後の沈下によるひび割れは、鉄筋の上部に生じやすい。
床スラブでの、コンクリート打込み後の沈下によるひび割れは、コンクリートのブリーディング等により、鉄筋上部においてコンクリート成分のうち水分の割合が多くなり、また厚みも薄くなりやすくなるため、鉄筋の上部にひび割れが生じやすくなる。

2. 開口部のある壁での、乾燥収縮によるひび割れは、開口部の隅角部から斜めに生じやすい。
開口部のある壁での、乾燥収縮によるひび割れは、周辺のコンクリートが収縮(硬化)する際に開口部の隅角部が集中的に引張力をうけることで、ひび割れが生じやすくなる。他方、開口部が円形の場合は開口部周辺には均等な引張り力が働くため、ひび割れは生じにくくなる。

3. 部材に関わらず、鉄筋腐食によるひび割れは、鉄筋に沿って生じやすい。
鉄筋腐食によるひび割れは、鉄筋(鉄分)がコンクリート中に含まれる水分等と反応することで膨張し、時間の経過に伴い、コンクリート内部で爆裂破壊を起こすことに起因する。そのため、鉄筋に沿って生じやすいといえる。

4. 両端が強く拘束されている部材での、アルカリシリカ反応によるひび割れは、拘束されている面に直角に生じる。
アルカリシリカ反応によるひび割れは、骨材に含まれる反応物質がコンクリートのアルカリ成分と反応して、アルカリシリカゲルを生成する現象である。ひびわれは一般に拘束力が弱い方向へ発生するため、例えば、柱と柱に拘束される梁では梁に沿ってひびが入りやすい。すなわち、拘束されている面に直角に生じるといえる。アルカリシリカ反応を抑制する方法としては、反応物質の少ない骨材の選定およびコンクリートのアルカリ総量の抑制が求められ、高炉スラグを配合した混合セメント等が用いられる。

コンクリートの耐久性

・コンクリートの耐久性

コンクリートの配合調合設計

・コンクリートの配合調合設計
・コンクリートの配合修正

製造、品質管理、検査

・コンクリートの製造
・コンクリートの品質管理、検査
・練混ぜ水
・レディーミクストコンクリートの回収骨材の使用

コンクリートの施工

・運搬、打込み、締固め、打継ぎ

コンクリートの運搬

1. スクイズ式のコンクリートポンプは、ピストン式のコンクリートポンプと比べて長距離の圧送に適さない。
スクイズ式のコンクリートポンプは、機体内部のポンピングチューブによりフレッシュコンクリートを押し出す方式で、圧送に加え、吸い戻すこともできる。しかし、いわゆる水鉄砲のようにピストンで押し出す方式よりは圧送能力に劣る為、長距離の圧送に適さないので、小規模現場等に用いられることが多い。

2. コンクリートバケットをクレーンで運搬すると、材料分離を生じにくい。
コンクリートバケットはバケツ型の容器で、下部の蓋を閉め、内部にフレッシュコンクリートを封入して利用する。一般に少量打設時に用いられ、クレーンやクレーン機能付きバックホウ等で揚重し、目的場所で蓋を開放することで打設ができる。打設までの運搬時間が短く、振動等も少ないため、材料分離は生じにくいといえる。

3. ベルトコンベアによる運搬は、スランプの大きなコンクリートには適さない。
ベルトコンベアによる運搬は、材料運搬時の振動が大きく、骨材等の固体分と水等の液体分とで移動時間が異なり、材料分離が生じやすくなる。特に、スランプの大きなコンクリートは混和剤等液体分の割合が大きいため、材料分離が大きくなり、適さない。

4. 斜めシュートは、縦シュートよりも材料分離を生じやすい。
斜めシュートは、ベルトコンベア同様、骨材等の固体分と水分等の液体分とで移動時間が異なるため、自由落下で均一に材料が落下する縦シュートよりも材料分離を生じやすい。打設の際は、バイブレーターを適正に利用し、隅々まで充填させる必要がある。

・仕上げ

コンクリートの養生

1. 養生温度が高くなると、初期の強度の発現は早くなるが、長期強度の伸びが小さくなる。
養生温度が上昇すると、セメントの水和反応が早くなるため、初期の強度発現は早くなるが、長期強度の伸びが小さくなる。急激な乾燥は、強度発現が遅れ、さらに初期ひび割れの発生要因となるため、湿潤状態を保つ必要がある。

2. セメント種類のほかに日平均気温により、湿潤養生期間の標準値が異なる。
湿潤養生期間の標準値は、普通ポルトランドセメント、混合セメントB種、早強ポルトランドセメントなどのセメントの種類、日平均気温によって、標準養生期間が異なる。計画共用期間の級によっても湿潤養生日数が異なるため注意が必要である。

3. コンクリートの圧縮強度が所定の値に達すれば、規定の湿潤養生日数にかかわらず、湿潤養生を打ち切ることができる。
JASS5によると、コンクリートの厚さ18cm以上の部材において、早強・普通・中庸熱ポルトランドセメントを用いる際は、圧縮強度発現が規定以上であれば、規定の湿潤養生日数にかかわらず、湿潤養生を打ち切ることができる。圧縮強度発現の規定とは、計画共用期間が短期と標準で圧縮強度10N/mm2以上、長期で15N/mm2以上のケースである。

4. 低熱ポルトランドセメントを用いたコンクリートは、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートよりも、湿潤養生期間が長くなる。
低熱ポルトランドセメントを用いたコンクリートは、発熱を抑えるために強度発現を大きく遅らせているため3日強度の規定はない。しかし、長期材令の91日強度が規定されているため、普通ポルトランドセメントを用いたコンクリートよりも、湿潤養生期間が長くなる傾向にある。

5. コンクリート製品の蒸気養生は、コンクリート打込み後 2~3時間 の前養生後に行う。
このコンクリート打込み後の前養生後に、昇温は 3時間、定温保持は 3時間、降温は 3時間以上を経て、脱型に至る。

・型枠、支保工

鉄筋の加工・組立て

1. 鉄筋のかぶり厚さは、鉄筋表面からコンクリート表面までの距離をいう。
鉄筋のかぶり厚さは、異形棒鋼においては、節部の最外面からコンクリート表面までの距離をいう。実際の施工にあたっては、結束線もかぶり厚さに影響を及ぼす為、結束線の先端余長についてはコンクリートの内側に折り曲げるよう留意する必要がある。

2. 鉄筋の曲げ加工は、常温で行うのが原則である。
鉄筋に熱を加えることで、鉄筋の化学成分が乱れ、適切な設計強度を保証できなくなるためである。鉄筋に熱を加えるガス圧接等については、監理者との協議により工法を選定する必要がある。

3. 鉄筋のあきの最小寸法は、粗骨材の最大寸法および鉄筋径によって異なる。
鉄筋のあきの最小寸法は、コンクリートが目詰まりせずに均一に充填され、適正な付着強度を確保することができるように、①コンクリートのうち、最も大きな材料となる粗骨材の最大寸法25mm以上、②粗骨材寸法の1.25倍以上、③鉄筋径毎のあきの確保(1.5D以上)、のうち最大寸法が用いられる。

4. 鉄筋の交点の要所は、直径 0.8mm 以上の焼きなまし鉄線またはクリップで緊結する。
鉄筋の交点の要所は、コンクリート打設等で配筋が乱れないように、直径 0.8mm 以上の焼きなまし鉄線またはクリップで緊結しなければならない。JASS5では、柱の帯筋や梁のあばら筋の四隅の交点は全数、スラブや壁では、交点の半数以上の結束が求められている。

5. 帯鉄筋やあばら筋、スターラップを加工する場合は、その末端部に 135°フックを設ける。
建築基準法施行令によって鉄筋の末端をかぎ状に折り曲げて定着しなければいけないという原則のもと、コンクリートと鉄筋の付着力を確保するためでもある。

・寒中コンクリート

暑中コンクリート

1. コンクリート温度を下げる場合、粗骨材に冷水を散布して骨材温度を下げる。
コンクリート温度を下げる場合、材料の練り混ぜ前に粗骨材に冷水を散布して骨材温度を下げることができる。しかし、練り混ぜ後の散布は水セメント比に影響を及ぼすので厳禁である。標準仕様書では「荷卸し時のコンクリートの温度は、35℃以下」と規定されているが、近年は温暖化の影響で外気温が高い日も日もあるため、早朝等の打設が好ましいと考えられる。

2. コールドジョイントの発生を防止するため、打重ね時間間隔の上限を2時間とする。
打重ね時間間隔の上限は2時間とされているが、暑中コンクリートにおいては、コールドジョイントを抑制するために、できるだけ早く打ち終えることが望まれる。打重ね時は、先行打設部分にも適正にバイブレーターを挿入し、新しい材料とよく撹拌させることが重要である。

3. コールドジョイントの発生を抑制するため、AE減水剤を標準形から遅延形に変更する。
AE減水剤を標準形から遅延形に変更すると、コールドジョイントの発生を抑制する効果がある。セメントは水和反応によって硬化し、温度が高い夏期はとくに硬化が早く進行するため、化学混和剤のうち、遅延形を選定することで反応(硬化)をできる限り遅らせることができる。

4. プラスティック収縮ひび割れの発生を防止するため、仮設上屋を設置して直射日光を防ぐ。
プラスティック収縮ひび割れは、コンクリート打設後初期において表面に発生しやすい。これは、コンクリートが硬化する前に、外気温によりコンクリート中の水分が蒸発するためであり、ひび割れの発生を防止するためには、仮設上屋を設置して直射日光を防ぐことや、断続的な散水、養生シート又は養生マットの使用が効果的である。

・マスコンクリート
・高流動コンクリート
・流動化コンクリート
・舗装コンクリート
・プレストレストコンクリート
・高強度コンクリート

コンクリート構造の設計

・コンクリート構造の設計

●本解説に使用した参考文献

  国土交通省「建築基準法、建築基準法施行令、建築基準法施行規則」
  国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編)」
  国土交通省「建築構造設計基準の資料」
  国土交通省「構内舗装・排水設計基準、構内舗装・排水設計基準の資料」
  土木学会「コンクリート標準示方書」
  土木学会「刊行図書目録」https://www.jsce.or.jp/publication/catalog.asp?id=1
  日本建築学会「建築工事標準仕様書・同解説 JASS」
  日本建築学会「書籍・論文集・資料等一覧」https://www.aij.or.jp/books/publist.html
  日本道路協会「道路橋示方書・同解説Ⅲコンクリート橋・コンクリート部材編」
  日本道路協会「出版図書 橋梁」https://www.road.or.jp/books/index3.html
  日本コンクリート工学協会「会誌・論文・書籍・電子出版物」http://www.jci-net.or.jp/j/publish/index.html
  建材試験センター「出版物・規格」https://www.jtccm.or.jp/publication/tabid/519/Default.aspx

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